「NARCIST?FAMILY!」-3




「鳴が出て行ったぁ?」

セックスを十分に堪能した後、鳴妃と鳴哉は声を揃えて驚愕する。


『もうこんな家いや!』
鳴緒は兄二人の現場を見てリビングに駆け下りて来た。
そのリビングでは当然鳴海と悟史までもがセックスに傾れ込んでいて、ますます怒った鳴緒は家を飛び出してしまったらしい。
残された鳴海と悟史は、ソファに座って深刻な表情で項垂れていた。


「やっぱり仲間に入れてあげるべきだったんだよ…。」
「そうだな…、今度から鳴も一緒にやるか。」
「じゃあ今から練習する?」
「おう!鳴が入っても完璧なエッチにしなくちゃな!よーし…。」

兄二人は決意新たに二階へ戻ろうとした。
こういうところを鳴緒が嫌だとも知らずに。

「あのー、それより鳴緒くん探すべきだと思うんだけど…。」
「あぁっ、そうだった!」
「じゃあ二人で手分けして探そうぜ!親父達は待機しててくれ。」
「そうか、じゃあ頼んだぞ。鳴妃、鳴哉。」

見かねた悟史が遠慮がちに言うと、兄達はやっと気付いたようだ。
二階とは逆の玄関へと向かうと、急いで靴を履いて戸を開ける。


「あ、俺らがいない隙狙ってエッチすんなよー!」
「そうだよ、僕達だって我慢してるんだからねっ!」
「当たり前だ!いくらなんでもこんな時にするか!何言ってんだバカ息子どもが!」
「二人とも気をつけてね…!」

鳴海と悟史の声を聞かずに、二人は夜の街へと飛び出した。







「斉藤くーん、斉藤くん、いるー?」
「おう、鳴か?」

一方その頃鳴緒は、とあるマンションの一室を訪ねていた。
ガチャリとドアが開き、中からその家に住む少年が現れる。


「あのね、家出してきたの僕。」
「なんだって…?!」
「斉藤くんのために家出してきたの!」
「ありがとう鳴…っ!愛してるぜ…!!」

二人はマンションの廊下でぎゅっと強く抱き合った。
鳴緒とその彼氏、斉藤巽だ。


「は…ぁ、んっ、ん。」
「鳴…っ。」

ソファの上に向き合って、二人は激しいキスをする。
舌と唾液を絡めてくる巽に、鳴緒も精一杯応える。


「斉藤くん…んっ。」

巽の手が鳴緒の服の中に滑り込み、胸の先端にある小さな突起を摘んだ。
親指と人差し指が巧みにそこを弄り回し、鳴緒の口から喘ぎ声が洩れる。


「やぁっ、そ、そんなにしたら…っ。」
「何だよ、もう勃ったのか?エッチだなぁ鳴は。」

巽は鳴緒のズボンをずるりと下ろした。
鳴緒の性器は緩やかに勃起していて、そこを掌で包み込んでゆっくりと擦り始める。


「あっ、あぁ…んっ、ダメっ、ダメ…ぇ!」
「鳴…、なぁいいだろ?」

鳴緒の腰がビクビクと震えて、握られている性器が完全に勃ち上がる。
巽は鳴緒の耳元で囁いて、指先を後孔に近付けた。


「ダメっ!そこはダメ!まだ無理っ!!」
「はぁ?!なんでだよ?!」
「だって…痛いの嫌なんだもん!」
「おいてめぇいい加減にしろよ!付き合ってどんぐらい経つと思ってんだ!やらせろっ!!」

鳴緒は手で塞ぐようにして隠すと、必死でそこ押さえて巽を阻止する。
もうこんな状態が何度続いたことか。
巽は我慢の限界に達してしまい、鳴緒に怒鳴りながらその手を退かそうとする。


「やだやだ!無理!」
「お前それでも好色ナル男か?家族見習えよ!俺のケツ穴に入れてみな、ぐらい言え!」
「何その名前!それに僕は鳴ちゃんや鳴くんともお父さんとも違うの!」
「いいから手どけろ!入れさせろ!!やらせろ鳴…っ!!」

ソファの上で、暴れる鳴緒を巽は無理矢理押さえ付ける。
二人が乱れた格好のまま、ソファの上で争っていた時だった。


「何やってるの!あなたたち!!」

帰る予定が早まった巽の母親が、顔面蒼白で立ち尽くしていた。
何を言っても言い訳なんか出来ない状況で、二人はソファの上で固まってしまった。


「斉藤くん…。これからどうしよう…。」
「しっかしひでぇよな、あれだけで出てけなんてよ。」
「僕も家出しちゃったから帰れないし…。」
「俺、金なんかねぇぞ…。」

巽の母親に見つかってしまい、こちらの二人も夜の街を彷徨っていた。
鳴緒が家を出て来て、巽の家も追い出されてしまった。
もうどこにも行く場所などない。
おまけに金も持っていない。
二人は顔を見合わせて、同じことを考えた。


「こんなんだったらエッチしとくんだった…。」
「今更言うなよ…、やりたくなるだろうが…。」

近くの小さな川まで歩いてから、橋の上で手を繋いだ。
見つめ合って永遠の愛を誓うように、一度だけキスをした。


「斉藤くん、あの世で幸せになろうね。」
「あぁ…そうだな…。しっかし冷たそうだなー。凍死しそうだぞ。」
「っていうか凍死するんでしょ?あ、溺死かぁ…。」
「溺死の前に凍死するんじゃねぇの?まぁどっちでも同じか…。」

二人は震えながら、より強く手を握り合った。
流れる川の冷たさを想像しながら、深呼吸をする。


「鳴ー!何やってんのー!!」
「あ…!」

一歩踏み出したその時、聞き覚えのある声と足音が耳に入った。
鳴妃と鳴哉が息を切らしながら、走って二人のところまでやって来たのだ。


「わー、バカ!早まるなー!……っと。あ、あわわわ…。」
「鳴っ、掴まって…!」
「鳴くんっ、鳴ちゃんっ!」
「うわ…っ!」

鳴妃が鳴緒の手を掴み、鳴哉が巽の手を掴んで、二人を止めた。
あと少しで弟を失ってしまうところだったと思うと、兄二人は安堵の溜め息を洩らした。
しかしすぐに鳴哉の顔は青ざめ、巽の手を離すと、後退りをした。
隣にいる鳴妃の顔もまた、同じように青ざめている。


「な、鳴妃っ!あれ斉藤巽だろ?なんで鳴と一緒にいんだよっ。」
「し、知らないよっ!鳴哉聞いてよ。」

兄二人はひそひそと話している。
鳴緒にはその二人の態度の意味がわからない。


「鳴、なんかされたのか?無事か?」
「ま、まさかレイプとかされてないよね…?」
「なんで僕が自分の彼氏にそんなことされなきゃいけないの?」

兄二人は巽には聞こえないように、鳴緒に恐る恐る聞いた。
当の鳴緒はきょとんとした表情で答える。


「か、か、彼氏ぃ?!」
「な、鳴っ!だってあいつは校内でも有名な不良じゃねぇかよ!脅されたのか?」
「ううん、普通に告白されたんだよ。」

兄二人は声を揃えて、目を剥いている。
鳴緒が彼氏だと言う斉藤巽は、三人が通う学校でも有名な不良だったからだ。
真っ青になっている二人をよそに、鳴緒はやけにあっさりと答えるばかりだ。


「あのさ…。」
「こ、こ、これは斉藤さん!いやぁ、鳴がお世話に…あはは。」
「あっ、斉藤くんごめんねっ。僕の三つ子の兄達だよ。」
「別に同い年なんだから敬語はいらねぇんだけど…。」
「あはっ、そ、そうっすね!そうでしたね!」
「鳴くんそれも敬語だから。」

鳴哉が引き攣り笑いを浮かべながら巽に挨拶をしている隙に、鳴妃は家にいる父達へ電話で連絡を取った。
心配していた父達はすぐに駆けつけるとのことだったので、その到着を待つことにした。


「なぁ鳴、なんで家出なんかしたんだ?」
「だってさ、家ん中で僕だけ除け者なんだもん。みんなエッチばっかりしてさ。」
「う…。ご、ごめん…。」
「だから僕、家出して斉藤くんとこで暮らそうと思ったんだけど、エッチなことしてたの見つかって追い出されて…。でも帰ったらまた除け者だし…。」
「悪かったな、鳴…。」

そもそもの発端の原因を鳴緒に聞いてみると、さすがの鳴妃と鳴哉も反省したらしい。
しゅんと下を向いて謝りながら、鳴緒の言い分を聞いた。


「なんだ、じゃあ鳴の彼も一緒に住んだらいいじゃないか。」
「お父さん…!」
「鳴、ごめんな…。鳴がそんな風に思ってたの気付かなくて。」
「お父さん…。」

電話をしてからまもなく、鳴海と悟史が走ってやって来た。
息を切らせながら鳴海は鳴緒を抱き寄せて、頭を優しく撫でた。
鳴海の手は、温かかった。
ずっとこの温もりは、変わらないだろう。
鳴緒はそんな父の心地よい温もりに身体を預けた。


「みんな鳴が好きなんだよ。戻って来なさい。」
「うん、お父さん…。」

親子二人の抱擁を、他の皆も感動しながら見守った。
こんな風に心配してくれたのだから、皆の思いは本物だろう。
もう家出なんてバカなことを考えるのはやめようと鳴緒は思った。


「あとさぁ、家の中にカップルが3組いたらさぁ、エッチし放題だもんね!」
「鳴妃たまにはいいこと言うなぁ!」
「当たり前だよ、僕を誰だと思ってんの?」
「フン、その顔が乱れる様を見てやるよ。」
「先に乱れるのはそっちだと思うけどね。」
「なんだとてめぇ、二度とんなこと言えねぇぐらいめっちゃくちゃにしてやる!」

兄二人は自分達がこの家出の原因だということもすっかり忘れてしまっているようだ。
つい先程反省したのも束の間、またそんなことを言っている。
ギャアギャア騒ぎながら、二人はもう家へと向かって歩き出していた。


「ま、まぁそういうことだから…。一緒に帰ろう?鳴。ほら、彼も。」
「そ、そうだね…。」

鳴緒は引き攣り笑いを浮かべながら、兄達の後姿を見つめていた。
さすがの鳴海も少し呆れた様子で鳴緒の肩を抱いて、皆で歩き出した。


「鳴、今夜はセックス大会だな。俺も頑張るぞ。な?悟史っ。」
「や、やめなよ鳴海ってば…!鳴ちゃんの前で恥ずかしい…!」
「そ、そうだね…。うん…。」
「おい、お前んちってどういう家なんだよ…。」

鳴が好きだから、なんて言ってるけど、実はみんな自分が一番好きなんじゃないの?
疑問に思いながらも、鳴緒はこの家族が大好きだった。
口に出して言うとまた調子に乗るだろうから言わないことにしているだけだ。



一色家、只今6人(全員男)生活中。
部屋に空きがあるので、まだまだ居候募集しています。
同性カップル、歓迎☆
ナルシスト、大歓迎☆☆




END.




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