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キリバン小説、シーズン企画など

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「Anniversary」-1

10月の終わりのある晴れた日、俺達は空港から貸切の飛行機で招待された島へと向かった。
招待されたのは俺とシロ、洋平と猫神、水島と志摩、これはクリスマスも一緒だった奴らだ。
それに加えて猫神の子分?みたいな奴らの桃と紅と、志摩が元飼っていた猫と新しい猫神の青城が一緒だ。
よくも皆揃って休みが同時に取れたものだと感心してしまったが、洋平も水島も有給まで取って来たらしい。


「あれー?猫神様は?いないのか?」
「あぁ、なんか洋平が船でのんびり行くとか言ってたな。贅沢しやがってな。」

一昨日の晩だったか、俺は洋平に電話をしていた。
その時初めてあいつらだけが船で行くということを知ったのだ。
どういう理由かはわからないが、まったくもって団体行動を乱す奴だと怒ったけれど、
洋平は「とにかくそういうわけだから」とわけのわからないことを言ってさっさと電話を切ってしまった。


「シロー、お菓子食べる?いっぱい持って来たのー!」
「うんっ!あ、オレのと交換しよ?」
「あのね、このチョコの美味しいよー。」
「おぉ、ホントだ!んじゃオレはこれやる!」

隣同士に座ったシロとシマは楽しそうにお菓子の袋を開けている。
というかなぜシロの隣がシマで、俺の隣が水島なのかは納得ができない。


「アオギーすごいねー!僕達空飛んでるのー!」
「そうだなシマにゃんこー。よーしじゃあ空飛びながら交尾といくか!ん?」

それにしてもこの青城という新しい神様は本当に神様なんだろうか…?
出会った時からセクハラ発言はするわ、それで子分達に怒られるわ…。
急だったから準備が出来ていないなんて言いながらちゃっかりアロハにサングラスに半ズボンにビーチサンダルって…。
どう見ても準備完璧じゃねぇか!!と突っ込みたくなるほどだった。
水島からちらりと話は聞いていたけれど、自分の目で確かめてみるとやっぱり信じがたい。


「あ、青城さまっ!なっ、なんてこと言ってるんですかっ!!」
「だから交尾しようっつったんだよ。それに桃には言ってないぞ。」
「このエロ城っ!お前なんか絶対神様なんて認めないからな!!」
「別にお前に認められなくても結・構!さ、シマにゃんこ~♪」
「いいから離れろっ!皆がいる前で交尾なんて許さないからなっ!!」
「お前に許されなくてもいいよーんだ♪」

俺は隣にいる水島と呆れながら、その飛行機での数時間を過ごした。
これからどんな旅行になるのか…不安と期待の入り混じった気分で。


***


「皆よく来たね。」
「や…やぁ、いらっしゃい…。」
「あっ、りゅーのすけだ~!なとるもいる~。」
「ホントだー、こんにちは、志摩です!」
「シロ、志摩も元気みたいでよかった。」
「っていうか俺なとるじゃなくてなとりなんだけど…ま、まぁいいか…。」
「うんっ、元気だ!」
「はーい、俺も!俺も元気です!」

空港に到着するとこの旅行の企画した遠野とその恋人、それから船で先に到着していた洋平と猫神が迎えに来ていた。
しかし「よく来たね」とはよく言えたものだ。
電話で俺にあんなプレッシャーをかけておきながら…。
俺がブツブツと文句を言っていることなんか気にもせずにシロとシマは走って行く。


「あれ?ロシュは?いないのか?」
「ホントだーロシュがいないよー。」
「あぁ、どうしても国の式典に出なければいけないらしくて来れなくなったんだ。」
「えぇ~!そうなのか?!」
「残念だねー、ロシュに会いたかったよー。」
「皆によろしくとは言っていたけど。」

シロやシマは残念がっているが、俺はロシュがいないことに少しだけ安心してしまった。
一国の王子ともあろう人物がそうそう簡単に日本に遊びに来れるはずがないと思っていたし、
これ以上ややこしい人物が増えると俺としても微妙なところだった。
もっとも、ロシュがいなくても既に飛行機の中でそれはわかったのだが。


「とりあえずホテルに荷物を置いて…それからどうするか…。」
「オレ海に行きたいっ!」
「ハイッ、俺も海がいいです!」
「…って言ってますけどどうします?」
「あ?決まってんだろ、シロについてく。お前もシマたんと一緒だろ?」

こうして俺とシロ、水島と志摩は海へ出ることにした。
事前に送ってもらったガイドでは、まずはこのビーチが一番の目玉らしいのは知っていた。


「あーじゃあ俺はこのホテルのプールがいい。銀華、どうする?」
「私はどこでも…。」
「プールか…トロピカルドリンク片手に水着美少年ナンパってのもありだな。よし、俺達もそれにしよう、シマにゃんこ!」
「アオギ、なんぱって何ー?」

洋平と猫神、それから青城と猫のシマはホテルのプールに行くことにしたらしい。
このホテルのプールというのもガイドで見る限りではかなり立派なものだった。


「桃、魚獲りに行かないか?」
「あ…うんっ!新鮮なのが食べ放題だもんね?」

猫神の子分の桃と紅は岩場に魚獲りに決まった。
あんなにほとんど人間の姿をしていても、中身は猫なんだろう。
魚の写真を見ただけで目をキラキラさせていた。

こうして俺達は行き先を決めて、それぞれ楽しむことにした。
そして夕方6時には夕食だと言われたので、ホテルに集合することに決めた。


■さて、あなたならどこへ行きますか?
□海へ行く
□プールへ行く
□魚獲りに行く

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