番外編「ハッピー・バースディ〜志摩編 2」-3




「今…何て言った…?」
「え…?うんと…隼人…?」
「俺が欲しいって言ったよな…?」
「あ……!そっ、それはあの……!」

わかっていても意地悪したくなるのは、俺のダメなところだ。
ダメなところだと認識していても止められないのは、志摩のこの反応のせいだ。
志摩のせいにするのは、やっぱり俺のダメなところだ。
俺はわけのわからない言い訳を自分の中でして、志摩の頬を優しく撫でて口づけた。


「いいよ。」
「えっ?あの…!」
「いいよ、やるよ…。欲しいんだろ…?」
「あのっ、そういうあれじゃなく…っ、隼人待って……ん…!!」

こんな時に「待って」と言われて素直に待てる奴なんかいるのだろうか。
真っ赤な顔で自分だけを見つめられて、「欲しい」なんて言われたら、勘違いでも何でも舞い上がってしまうのが普通だ。
俺は志摩が言い訳しようとする口を無理矢理塞いで、激しいキスを繰り返した。


「欲しいって言っただろ?」
「そ、それは……んっ!あのっ、隼人っ、ケーキ…!んんっ、ケーキ冷蔵庫に入れないと…!」
「あぁ…じゃあ今食べればいい…。」
「えっ?あの……んむっ!」

一度やると決めてしまうと他のことはどうでもよくなる。
何が何でも続行するために次から次へと志摩の揚げ足を取ったりして、こういう時の俺は頭の回転が速いと自分でも感心してしまうほどだ。
悪いことを考える時は楽しいし、志摩に意地悪をしている時はわくわくする。
それが悪いこととも気付かない志摩は少しだけ気の毒だけれど、気付かないからこそ止められないというのもある。


「ほら…志摩…。」
「んっんっ、は、隼人…っ。」
「美味しいだろ?ちゃんと食べろよ…。」
「お、美味しいけどあの……んっ、んんっ。」

俺は近くに置いてそのままにしていたケーキの箱を開け、白いクリームをたっぷりと指に絡め取った。
それを志摩の口の中に差し込むと、咽ながらも受け入れた。


「ほら、ちゃんと舐めて…。」
「は…恥ずかしいで……ん…ふ……ぅっ。」

恥ずかしいなんて言いながらも、俺の指に付いたクリームを志摩は舌先で丁寧に舐め取っている。
まるで猫がミルクを舐めているみたいで、可愛い。
可愛いのに何だかいやらしいのは、まだ数回しかしたことのない志摩の不器用な口淫を、目の前で見ているような気がしたからだ。
俺はこの想像だけで、激しい興奮を覚えてしまった。


「エロい顔だな…。」
「え…えろ…?!そんな……んうっ?!は…隼人……っ、んん…!!」
「ほら、いっぱい付いてる…。」
「はぁ…っ、んっ、んう……っ。」

俺は確か、「甘さ控え目のクリーム」と書かれたケーキを買ったつもりだった。
だけど志摩の口に付いているクリームは今まで食べたことがないぐらい甘くて、胸やけでも起こしそうだった。
何だか志摩が魔法でもかけたみたいな、不思議な甘さだ。
志摩とキスをする時は、いつもそう思う。
こんなに甘い唇があるのか、こんなに甘い身体があるのか…と。


「もっと食べたいか…?」
「う…ん……?」

志摩の目はとろりとして、今にも溶けてしまいそうで、熱を帯びた頬も熱くて、クリームがドロドロになってしまいそうだ。
意識が呆然としているのか、わけがわからないまま頷いている。


「ほら…。」
「あ……隼人……んっ、んん…。」

俺は再びケーキからクリームを取り、それを自分の舌に乗せて志摩に差し出した。
おそるおそる近付いて来る志摩の唇は微かに震えていて、触れると柔らか過ぎてクリームと同化してしまいそうなほどだった。
クリームと混じり合った白い唾液が時々零れ落ちて、それがまた別の液体に見えて仕方がない。


「俺も食べていいか…?」
「はい……えっ?!あっ!は、隼人…っ?!」

その別の白い液体…つまりは精液が出るところを見たい、その部分を口に含みたい…そう思ってしまった。
志摩が穿いていたズボンを一気に脱がせると、下半身が丸出しになる。
志摩本人は何が起きているのかわからない状態で、動揺しているみたいだ。


「美味しそうだな…。」
「えっ?隼人っ?あの……あぁっ?!やぁ…っ!」
「嫌?変だな…。志摩は嫌なのに勃つのか…?」
「や…!!恥ずか……あっ、あぁ…んっ!!」

志摩のそれは既に緩く勃ち上がっていて、俺は指先に残ったクリームを撫でるようにしてそこに付けた。
まだ何が何だかわかっていない志摩をよそに俺がそれを口に含むと、急激に変化を遂げた。


「美味しい…。」
「や…っ!ああぁ…っ、隼人………んんっ!!」

膨張したそれの先端からは透明な液体が滲み出し、クリームと共に俺の口内に広がって、どろどろと流れる液体は志摩の太腿の間を濡らしていく。
それらを丁寧に舐めながら出し入れを繰り返していると、やがて志摩の肌が小刻みに震え出した。
まだ口に含んで数分といったところか…早くも達したくて仕方がないのだと悟った。


「どうした…?」
「あ……あ…っ、隼人…っ、隼人ー…っ、んんっ、あ…!」
「志摩はどうしたいんだ…?どうして欲しい…?言ってみろよ…。」
「や……っ!ああっ、やあぁ…っ!」

どうしたい、なんてわかっているくせに、俺は志摩の口に言わせたかった。
志摩の口からいやらしい言葉が出るのを聞きたくて…、聞いて自分も興奮したかった。


「言わないとわからないだろ…?」
「あ……い……た…です……っ、あぁんっ!」
「志摩…聞こえない…。」
「…きたいです……っ、隼人っ、おねが……いきた………あああぁ───…っ!!」

志摩が本音を吐き出したところで一層激しくそれを擦り上げ、両横の柔らかい部分も同時に手で揉み解した。
すぐに志摩は高い声を上げて達して、クリームに似た白い液体が俺の口内に溢れんばかりに広がった。
喉元を過ぎるそれは温かく、そしてやっぱりなぜだか甘いように思えてしまった。


「志摩…えっち…。」
「や…っ!やだっ、隼人や…っ!」
「何が嫌なんだ?こんなに出して…。」
「や…っ!言わな…やぁ…っ!ふぇ…隼人…っ、うっうっ、え…っ。」

俺はわざと少しだけ残した志摩の精液を掌に出して見せると、志摩はまた真っ赤になって顔を手で覆ってしまった。
無理矢理その手を退けてみると目に溜まっていた涙が溢れ出し、とうとう志摩は泣き出してしまった。
いつもならここで優しい言葉をかけてやるつもりだったのに、俺はそれすら出来なくなってしまっていた。
もっと泣かせてみたい、もっと恥ずかしがらせてみたいと望んでしまったのだ。


「ごめん、もうしないから…。」
「ふぇ…?えっえっ、う…?」
「もうやめるから…。」
「あ……隼人…っ?あ…あの……っ。」

志摩は自分で自分の下半身を押さえて服の裾で隠していたけれど、その下がどうなっているかなんて見なくてもわかっていた。
今まで何度もセックスをしてきたんだ、口淫で達した後どうなるのかは想像が出来ていた。
志摩がここで治まるわけがないことは、俺には全部お見通しだった。


「志摩…?」
「う……あの…っ。」
「どうした?」
「な…なんでもないで……っ。あっ!だ、ダメです……!や…っ、見ちゃダメ…!!」

志摩の力なんてものは、たかが知れている。
いくら精一杯頑張ってみても、俺には到底敵わない。
捲った服の下からは未だに治まることを知らずにそそり立つそれが見えて、俺は胸の中でしめたものだと舌を出してしまった。


「どうした…?」
「う……隼人…っ、隼人ぉ……っ。」
「どうすればいいんだ…?志摩…。」
「う…えっえっ、隼人……ふぇ…。」
「泣いてちゃわからないだろ…?ちゃんと言えよ…。」
「う…う……隼人が……っ、隼人に……っ、ふぇっ、う…。」
「俺が?俺にどうして欲しいんだ?」
「…って……です…っ、…わって……っ、触っ……ぁんっ!!」

俺は志摩を床に寝かせて、細い脚を思い切り広げた。
まだ濡れたままの志摩自身の後ろにあるそこへ指で触れると、びくりと志摩の身体が跳ねる。






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