「All of you」番外編「sweet punishment 2」-2




「よかったー、猫神様、洋平くんと仲直りしたみたいー!」

すぐに銀華さんとの電話を終えた志摩は、満面の笑顔で俺の元へ戻って来た。
ニコニコと笑いっ放しで俺にしがみ付いたりして、何だか自分のことみたいに喜んでいる。
下半身に何も着けていないことだとか、さっきしようとしたお仕置きのことなんて、まるでなかったことのようだ。


「それでね、明日また電話するって!」

本当はやめてやるつもりだった。
散々悩んだ挙げ句、やっぱり可哀想だからと思ってお仕置きなんかしないつもりだった。
だけど志摩がそんな態度を取るからいけない。
そうやって志摩のせいにしてしまう俺はもっといけない。
でも止まらないんだ、どうしても志摩をいじめてやりたくて、我慢が出来ないんだ…。


「あーよかったー…。」
「…よくない……。」

全然よくなんかない。
そんな風にされて、何がいいって言うんだ。
他人のことに首を突っ込んで、俺のことはどうでもいいみたいに…。
単なる我儘やつまらない嫉妬だということは自分でもわかってはいる。


「ほぇ?隼人?どうし…。」
「いや…志摩、寒くないのか?」

だけど俺はやっぱりひねくれているから、そんなことを口にすることは出来なかった。
いや、口にしてしまえば志摩に嫌われる…そういう臆病な俺がいるからだ。
俺はそんな醜い思いなんか何も秘めていないような素振りで、志摩が上半身に着ている服をぺらりと捲って指を差した。


「へ?寒く……ひゃあああ!!あのっ、こっ、これは…!!」
「気付かなかったのか?」
「あのっ、俺電話に夢中で…あの…っ!」
「いっそずっとそれでいたらどうだ?」
「は…隼人……。」
「だって気付かないんだろ?いつもそうやっていろよ…。あぁ、どうせなら上も脱いだ方がいいか?」

これ以上言ったら、また志摩は本気で泣いてしまう。
そのギリギリで止めることが、俺の快感になってしまっている。
そして目に涙を溜めた志摩を慰める振りをして、その身体を抱くのだ。


「ご…ごめんなさ…っ、俺……。」
「わかってるなら…。」
「はっ、隼人はその…こうやっていて欲しいのですか…っ?服…着ないでいて欲しいのですか…っ?」
「………は?!」

志摩と恋人同士になってからもう一年以上経つというのに、未だにこういうことがよくある。
単純で頭が悪いくせに、俺の想像の範囲外のことを言うことがあるのだ。
そうすると俺はたちまち冷静さを失ってしまって、どうしていいのかわからなくなる。


「俺…っ、何でも言うこと聞きます…!だからあの…っ。」
「何でもってな…。」
「だから怒らないで下さ……き、嫌いにならないで…っ。ふぇ…お願いしま…っ。」
「志摩…。」

志摩は本当にバカだ。
救いようがないぐらい頭が悪くて、俺のことばかりで…。
そうだ、ちゃんと志摩は俺のことを考えてくれているじゃないか。
ただ単細胞だから、一つのことしか出来ないだけなんだ。
俺はそんな志摩が大好きだったはずなのに、こんなことでいちいち腹なんか立てて、本当に最低だ。


「隼人ー…。」
「嫌いになんかならないから…。」
「ホ、ホントです……んんっ、んう…っ!」
「ホントだから……。」

俺は志摩の瞼に溜まった涙を舌先で掬い取り、頬に口づけた。
そしてすぐに柔らかな唇に触れて、口内を舌で激しく掻き回した。
お仕置きなんかすることはやめよう。
これはお仕置きなんかじゃなくて、志摩のことが好きで堪らなくてしているキスなんだ。
そう思って志摩の服に手を掛けた瞬間、志摩の言葉に手が止まってしまった。


「あの…お仕置きですか…?」
「え……。」
「さ、さっきあの…するって言ってて…。」
「志摩……。」

これは俺のせいじゃない。
志摩があんまりにもバカだからだ。
そうやって俺を煽るようなことばかり言うのがいけないんだ。
もはや俺は言い訳を通り越して、完全なる責任逃れをしようとしている。
それでも行為を止められなかったのは、上目遣いで見つめる志摩があまりにも可愛かったからだ。


「やっぱり好きなんだな…。」
「ほぇ…?隼人…っ、あ……!」
「やっぱり好きなんだろ?お仕置きされるの…。」
「ち…違いま……やぁ…っ!」

俺は志摩の服を完全に脱がせて、胸にある小さくて赤い果実のような突起を口に含んだ。
同時に手を掛けた下半身は、既に変化をし始めている。


「じゃあこれは?」
「あ……あ……っ。」
「ここ…なんで勃ってるんだ…?志摩…なんで?」
「や……っ、あ…ぁんっ!」

俺は胸の突起から口を離して、志摩の脚を大きく開かせた。
その間に頭を潜り込ませて、目の前にある志摩自身にふぅっと息を吹きかける。
その息だけで志摩のそれは完全に勃ち上がってしまい、再び先端が僅かに濡れ始めている。


「好きなんだよな?」
「う……ふぇ…っ、でも…でも……っ。」
「でも?」
「でも俺…っ、変だって言われるもん…っ。」

志摩のそこは我慢が出来ないのか、ぷるぷると小刻みに震えていた。
溢れ出す先走り液が先端をどんどん濡らして、自分も同じ物を持っているはずなのに、何だかやたらといやらしい物体に見える。


「何が?」
「は、隼人にそういうこと言われると…その…っ、あ……!」

その我慢が先に限界に来たのは俺の方で、とうとう志摩のそれを口に含んでしまった。
口内にすっぽりと収まってしまうぐらい小さなそれも、志摩の男を象徴する大事な部分だ。


「言われると…何?」
「い…言われると…はあぁんっ、ダメなの…っ!俺…っ、隼人に怒られると…嬉しくなっちゃうの…っ!」
「志摩…?」
「怒られてるのに…っ、嬉しくなっちゃうんだもん…っ!そんなの変態さんだって言われちゃ……あっ、あぁ…んっ!」

きっと志摩は恥ずかしがって、それ以上何も言えなくなると思っていた。
それどころか泣いてしまうだろうと思って、そうなることを待っていた。
そうして優しい言葉を掛けてやろうと思っていたのに、勝手な予想は見事に裏切られ、望んでいた以上の答えが返って来てしまった。


「嬉しい…?」
「だって…っ、俺のこと構ってくれ…俺のことばっかりみた…で……や……っ!!」
「そうだな……。」
「やだぁっ、あ…あ……!」
「怒られて興奮するなんて…変態だな志摩は…。」
「ち…ちが……あっ、あぁんっ!!」

俺が意地悪なことばかり言う度に、口内に広がる先走り液は自分の唾液と混じり合い、志摩自身もどんどん質量を増していく。
それを興奮と言わずに何を言うんだ。
自分から変態だと言っておきながら俺に言われると否定するなんて、何てバカなんだろう。
だけどそんな志摩を見て興奮してしまっている俺は、もしかしたら志摩よりも変態なのかもしれない。


「違う…?」
「あ……やああぁ………っ!!」

激しく志摩のそれを口内で擦り上げるように出し入れすると、その先端から勢いよく白濁液が放たれた。
生温かい液体は俺の喉元を通り、受け止め切れなくて口元を溢れてしまったものを手で拭った。


「違わないよな…?」
「う……ふぇ……っ。」

放ってもなお膨張の止まらない志摩のそれをぎゅっと握りながら、脚を大きく開かせて持ち上げる。
その間から見える志摩の顔は既に真っ赤というレベルを超えていて、羞恥の涙が頬を伝っている。


「違わないだろ…?」
「ちが……あ……っ!!」

志摩の秘密の部分に舌先で触れて、先程と同様に息を吹き掛ける。
そこが僅かに伸縮したのを確かめると、濡れた中指をゆっくりと挿し込む。
ビクリと身体を震わせながら志摩はその指を受け入れ、顔を歪ませながら身を捩った。


「ほら、ここもこんなに…。」
「ち…がわな…です……っ!」
「志摩…?」
「ごめ…なさ……っ、違わないです…っ!隼人ごめんなさい……っ!」

一体どうすれば俺を煽る言葉ばかりその口から出て来るんだろうと、時々不思議に思ってしまう。
どこまで俺を驚かせるようなことを言うつもりなんだ。
これ以上興奮させてどうするつもりなんだ。
自分から仕掛けたことだけれど、これではすべてを志摩のせいにしたくなってしまっても仕方がないとしか言い様がない。


「ふ…違わないんだな…。」
「ごめ……ひゃあんっ!あ……やあぁ…っ!!」

だけど俺は、それを志摩本人に対しては決して認めようとしない。
そんな風にして全責任を被って泣いている志摩が可愛くて、もっといじめてやりたくなってしまう。
俺の悪い癖はどんどん卑しく、酷くなるばかりだ。


「違わないんだろ?嫌なはずないよな…?」
「ひゃ……ああぁっ、や…っ、ああぁっ!ダメで……ああぁんっ!!」
「ダメ…じゃないだろ…?嘘吐くなよ…。」
「ごめんな……ああっ!嘘で……っ、嘘ですごめんなさ……っ!!」

志摩が正直になってとんでもない台詞を吐けば吐くほど、俺は欲張りになっていく。
もっとその口にいやらしいことを言わせたい、もっとその身体をいじりたい。
あれほど汚れていないように見えると思っている志摩の身体を、自らの手でもっと汚したい。
俺の心の中は触れている志摩の後ろ部分よりもめちゃめちゃでぐちゃぐちゃな状態だ。


「気持ちいいんだよな…?ここ…志摩はここがいいんだよな…?」
「う……ふぇ……ああぁっ!やあぁ…っ!」
「志摩…言えよ…っ、志摩……っ。ここだろ…?」
「や……っ、い…いいで……ひゃあんっ、ああぁっ、いいです……っ!」

数本の指を一緒に再び滑り込んだ舌に志摩の身体は飛び跳ね、高い声を上げた。
目の前にそそり立った志摩自身は早くも二度目の絶頂を迎えようとしている。
このままそれを見ているだけでもよかったけれど、俺の下半身も最早限界だった。
ひくついている志摩のそこの奥へ自分を沈めて、一緒に迎えてやりたいと思った。


「志摩はえっちだよな……っ。」
「ふえぇ…隼人ー……っあ────…っ!!」

もう何度も吐き出した「ごめんなさい」を最後まで聞かずに、俺は志摩の中へゆっくりと入った。
熱いそこは俺を待っていたかのように粘膜が吸い付いて来て離れない。


「や…ああぁ……!!隼人っ、あ…ああぁ───…っ!!」

俺の下で涙をボロボロと零す志摩を見た時には、さすがに自分の中の罪悪感に負けそうになった。
だけどそれよりも強い欲望には到底勝てなくて、志摩の身体を激しく揺さ振った。


「う…ふぇっ、あ……ぁんっ!!んんっ、やああぁっ!!」

すぐに志摩の弱い部分に俺自身がぶつかり、高くて甘い声が次々に漏れる。
俺は志摩の頬を流れる涙を舌先で掬いながらバカみたいにそこを突きまくって、二人で迎える絶頂へと導いた。


「や……隼人…っ、も…もう……っ!!」
「もう…イくのか…っ?」
「あ……ぁんっ!!だめぇっ、いっちゃう…っ、いっちゃ……あああぁ───…っ!!」
「…………っ!!」

志摩はぎゅっと目を閉じながら大きく口を開けて、二度目の絶頂に達した。
俺はその瞬間に自身を引き抜いて、志摩の太腿に白濁液を思い切り放った。






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