「玲、逃げよう。」
玲の記憶は戻り、病院からも解放された。
つまり、俺とのことも思い出したのだ。
両親はきっと自分達を離れ離れにしてしまう。
玲と離れたくない。
二人で逃げよう。
二人きりになれるところへ行こう。
ある日の夜中、二人で家を後にした。
「ここなら、誰にも知られていないから。」
いつかの時の、玲の実父が遺した別荘。
深い深い森の中で、玲と二人きり。
あの時と違うのは、自分達の思いを確かめ合ったということだ。
「玲…‥。」
玲に口づける。
病院でセックスした時以来、キスをした。
「あ…っ、んう…っ。」
優しいキスは、次第に激しいものへと変わる。
玲の舌が巧みに絡んで、俺もも応えて、唾液が溢れ出す。
「んっ…ん、玲…っ。」
「何?義兄さん、もう感じて来た?」
俺はは真っ赤になって頷いた。
でもここには、玲しかいない。
他には誰も見ていない。
「どこをどうして欲しいか、言えるよね?」
もう、プライドも何もなかった。
ただ今は、玲に溺れたい。
「舐めて…。全部舐めて欲しい…。」
自ら服を脱ぎ始めた。
まだ脱ぎ終わっていないのに、胸の突起を玲の指がなぞる。
すぐにそこは反応してしまい、紅く膨らむ。
「あっ、玲…っ、もっといっぱい舐めて…ぇっ!」
「堪え性のない乳首だね。駄目だよ、義兄さん。」
玲が濡れた音をたてて吸ったり捏ねたりすると、たまらなくなる。
置いてあった銀色の二連の洗濯挟みを、片方の乳首に付けられる。
「いた…っ、痛い…っ。」
「義兄さんは痛くされるのも、好きだよね?」
挟まれたそこが痛み、涙が滲む。
片方は痛くされながら、片方は玲の舌が優しく這う。
そのアンバランスさに、何とも言えない快感が押し寄せる。
「ダメっ、なんかイきそ…‥っ!」
長い時間をかけてたっぷりと愛撫されるうちに、快感は出口を求めていた。
胸への愛撫で、下半身も凄いことになっていたのだ。
「あははっ、義兄さん、乳首弄られただけでイっちゃうの?」
「あぁっ、や…、出る…っ!」
「あぁ、義兄さん…、パンツまでびちゃびちゃだね。」
「う…‥うぅ…っ。」
下着を下ろそうとした寸前に射精してしまった。
さすがに羞恥心でいっぱいになって、涙を零す。
「泣かないで、義兄さん。可愛いかったよ、凄く。義兄さんは凄く可愛いよ?」
玲に慰められて、俺はは泣き止むと、今度は服を全て脱いだ。
濡れた下半身を玲の目の前に出した。
早く触って欲しくて。
「ねぇ義兄さん、僕がいない間は一人でしてたの?」
「してた…、玲のこと、思い出しながら。」
玲の微笑った顔。
残酷な言葉も。
残虐な行為も。
玲を形成する全部。
玲が、すべて。
玲だけが、自分のすべて。
「じゃあ、してみてよ。僕の目の前で。」
「恥ずかしい、で、出来ない…っ。」
俺は頭をぶんぶんと横に振る。
でもきっと玲は許してくれないだろう。
許してくれないのを、俺は知っている。
「義兄さん、言うこと聞かないとお仕置きだよ?」
そうだ、待っていたんだ。
玲に酷くされるのを。
「さぁ、早く。」
「あ…っ、ん。」
玲に強く命じられて、自分のペニスを握った。
先程出した精液を絡ませて、激しくペニスを擦る。
玲が、見ている。
視線にまで犯される。
「あっ、玲っ、玲…っ!」
「義兄さんが一番弄られたいのはどこ?」
玲の名前を呼びながら、勃ちっ放しのペニスを擦り続けた。
一番弄られたいところ。
それは…。
それは、いつも玲が穿つ、秘密の箇所。
俺は濡れた指を後孔に滑らせた。
「んっ、あっ!」
刺激が走り、身体が跳ねると、それ以上挿れられなくなった。
「誰がやめていいって言ったの?」
違う。
そうじゃないんだ玲。
自分の指じゃ駄目なんだよ。
「ふふふ、義兄さんはお仕置きされるのが相当好きなんだね。僕もよくされたよ。」
「痛い…っ、玲っ、痛いっ!」
玲は笑って、前に使った鞭を俺の身体に振り下ろした。
鋭い痛みが身体に走る。
でももうわかっている。
痛いだけではないことを。
玲もわかってやっている。
「玲っ、もっと…!もっとぶって…っ!」
「あははは!義兄さんて、やっぱり痛いの好きなんだ。」
玲は笑いながら容赦なく俺を鞭で打った。
打たれながら、俺は後孔への自慰を続けながら、またペニスから飛沫をあげた。
「うわぁ、義兄さんてば、淫乱だね…、そんなにイっちゃって。」
玲とする行為なら、もうなんでもイってしまいそうだ。
淫乱でももういい。
玲が好きで仕方ないから、そう言われてもいい。
でも、最後はやっぱり玲のものでイきたい。
「玲、お願い…、玲の…、ここに挿れて…。」
自分の後孔を指で拡げながら、涙を流して懇願する。
早くこの中に、玲が入って来て欲しい。
「そんなに僕のおちんちんが好きなんだ?」
玲は勃起したペニスを取り出すと、その入口に付けた。
早くもっと中へ。
願いながら、もう一度懇願する。
「好き…っ、玲のおちんちんが好き…っ!早くっ、挿れて下さいっ、お願い…します。」
「義兄さんはやっぱり可愛いね。」
玲は優しく微笑んで、瞼にキスをすると、一気に自分のペニスを俺に突き挿れた。
「────ぅああ──…‥っ!!あっ、あ!!」
体内を、玲の熱いペニスが激しく突いて穿つ。
もっと玲が欲しくて堪らない。
「玲っ、もっと…!もっと、もっと…‥っ!!」
「よかったよ。父さんにアナルセックス教えてもらってさ…っ。薬の使い方もね。義兄さんに会うためだったんだね…。」
運命だった。
二人は出会って、こういう関係になる。
「玲っ、お願いっ、もっと動いて…っ!玲っ、もっと…っ!」
「もっと、なんて可愛いね。義兄さん、だから好きだよ。」
好き…‥。
玲の口から、零れた言葉。
意識が飛びそうになりながら、身を捩る。
「玲っ、好きだ…、玲が好きだ…っ!」
誰よりも。
玲が好きだ。
好きで好きで堪らない。
「あ…んっ、あ、あぁんっ、中に、いっぱいっ、かけて…っ、玲のっ、欲しい…っ!」
玲という人間が存在する限り、俺は求め続ける。
どこにいても、いつでも、俺は玲を求め続ける。
「ふふ、わかってるよ義兄さん…。ちゃんと中に出してあげる。」
繋がった箇所から全身に、快感で痺れを覚える。
二人の身体が激しく揺れる。
「ああっ、イくっ、イく…っ!玲っ、あっ、玲───っ!!」
「義兄さ…‥、知紀…っ。」
初めて名前で呼ばれた瞬間に、俺は三度目の射精をした。
玲もまた、俺の体内に精液を勢いよく放った。
「…義兄さん、義兄さん?」
「‥…あ‥。」
気が付くとベッドに綺麗な身体で横たわっていた。
あの後セックスを続けているうちに、失神したらしい。
「大丈夫?」
「全身が…、おかしい。」
身体がだるくて重くて、痛い。
何度したのか、正確な数もわからないぐらいのセックスだった。
「義兄さん、ごめんね。」
玲は悲しそうに俺を見つめる。
そんな顔なんて見たくない。
「こんな…、まわりを裏切るようなことさせて。でも…」
また、玲が泣いている。
自分のせいで玲が泣いている。
玲が悲しんでいる。
「義兄さんが好きだから、どうしても、自分のものにしたくて…。」
好きだから、自分のものにしたい。
自分だけのものにしたい。
それは俺も同じだ。
「いいよ、俺も…玲が好きだから。」
濡れた玲の瞼にキスをする。
可愛い、俺の義弟。
可愛い、俺の恋人。
「さっき、俺のこと…名前で呼んで言ってくれたよな。」
もう一度、玲の口から聞きたい。
「うん…知紀…‥。」
「玲…‥。」
好きだよ、愛してるよ。
この世で一番、誰よりも。
例えこの先見つかって、離れ離れになったとしても。
この恋は、終わらない。
俺は玲に、玲は俺に、囚われているから。
「玲…。」
「知紀。」
身体も、心も。
終わらない。
きっと死ぬまで。
「愛してる…。」
報われの愛の言葉を、二人で同時に囁いた。
きっと俺たちは、お互いが囚われの身なんだ。
それは出会う前から、出会ってから、この先もずっと。
果てしなく。
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