「NARCIST?FAMILY!」-2
「どうだ?俺と悟史の美しき愛の物語は。な?俺カッコいいだろ?」
数年後、一色家のリビングにて。
16歳になった3人の子供達を前に、鳴海はいつものように悟史との自慢話をする。
「もう聞き飽きたっての!何回目だよその話。おい悟史、こんな変なおっさんのどこがいいんだよ。俺の方がどう見てもカッコいいだろーが。」
三つ子の真ん中、鳴哉は強引で男らしい性格。
いじめっ子から弱い子を守るような正義感に溢れた人間に育ってくれた。
「ひどーい鳴哉!僕の方が悟史より綺麗なのに。」
一番上、鳴妃は美形だけど言うことはきつく、はっきりとした性格。
勉強も良く出来て、学校の先生に褒められるような優等生だ。
「鳴ちゃんも鳴くんも、家の中で痴話喧嘩やめてくれる?」
「鳴緒…。」
「その名前で呼ばないでぇ!!鳴って呼んで!」
一番下、鳴緒は兄二人にも父にも似てない弱虫で女々しい性格。
そして名前が名前だけに、いつも嫌な思いをしている。
「だってこの僕より悟史の方がいいって言うんだよ、鳴哉ったら。」
「んなこと言ってねぇよ。お前だってこの間クソ親父に迫ってただろ。」
「あれは鳴哉が鳴緒を可愛い可愛いって言ったからだよ!」
「そんなに言ってねぇよ!思い込み激し過ぎるんじゃねぇの?!」
一色家では、このような言い争いが始まると延々続くのだ。
お前の方が先にだとか、それはお前が言ったからだとか、とりとめのない言い争いだ。
「よし、じゃあ部屋で決着といこうじゃないの!」
「おう、望むところだ!」
そしてその終わりはと言うと、この台詞で決まる。
二人の兄は睨み合いながら、リビングを後にして2階の部屋へと向かった。
「あ〜あ…、またエッチしに行ったんだよ、鳴ちゃんと鳴くん…。」
残された部屋で、鳴緒はぽつりと呟く。
どうやら二人の兄はデキているらしいのだ。
らしいというか、誰がどう見てもデキているのは事実だった。
「若いっていいなぁ。悟史、俺達も久々にやるか!」
「やめなよ鳴海、鳴緒くんの前で…。あっ、鳴海ってば…!」
「疲れる…、この家…。」
父親とその恋人は自分達が子供の頃からこんな感じだ。
目の前でいちゃつき始める父達に呆れながら、鳴緒はまたぽつりと呟いて溜め息を吐いた。
「んっ、ん、ん…っ、鳴哉…っ。」
2階にある鳴妃の部屋のドアを閉めると、二人は夢中でキスを繰り返す。
鳴妃の口の端からは、混ざり合った二人の唾液が零れ落ちる。
舌と舌がが絡み合い、どちらからともなくベッドに倒れ込んだ。
「あっ、あ…っ。」
鳴哉は鳴妃の服をすべて脱がせ、胸の粒を舐めた。
唾液で濡らしながら音をたてて舐め続けると、そこはぷっくりと固く腫れ上がった。
「お前…、俺に乳首舐められるの好きだよなぁ。」
「違うよ、鳴哉が僕の乳首が好きなんでしょ?イチゴみたいに可愛いっていつも言ってるじゃない。」
「おいおい、素直じゃねぇな。」
「そっちこそ…んんっ、は…ぁんっ。」
鳴哉は立ち上がった鳴妃のそれを指と舌で自在に転がす。
このぐらいやれば下半身もいい具合になっている、というのはもう感覚でわかる。
鳴妃の胸元で鳴哉はニヤリと笑うと、胸を舐めながら右手を下半身へと伸ばした。
「ふ…やっぱりな…。勃ってるぜ?鳴妃。」
「あっ、あぁんっ!」
鳴哉は程よく勃起した鳴妃の性器を掌で包み込み、先端から根元にかけて扱く。
少しずつ染み出した先走りは、鳴哉が手を動かす度にクチュリと厭らしい音を発していた。
「俺のも見るか?立派に勃って来たぜ。」
「フン、たいしたことないくせに。」
「なんだとてめぇ、ホラ見てみろよ!」
「僕の方が形も色も綺麗だよっ!見てみなよ、このしなり具合!」
「うるせぇ!俺のお陰だろ?そうなってんのは。」
「違うよ!元がいいの!悔しかったら鳴哉も綺麗に勃たせてみれば?」
鳴哉は乱暴にそう言うと、服を脱ぎ捨て鼻で笑った鳴妃の上に乗って性器を差し出した。
負けず嫌いな鳴妃は一度起き上がると、向きを変えて鳴哉の下半身の方へ頭を移動させる。
そしてそのご立派だと言い張る性器を口に入れると、唾液でたっぷり濡らしながら愛撫した。
「お前はそうやって俺のもんしゃぶるのが好きだよな…っ。」
「しゃぶられんのが好きなのは鳴哉のほ…ぁあ…‥っ!」
「でも悪いなぁ、俺もフェラが好きなんだよ。やっぱ三つ子だからな…っ!」
「あー…っ、出るぅ、出ちゃうってば…ぁ!」
今度は鳴哉が、鳴妃曰く綺麗にしなった性器を口に含む。
お互いの下半身に向き合う格好で、口から出したり入れたりして、二人で口淫に没頭した。
「あ、やっ、ほんとにもう…っ、あ、あぁぁんっ!」
暫くして鳴哉の口内に、鳴妃はドクンと勢いよく精液を放った。
鳴哉の口元を、放たれた鳴妃の精液が滴る。
「へっ、偉そうなこと言って、先にイってやがる。」
「うるさいなぁもうっ!早くしてよっ!」
鳴妃は自ら脚を大きく開いて、悔しそうに鳴哉に言い放つ。
開かれたその間には綺麗な後ろの入り口が丸見えで、鳴妃にとってはそこも自慢らしい。
「‥…んっ!あぁっ!あぁん、いやぁっ。」
「すっげぇな、グッチャグチャじゃん。」
精液で濡れた鳴妃の後孔に、鳴哉の指がズブリと挿入された。
ズチュリと激しく淫猥な音をたてながら、指を何度も出し入れして中を掻き回す。
「ひあぁん、鳴哉っ、も、もう…っ!もう入れてよぉっ!」
「そんなに好きか、俺のちんぽがよ…っ!」
鳴妃は涙を滲ませて、後孔を手で拡げながら鳴哉の挿入を待つ。
その昂ぶった性器が欲しくて堪らなくて。
鳴哉の乱暴な言葉にさえも興奮を募らせながら。
「好きだよぉっ、鳴哉の……はあぁぁん!!あぁんっ、あ───っ!!」
「うわすっげ…っ、お前ん中…っ!そんな締め付けんなよ…っ。」
「鳴哉ぁっ、もうそろそろ…っ、準備しないとっ、あぁっ!」
「わかってるって…っ!」
ギシギシとベッドが軋み、二人の身体は揺れている。
鳴哉は挿入したまま、ベッドサイドの棚からビデオカメラを取り出した。
「あぁっ、ああんっ!さすが僕っ、綺麗だよね…っ?!」
「何自分ばっか撮ってんだよ…っ、貸せよ…っ!」
「やだぁ……っ!」
「こんのやろ…っ!貸せ…ぇ!」
鳴妃がカメラを自分だけに向けている。
兄弟の中でもこの鳴妃の自分好きは群を抜いている。
鳴哉は怒りにまかせて腰をゆさゆさと振り、鳴妃を激しく動かした。
「あ──っ、ぃやっ、あ、あぁぁあ───…んっ!!」
鳴妃にとっては感度の良い身体もまた美しいのだと言う。
すぐに鳴妃は鳴哉の下腹部に二度目の射精をすると、体内には鳴哉の精液が放たれた。
「またイったな、エロ兄貴…っ。」
「自分だってイったくせに、エロ弟…っ。」
二人は息を乱しながら、ベッドに倒れ込んだ。
汗と精液で、お互いの身体はグチャグチャだ。
「ああぁー!見てよこれぇ!!ブレてる!せっかく撮ったのにぃ!!」
「当ったり前だ!お前すっげぇ腰動いてたぜっ、そりゃブレるだろうが!」
「あああ〜…。せっかくいいとこ撮れたと思ったのに…。鳴哉のせいだからねっ!」
「なんだよ、人のせいにするなよ!てめぇが淫乱なだけだろ?!」
鳴妃はカメラを手にした瞬間に叫ぶと、ガックリと項垂れた。
せっかく撮影したものはブレているどころの話ではなく、何を撮ったのかもわからなかったのだ。
「あっ!ちょっと黙ってっ!僕のこの濡れた色っぽい身体撮らなきゃ!」
「なんだ、じゃあもう一回やろうぜ?俺も自分撮る。」
「ねぇ鳴哉、届かないからちょっと手伝って!僕の自慢の綺麗なあそこが撮れないよぉ!」
「そうだ、どうせなら繋がったところとか撮ろうぜ?」
「あっ、そんな…っ!いきなりは無理っ、あっ、あぁんっ!」
「バッカ、いきなりがいいんだろ?このマゾ兄貴が…ぁっ!」
再びカメラを自分に向けると、鳴妃は自分の全身を撮影し始めた。
すかさず鳴哉がカメラを奪って、鳴妃の上に乗る。
また勃ち始めた鳴哉の性器が突然体内に入って来て、鳴妃は身を捩った。
「待ってちゃんとっ、触り合ってるとこから…あぁんっ、入れないでってばぁ〜っん…!」
「そんなの待てねぇよ…っ!いいか動くぞ…っ!」
「鳴ちゃん!鳴くん!いい加減にしてよ!!」
その時部屋のドアが開いて、一番下の弟の鳴緒が部屋に入って来た。
一つ屋根の下で父達もいい雰囲気になってしまい、行き場をなくして同じ2階にある自分の部屋にいたのだ。
「あ、ちょうどよかった!あぁんっ、鳴ぅ、撮ってくれない?やぁんっ!」
「お、それいいな…っ。カッコよく頼むぜ鳴…っ!」
「もうっ!家中に聞こえてるよ?恥ずかしくないの?!」
二人は手元にあった鏡でチェックすると、鳴緒の目の前でまた激しく絡み始めた。
鳴緒がプンプンと怒っていることなどまるで気にしていないようだ。
「タイトルどうする…っ?新・俺たちのセックスパート11、でいいか…っ!」
「えー、もうちょっと捻ろうよぉ…っ、美しき兄の乱れ姿、とかさ…ぁんっ!」
「鳴ちゃん鳴くんちょっと聞いて…。」
「なんでお前だけなんだよ…っ、ずりぃな…。あ、鳴は何がいい…っく…ぅ!」
「そうだね、鳴に決めてもらお…、あんっ鳴哉ぁ…っ!あっそこイイ…っ!」
「ちょっと聞いてってば…。」
まだ行為を続ける兄達に、鳴緒は呆れて言葉も出ない。
おまけに撮影しろとカメラまで渡されて、鳴緒はついにブチ切れてしまった。
「もういやだ!こんな家!鳴ちゃんも鳴くんも勝手にしてよ!知らないもうっ!」
鳴緒はカメラをベッドに叩き付けて、出て行こうとドアノブに手を掛けた。
一瞬だけ動きを止めた二人は、思いついたように手をポン、と叩いた。
「あ、じゃあ鳴も…っ、鳴も一緒にやろうよ…っ!」
「お、そうしようぜっ、鳴っ、やろうぜ…っ!」
「やるわけないでしょ!」
何を言ってもわからない兄達と、鳴緒はもう話す気さえなくなってしまった。
ありったけ大きな声で叫ぶと、バタンとドアを閉めて部屋を後にした。
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