「神様も恋をする」-10




「んー、んー…。」
「ほらほらシマにゃん、もっとべろ出してみろよ。」

湯船に浸かりながら、何度もキスをする。
触れるだけだったものも、回を重ねる毎に激しいものに変わり、応え切れないシマが苦しそうに息を洩らして喘ぐ。


「べー…?こう?」
「そうそう、よく出来まちたー。」
「んー、ふうぅ…っん!アオギ、苦し…っ!」
「まだまだだぞ?」

肩に掴まったシマの手の力が段々強くなる。
俺は水中でシマが離れないようにしっかりと腰の辺りを支えていた。
キスを交わす動きで揺れる水面から、時々お湯の粒が跳ねる。
シマの頬から滴る雫は、さっき洗った髪なのか、この熱さのせいで出た汗なのか。
それとも大きな目に滲んでいる涙なのか。
俺の頬に水滴となって何度かピシャリと落ちた。


「アオギ…、あついー…。」
「ん?そうだなぁー。んじゃほら、ここ座って。」
「で、でも…!」
「誰も見てないって。」

確かにこのままだと二人して逆上せてしまって間抜けなことになると気付いた。
キョロキョロと辺りを見回して躊躇するシマを抱え、風呂の縁に座らせる。
ぼんやりと暗い照明の中で、シマの濡れた肌が光っている。
その中心には、シマの雄を象徴するものがはっきりと見えて、思わずごくりと唾を飲んだ。


「アオギ…?」
「可愛いなぁ…。」
「あんまり見ちゃダメなの…。」
「見たいんだから仕方ないだろ?シマにゃんこの大事なところ。」

座るシマの前で膝立ちになってそこを凝視する。
さすがに恥ずかしさを覚えたシマが、暗闇でもわかるぐらい真っ赤になっている。
前に見た時よりも、今はもっと可愛く感じてしまうそれを指先で軽く突いた。


「わっ!アオギ…っ、やっ!やだ…っ!」
「んー…?猫パンチは禁止な?」
「あ…ぁっ、あ…ぁん!」
「よちよち、そのままだぞ?」

触れるだけでは我慢が出来なくて、シマの膝を割ってそこに頭を埋める。
目の前にあるシマ自身を、迷わず口に含む。
シマの猫パンチが飛んできそうになって、その拳を手で抑えた。
ぎゅっと握って言い聞かせると、大人しく猫パンチを引っ込めてくれた。
まだ幼くて、表面もつるつるしているそれが、口内にすっぽりと収まると、舌で丁寧に舐め回しながら出し入れを繰り返した。


「んー…っ、あ、あー…っ。」
「シマにゃんこー…ほら、見てみろよ。」
「う…、やー!や…っ!アオギ、何…っ?」
「これはな、気持ちよくて勃ってるんだよ。」

どうやらシマは勃起のことすら知らなかったようだ。
それは当然のことだが、その無知さが俺には新鮮だった。
染み出した先走り液を自分の唾液と絡め合いながら、執拗に愛撫を続ける。


「ん、おいちいなぁー。」
「アオギ…っ、へんっ、僕へん…っ!」
「んー?」
「や…、へんだよっ、アオギ…ぃっ、やぁ───…っ!!」

シマがじたばたと足を動かして、思い切り背中を反らせる。
俺の頭を掴みながら、高い声を上げた時、口内にとろりとした液が吐き出された。


「ア…、アオギ…、今の…僕…っ。」
「よちよち、頑張ったな。よく出たな、シマにゃーん?」
「う…、やだよー、へんだよー…!」
「変じゃないって。大丈夫、これが普通なんだから。な?」
「うー…、うー…。」
「あーほらほら、なでなでしてやるから。シマにゃんなでなでー。」

もちろん射精もシマにとっては初めてだった。
その現象自体よく理解出来ていないわけだから、泣きたくなるのもわかる。
俺もその昔、初めての時は泣きたくなったものだ。
今となっては思い出すのも困難なぐらい、昔の話だけれど、俺もこうして大人との交尾の相手をしていた。
もうそんなことは過去のことで、今考えることではないから、脳内から思考を消し去る。
頭を撫でられるのが好きなシマは、すぐに俺の掌によって大人しくなる。
シマにとって俺のこの手が、安心する材料なのだと思う。
俺の思い込みじゃないのが、シマの表情から読み取れる。


「アオギ…?今のはアオギにもすればいいの?」
「えっ!」
「僕お返ししなきゃいけないと思って。」
「いや…、それはいいよ…。」

まさかそう来るとは思っていなかった俺は、思わず動揺を露にしてしまった。
それは雄としてしてもらいたいことはしてもらいたいが、さすがに初めてでそれはきついだろう。
それにシマにされたりなんかして、速攻で達してしまったら恥ずかしい。


「いいの?しなくていいの?」
「うん、もっとお前が大きくなったらな?」

もう少し、お前が大きくなったら。
俺はその時もお前の傍にいたい。
その時は俺も、少しは今よりもいい奴になっているだろうか。
なってなくてもお前はいいって言うだろうか。
それは見えなくても、脳内に鮮やかに描くことが出来る、確かな未来だ。


「うん、僕おっきくなる!いっぱい食べておっきくなるよ。」
「そうだな。」

それはきっとまだまだ先。
それよりも今は、俺に全部を任せて欲しい。


「アオギ…?……あ!アオギっ、どこ触って…っ!」
「んー?シマにゃんこのもっと大事なところかなー?」
「やっ、恥ずかし…っ、アオギ、脚やだっ!」
「こうしないと見えないだろー?」

シマの細い脚を肩の辺りまで持ち上げる。
再び勃ち始めたそこより下へ指を移動させた。
近くに置いてあった全身洗浄剤を掌に垂らして泡立てる。
誰にも知られていない、未開発の土地を拓くように、ゆっくりとぬめった指先を差し込む。
狭すぎる窄まりが、俺の指を受け入れてくれるのか心配になるほどだ。


「なんで…っ、なんでそこ…っ!」

その場所が何かを挿入するところではないことはシマでもわかるようだ。
初めて異物を受け入れたそこが、驚いてきゅっと伸縮した。


「交尾っていうのはここでするんだ、シマ。」
「アオギ…っ、でも…っ!」
「大丈夫、痛いことはしないから、な?」
「うん…っ、うん…っ!」

シマを裏切ることだけはしたくない。
交尾をしたことで軽蔑されるのも、嫌われるのも嫌だ。
出来るだけ無理のないように、負担のないようにしてやりたい。
とは言え挿入する側とされる側では、まったく違うことは俺も知っている。
本当に時間がかかったけれど、なんとかシマのそこを解すことが出来た頃には、
水中の俺自身は限界というぐらいに質量が増して角度が変わってしまっていた。


「アオギ…?」
「ゆっくりでいい、後ろ向いて息吐け、な?」
「うん…、アオギ…っ。」
「そうそう、いいぞ、シマにゃんこ、えらいえらい。」

この態勢で挿入してしまうとシマの尻が擦れてしまう。
せっかくの柔らかくて綺麗な肌に傷でも付いたら大変だ。
もう一度浴槽に下ろして、縁に手を突かせる。
解された後ろを突き出し俺に向けて、シマが深呼吸をした。


「────…っ!!アオギ………っ!!」
「ごめん、ちょっとだけ我慢…っ。」

思った以上に狭いそこに、自身を挿入した。
圧迫感と痛みでシマが悲鳴にも似た声を上げる。
あまりの狭さに、途中で止めた方がいいのか迷うぐらいだ。
もちろんそんなことが出来るはずはないのだけれど。


「アオギ…、アオギ…ぃっ!あ、あ…っ!」
「うん…ごめん痛いよな…っ、ごめんな…っ。」
「う、うぅん…っ、アオギ、いいの…っ、ごめんはいいの…っ!」
「うん…っ。」

ごめんはいいの。
謝らなくてもいいの、大丈夫なの。
意識が飛びそうになっているシマの言いたいことはちゃんとわかる。
涙を流しながら挿入に耐えるシマが愛しくて堪らない。


「アオギ…っ、あ、あぁ…んっ!」
「ほらシマ…、入った…。」

全部を挿入するまでには随分苦労したが、きちんと自分のものがシマに収まっているのを見ると、
俺はほっとしてなぜか泣きたくなってしまった。
後はこれを痛いだけの記憶にしないように。
交尾は気持ちいいものだと記憶出来るように。
俺との初めての交尾がずっと記憶に残るように。
細い腰を支えながら、ゆっくりと動きを加えた。


「あ…、あー…っ、あ、あ…ん…っ。」
「気持ちいい…っ、シマは…っ?」
「アオギ…ぃ、アオギ…ぃっ!」
「気持ちいいんだな…っ?」

次第に速度を変えていくと、シマの口から俺の名前が洩れる。
掠れるような喘ぎ声に、俺は興奮でおかしくなって鼓膜が破裂しそうだった。
こんなに可愛くて甘い声は聞いたことがない。


「アオギ…っ、またへん…っ!」
「ん、俺も変だからいいんだよ…っ。」
「へん…っ、アオギっ、あっ、へん…っ!」
「わかってる…っ。」

シマの「へん」は達する合図だ。
熱く蕩けそうなそこに、俺自身が何度も出し入れされて、厭らしい音が響く。
肌寒いと言っていい程の気温になっているというのに、それでも汗が大量に流れる。
しっかりとシマを抱きながら、一番高いところへ向かって最後の力を振り絞った。


「あっ、アオギっ、んっ、んあぁ────…っ!!」

シマが一番高い声を上げて、二度目の精を放った。
ほぼ同時に俺も達しそうになり、シマの体内から抜いて水面に白濁液を放出させた。







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