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「ブラザー・コンプレックスⅡ~甘い蜜の味」

「なんだよ、倦怠期かよ。」


まさかそんな簡単に片付けられるとは思ってもみなかった。
それ以前に、その日兄貴は家にいないもんだと思っていうたのだ。
兄貴の前で銀華の話なんかするのは気まずいから、だからわざとシロ一人の時を狙って行ったのに…なんでいるんだよ。
当然そんな文句を本人に言えるわけもなくて、俺はシロにするはずだった話を兄貴にせざるを得なくなったのだ。
それで返って来た答えがこれ。
他人事だよな…当たり前だけど。


「は、じゃねぇよ。それ倦怠期だろ?」

そんな兄貴の言動に呆然とする俺に、追い討ちを掛けるみたいな言葉。
半分笑いながら言っているのは、どこまで本気なんだ?


「ハッキリ言っていいのいかよ。んじゃ言うぞ。燃えるようなセックスしろ!」

俺がセックスしたいのはただ一人、兄貴だけだ。
いつだって俺は、そう言って来たのに、そんなこと言うんだな。
シロの前だからって嘘や誤魔化しで隠すのはわかる。
それはいくらバカな俺でもわかってはいるんだ、頭の中では。
それでも俺はどこか期待をしてしまっていたんだろう。
俺にだけわかるように、少しでもいいから嫉妬してくれたら…と。


「そういうのはなー、してねぇからダメんなるんだよ。なぁシロー?」

だったら今すぐ兄貴がさせてくれよ。
今すぐ俺の前で脚を開いてくれよ。
そんで乱れまくってアンアン喘いでくれよ。
俺と一緒に高いところへ行ってくれよ。
欲望ばかりが膨らんで、何も出来ない自分に腹が立つ。


「俺…、もうダメかも…。」

兄貴はわかっていないんだろうな。
あの時言った俺の台詞が、本当は誰に向けたものだったかなんて。
ダメかも、じゃない、ダメなんだよな…もう。
俺の気持ちなんてきっと、兄貴には届くことなんてないんだ。

だけどそれから数時間後、思いもよらないことで俺の予感は外れることになった。
夜の街を彷徨っていると、見なくても言える番号が携帯電話に表示された。
ワン切りなんて、人を惑わせるようなことをするのも、あの人だけだ。

呼び出された公園に、煙草の煙が上がっているのが見えた。
あの人の好きな、メンソールの入ったやつ。
煙草を吸わない、そして好きではない俺が、唯一許せる匂いだ。
昔一度だけもらって吸ってみたけれど、すぐに咽て火を消した。
勿体ねぇ、なんて言ってめちゃめちゃ怒ってまた火点けてたよな。
今思えば俺としても勿体ないよ…間接キスだったんだもんな、それって。


「なんだよ、早ぇよお前。」
「呼び出したくせに何言ってんだよ。」
「別にー。ただどこにいるって聞いて俺はここにいるって言っただけだぜ?」
「そうやってすぐ…。」

今どんな顔してるのかわかってるのか?
遠くを見て、俺の方なんか見ないで、でも人を誘うようなことをして。
それがいちいちムカつくって言ってるのに、何度言ってもわからないんだ、この人は。


「な…、なんだよ……っん!」
「そうやってすぐ煽るんだよな、兄貴は。」
「ん…ふ…っ、洋平っ。」
「本当は嫉妬してたくせに…。」

こういうことに勝ち負けを考えても仕方がないけれど、俺には俺なりのプライドってもんがある。
いつもいつもこんな風に振り回されてばかりじゃ、俺だって格好がつかない。
本当は、黙っていたらそのまま捨てられそうで恐いだけだけど。


「気付いたならてめぇから連絡して来いよ…っ。」
「なんだ、やっぱりそうなんだ?兄貴可愛いとこあるじゃん。」
「うるせぇよ…、するなら早くしろよ…っ、あ…っ!」
「じゃあ、いつもみたいに強請れよ…。」

激しいキスをしながら、数週間振りのその身体に触れた。
熱くて、滑らかで溶けそうな皮膚の感触が、俺の中の欲望に火を点ける。
もう俺は、この身体から、この人から離れられないんだ。
多分、いやきっと一生離れられない。


「あ…、早くっ、洋平っ、洋平のくれよ…っ!」

それは中毒にも似た症状だと思った。
それでもいい、甘くて危険な蜜を、今夜も俺は味わえるのなら。

<終わり>(とか言って続きそう…笑)

洋平:「なんかこれ…俺違う人じゃねー?」
亮平:「んなこと言うなら俺だってだろ!なんだよこれ、洋平のなんかいらねぇっつーの!」
洋平:「う、うるせーよ!俺だって…つーか俺の本編のイメージどうするんだよ!連載中だぞ!」
亮平:「あんましいいイメージ持たれてると思っていい気になってんじゃねぇぞ?だからこういうの書かれるんだよ。」

それにしたって崩し過ぎ…(反省)
しかも本編よりも若干進んでいます(爆)←大問題

「ブラザー・コンプレックス」

ずっと近くにいる人。
そう、俺がこの世に生まれた時から。
友達じゃなくて、恋人じゃなくて。
その人のことを、俺は尊敬して、心から慕っていたんだ。

俺の、2歳上の、兄貴のことを。

『にーひゃん、にーひゃん!』
『ようへーかあいー、おれのおとーと!』
『にーひゃんしゅきー』
『りょうへもすきー』

まだちゃんと歩くこともできないのに、一生懸命ついて歩いたっけ。
俺のこと可愛い可愛いって、いっぱい抱き締めてくれた。


『兄ちゃん、いじめられた…。』
『よしっおれがそんなやつやっつけてやるっ!』

喧嘩が強かった兄貴は、よくそうやって俺を助けてくれた。
身体中傷だらけになっても、俺のこと守ってくれた。


『いいか、洋平、俺のいうことにまちがいはないからな?』
『うんっ!兄ちゃんカッコいい!』

兄貴の言うことは全部正しいと思ってて。
兄貴のこと、本当に大好きだった。
もちろんそれは、同じ血を分けた兄弟っていう意味だけで。
他に特別な意味はないと思っていた。


1年ちょっと前、そんな兄貴に男の恋人ができた。
最初は絶対何かの冗談だと思った。
だけど本気も本気、今までにないぐらいの本気だったのだ。
その恋人、シロに近付いて、冗談で俺にしろ、と言った。
違うんだ、多分俺は、そうすれば兄貴は誰のものでもなくなると思ったから…。
でもそれはどうにもならなかった。
愛し合ってる二人を壊すことなんかできるわけがない。
シロも凄くいい奴で、俺もそんな二人を壊したくないと思ったから。

そんなこんなで、俺も今ではちゃんと恋人ができた。
銀華は、俺のことを一番理解してくれる、本当に俺には勿体無いぐらいの人だ。
だから、俺は今、とても幸せだ。
ようやく兄貴からも、離れられる気がする。


そう、思っていたのに…。


ある日のことだった。
仕事の帰りに、兄貴の家に用事があって寄った。
シロはちょうど隣のシマの家に行っていて、兄貴と二人きりになった。
俺は何もするつもりなんかなかった。
だけど兄貴が…。

「なぁ、お前と猫神ってどんなセックスすんだ?」
「な、何言ってるんだよ突然。」
「いや、気になるだろ、よそ様の夜のことはよ。」
「え、じゃあ兄貴んとこは?」
「あ?俺とシロか?そうだな…。」
「早く言えって、もったいぶるなよー。」

急かす俺に、兄貴はとんでもないことを口にした。
もちろん、冗談だってことは、頭ではわかっているつもりだった。


「んじゃお前シロ役な?実技で教えてやるよ。」

もう、ダメだった。
その台詞を吐いた時の兄貴の表情が、堪らなく色っぽくて…。
俺だけ見ている目が、堪らなく愛しくなってしまった。

「兄貴…、兄貴がシロ役、いや、兄貴は兄貴でいいよ。」
「は?何わけわかんねぇこと言って……洋平っ?!」
「誘ったのは兄貴なんだからな…、兄貴のせいだ…っ!」
「あっ、洋平マズ…っ、あ、あああぁぁ─────…!!!」


銀華、ごめん‥…──────。


「…銀、ごめん、本当にごめ……。」
「洋平っ、洋平っ。」
「…あ、あれ??」
「どうしたのだ、酷く魘されていた。」

ゆ、ゆ、夢ぇ────??
そりゃそうだよな、俺と兄貴が…。
俺と兄貴がヤるなんて!!しかも兄貴受!!


「げー!気持ち悪い!!」
「何だ、吐き気がするのか。」
「いや、そうじゃな……、うーん、俺には銀華だけだなーと思ってさ。」
「気持ち悪いのは、私のほうだ…。」

<終わり>

洋平「マジで気持ち悪いからやめてくれよ…。」(げっそり)
亮平「俺が入れられる方ってどういうことだよ?あぁ?!」(問題そこじゃねぇし)

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