番外編「ハッピー・バースディ〜志摩編 2」-4
「志摩……これか…?指だよな…?」
「う……ふ…ぁ…ぁんっ!隼人…っ。」
「指…どうすればいいんだ…?」
「…れて欲しいで……っ、い……入れて欲し…で…っ、ああぁっん…!!」
志摩がその言葉を口にした途端、俺は触れていた指を中に押し込んだ。
まだ少し強張っている薄い粘膜をゆっくりと解すように優しく撫で、奥へと進めていく。
「あっ、はぁ…っ、ああぁ…っ、んん…っ!あ……!!」
蕩けそうなその中を掻き回し、指の本数を徐々に増やしていく度に、志摩は甘い声を洩らした。
その中の一番弱い箇所へ指先が当たると、甘い声は悲鳴のように高い声に変わる。
手で押さえている口元からは唾液が溢れ出し、びくびくと全身が震えている。
またしても達しそうになっているのは、そんな志摩を見てすぐにわかった。
「あ……隼人っ、隼人……も…っ、隼人…っ!」
「志摩…?」
「隼人…が……いの…っ!隼人がいいっ、隼人…っ、お願い…っ!」
「俺が何…?聞こえない…。志摩、ちゃんと言えよ…。」
もう我慢が出来ないのは自分も同じなのに、俺は意地悪することを止められなかった。
志摩から強請って欲しくて、志摩に言わせたくて堪らなかった。
既に完勃ちになった自身をそこに挿入する準備だけは済ませて、志摩の言葉を待つ。
「隼人っ、隼人が…っ、お願いっ、隼人……ちょうだい…っ!」
「何が?何が欲しいんだ…志摩…っ。」
「隼人…のが…っ、隼人のが……っ、あっ、隼人が欲しいで……あああぁ───っ!!」
「…っく………!」
色んな液体でぐちゃぐちゃになったそこに、俺は自身を奥まで挿入した。
張り裂けそうな痛みに顔を歪ませる志摩は少しだけ可哀想だったけれど、その狭い体内は酷く気持ちがいい。
「ああぁっ!やぁっ、あっ、んんっ、ああぁ……んっ!!」
「志摩…っ、っく……あ……。」
志摩がしがみ付いている俺の背中は、爪が食い込んでいる。
それほどの痛みと衝撃に耐えながらも、志摩は俺を受け入れてくれた。
「あっ、やあぁっ!!だ…だめぇっ!!あ…あ……っ!!」
「そ…んな…締め付けるなよ……っ。」
「や……!!わかんな……ああぁっ、やぁっ、ああああぁんっ!!」
「志摩…っ、はぁ……っ、志摩……っ。」
セックスをすればするほど、志摩の身体はどんどんいやらしくなっていっている気がしてならない。
普通だったらマンネリになるところが、回数を重ねる度に新たな志摩を見つけることが出来るのだ。
俺は志摩とすることで初めて、セックスというものが気持ちが良くて楽しいことだと思えるようになった。
ただの性欲の捌け口や体内に溜まった精液の処理道具なんかじゃない、気持ちの籠もった行為なのだと…。
「あっ、や……っ!隼人っ、だめぇっ、だめえぇっ!!」
「ここ…だな…っ?」
「やあぁっ!!だめえぇっ、やっ!いっちゃうっ、隼人…っ、いっちゃう……っ!!」
「いいよ…志摩、一緒に……っ。」
俺自身が志摩の弱い箇所に当たり、明らかに志摩の反応が変わる。
そして激しく執拗にそこを突いて、二人だけで感じることが出来る絶頂へと導いた。
「あっあ……!!やあぁっ、いくっ、隼人だめぇっ、い……あああぁ───…んっ!!!」
「く……っ、は………!」
志摩が達したとほぼ同時に俺は志摩の体内に白濁を放ち、自身をずるりと引き抜いた。
まだひくひくと伸縮しているそこからは、俺の放った液体があのクリームみたいにどろりと溢れ出した。
「はぁ……はぁ……。」
「志摩……。」
息が整わない中で志摩は俺から離れようとせず、しっかりとしがみ付いたままだった。
緩められた爪の跡がついた背中が、ひりひりとして痛い。
「隼人…っ、好き…っ、好きです…っ!」
「志摩…?」
「ずっと…っ、ずっと傍にいてぇ…っ!好きっ、隼人が好きなの…っ!隼人大好き…っ!」
「志摩……っ。」
それは志摩なりの強請り方だった。
もちろん「好き」という言葉も本物で、志摩が言いたかったのも事実だ。
だけどそれは「もっと」という意味をも含んでいる。
その証拠にその後もセックスを続けたけれど、志摩が拒否することはなかった。
「ん……隼人……?」
「志摩…?気がついたか…。」
溺れまくって何度達したかわからない状態の中、志摩はとうとう気を失ってしまった。
その後は寝息をたてて眠ってしまったのを確認して、俺はその間に志摩の身体を拭き、荷物を片付けていた。
そして志摩が再び目を覚ました時には、もう志摩の誕生日は過ぎ去っていた。
「あ……お、俺……っ。い…痛っ、う……!」
「いいから寝てろよ…。無理するな…。」
「うっうっ、ごめんなさ……あぁっ!!」
「な、何…?」
突然起き上がろうとして、志摩の身体が固まった。
あれだけやれば全身が痛むのも当たり前だ。
それでなくても志摩はセックス自体慣れてはいなくて、一回しただけでも起きれなくなることがよくある。
「ケーキは…?ご馳走は……あーっ!!」
こんな時まで食べ物に執着するのもどうかと思うが、腹が減るのは当然だった。
今日は誕生日で二人で過ごすと隣には言っていたものの、俺達はご飯を食べるのも忘れて没頭してしまっていたのだから。
「し、志摩…?」
「うっうっ、誕生日…終わってます…!」
「ぷ……。」
「な、なんで笑うの…?」
「いや…別にいいだろ、そんなの…。」
「そんなの?別にいい?どうしてっ?だってせっかく隼人が…!!隼人はどうでもいいのっ?!やっぱり不倫相手に…!」
叫び出して何かと思えば、そんなことだったとは…。
俺が思わず吹き出すと、志摩は真っ赤になって興奮している。
落ち着きがない奴、というのはまさに志摩のことを言うと思う。
「不倫はもういいって…。そうじゃなくて…、また来年もあるだろ…?」
「は、隼人…!」
「また来年もやろうな…志摩。」
「はいっ!!やりますっ!やりたいですっ!!あ……あのでも…っ。」
また来年もこうして一緒にいられることを、俺は願っている。
志摩ももちろん願っているからこそ、こうして喜んで今から張り切っているのだ。
俺はそんな志摩が可愛くて堪らなくなり、抱き寄せようと手を伸ばすと、志摩は急におかしな表情を浮かべ、もごもごとどもってしまった。
「………?」
「い、今のはその…っ、エ…エエエエッチをっていう意味じゃないです…っ。」
「ぶ……。誰もそんなこと言ってないんだけど…。」
「えっ!あ…!そ、そうだよね…!!お、おおお俺何言って…っ!!わぁん恥ずかしいよー…!」
「いや…するとは思うけど…。」
「えぇっ!!あ…いやっ!あのっ、別に嫌なわけじゃなくて…あっ、それじゃ変だっ、あのっ、そうじゃなくて…っ!!」
志摩はあたふたと慌てまくり、冷や汗まで垂らしていた。
目がぐるぐると回っていて、どんな生き物を見ているより志摩を見ているのが面白い。
この先もずっと、志摩は俺をこんな風に楽しませて、幸せにしてくれるだろう。
「志摩…。」
「は、はい〜…。」
「誕生日おめでとう。」
「は…はいっ!!ありがとうなのですっ!!えへへ、隼人ー。」
何度誕生日を迎えて、幾つになっても。
HAPPY BIRTHDAY TO YOU
END.
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