「そらいろ-2nd period」-6
俺はずっと空が大好きだから。
だから空に、約束のしるしにいいものあげるよ。
「あきちゃん…、もう寝るの?ご飯は?」
いきなりベッドに下ろされて、空には何がなんだかわからない。
部屋の明かりは点けないまま、キョロキョロする空をゆっくりと寝かせる。
「あきちゃん、ご飯……ん…っ、あきちゃん…?」
「だから空を食べるんだよ。」
俺が上に乗ってもまだわからない空に、優しくキスをする。
空は驚いた表情を浮かべて、俺をじっと見つめている。
ここまで来るのに、俺はもう何年も待っていた。
越えていけないと何度も踏み止まった線を、今自らの足で踏み越えようとしている。
壊れるのが恐くて、空を壊してしまうのが恐くて踏み込むことさえ出来なかった線。
「えっ?空を食べる??」
「うん、だから空も俺を食べてもいいよ。」
「あきちゃん、わかんな…、あ…っ、あきちゃん…?!」
「二人で食べ合いっこしよう?」
動揺している空の服を捲ると、小さな突起が現れた。
いつも風呂場で触れているのとはまた違う感触がするのは気のせいだろうか。
乾いているのに弾力があるそれを、指の腹でそろりと擦る。
「あきちゃ…、ん…っ、んん、んー…。」
「気持ちいい?」
「うんー…、きもちいー…。」
「そっか、よかった…。」
親指と人差し指で挟むようにしてそこを弄っていると、空の目がとろりと蕩け出す。
眠る前みたいな、心地良さに溺れている目だ。
その突起を指によって更に膨らませて、口に含んでみた。
「あきちゃん…っ?んっ、んー…。」
「空、美味しい。」
「あきちゃ…、あっ、あ…。」
「空は美味しいな…。」
音をたてながらそれを舐め回すと、空の口から漏れる声が大きくなっていく。
熱くなった皮膚の味は、想像以上に甘くて、それだけでも腹一杯になりそうだ。
「あきちゃんー…、んー、あ…ん…。」
捲った服を性急に脱がせて、空のズボンにも手を掛ける。
俺がずっと前から教えて来た快感を知っている下半身は、早くも反応を示していた。
それが服の上からでもわかって、なんだか嬉しくなってしまった。
「空のここも食べていい?」
「やっ、あきちゃん…!だめぇ…!」
下着も一緒にずり下ろすと、小さな性器が勢いよく飛び出した。
幼いながらもきちんとそれは上向きになっていて、先端に湿り気を帯びていた。
「空のこれ、俺にちょうだい。」
「あきちゃんー……。」
それを手でそっと包むと、空は涙を溜めながら無言で首を縦に振ってくれた。
初めてのことでどうしていいのかわからない仕草がまた可愛い。
俺のところに来て、初めて一緒に風呂に入った時から俺はこれが欲しかった。
あの時異常なほどの興奮を覚えて、それからずっと空への愛撫を繰り返して来た。
身体を洗うという言い訳や嘘で誤魔化して来たけれど、今は違う。
空のことが恋愛対象として好きで、空も俺を好きだと言ってくれて。
その気持ちを確かめるための行為なんだ。
「あ…ぁんっ、やぁ…んっ、あきちゃん…っ。」
つるりとした表面を丁寧に舐めて、口内にすっぽりとおさめた。
それを出し入れしながら、滲み出す液をじっくりと味わう。
邪魔になったズボンと下着は、口淫をしながら全部脱がせた。
「あきちゃ…、へんっ、空へんだよ…ぉ、へんなのぉ…っ!」
「変…?」
俺も空がいつもと違うことに気がついていた。
涙を流しながら喘ぐ声や震える身体の様子がおかしいと。
それでも止めることなんか出来なくて、何度も出し入れを繰り返していた時だった。
「なんか変なの…っ、やっ、あきちゃあぁ…んっ!!」
空が大きく口を開けて、背中が後ろに反った瞬間、俺の口内に生温かいものがとくん、と吐き出された。
とろりとした白いそれは、初めてみる空の精液だった。
「あきちゃ…っ、あきちゃん…っ。」
「空…。」
息で声を詰まらせながら、空は俺の名前を呼んでいる。
大きく見開いた目からは、大粒の涙を流して。
「どうしよう…、空病気なの…?」
「え…?」
「だって今…、今へんなの出た…っ!あきちゃんどうしよう、空病気で死んじゃう…!!」
「空…。」
そういえば俺も初めて射精した時は、こんな風に驚いたっけ。
空みたいに病気なんじゃないかと心配になって、動揺しまくって。
だけどそれが学校で習ったり友達から聞いた生理現象だと知って、安心したやら恥ずかしいやらで何とも言えない気持ちになったのを思い出す。
「違うよ、病気なんかじゃないよ。」
「でも…。」
「学校で習っただろ?ほら…、この間の授業参観の時にも。」
「あ…。」
空は思い出したのか、すぐに泣き止んだ。
それはあの授業参観の特別授業での話に出て来たことだった。
思春期になると、男の子と女の子には大きな違いが出るという話。
そして恋をして大人になって、やがては家族を作っていくという話。
「それは空が男の子だっていう証拠なんだよ。」
「そっかぁ…。あきちゃんは?」
「俺も男だよ。」
「男の子が男の子をすきでもいいの?男の子と男の子はえっちなことしてもいいの?」
俺は一瞬だけ、言葉に詰まってしまった。
今ここでいけないことだと言わなければ空は間違った道を歩んでしまう。
だけどそれが本当にいいことなのだろうか。
空に間違ったことだからダメだと突き放すことが正解だと、誰が決めたんだろう。
何が正しくて何が間違っているかなんて、それはその人が決めることなんだ。
今までそのせいでずっと迷っていたけれど、俺も空が好きで空も俺が好きなら、それが正しいことだと思ってもいいことなんじゃないか?
「空は俺が好き?」
「うん、空はあきちゃんがだいすきだよ。」
「好きなことにいいとか悪いとかはないんだよ、空。」
「うん…。」
「好きだからえっちなこともするんだよ。」
「うん…!」
俺は世の中から見たらきっと最低な大人で、最低な叔父に違いない。
だけど空にとって最高のところにいられるならそれでいい。
空が好きでいてくれるなら、俺はどんなことでも耐えてみせる。
「俺の好きだっていうのも…、受け取ってくれるか?」
「うん…。」
「俺の好きも、空にもわかって欲しいんだ…。俺をあげたいんだ。空に俺を食べて欲しい。」
「うん、空もあきちゃんが欲しいよ?」
空はこれからどんなことをされるか、まだわかっていない。
空にとってセックスは未知の世界なのだから。
日頃関わることもないような、大人の世界のことなのだ。
俺をあげたいと言われても、それがどういうことなのかはわからない。
だから笑顔で俺に抱き付いてキスをするんだろう。
「空、いいか?脚を…。」
「えっ、えっ?」
「そう、もっとおっきく…な?」
「あきちゃん…?わ…っ、ひゃあ…ん!!」
空の細い両脚を大きく開かせて、秘密の部分を明るみにする。
初めて間近で見るそれは、狭くて小さくて、何かが入るなんて到底思えなかった。
濡らした指をゆっくりと挿入すると、空が驚いて叫ぶ。
「あきちゃんっ?!何してるの…っ?あ、んん…!!」
思った通り、指もすぐには入らないぐらいだった。
開いた脚の間に顔を埋めて、そこを唾液で濡らして指を進めていくしかなかった。
「あきちゃ…、そんなとこ…っ?あきちゃ…はぁっ、んんっ!」
空にどう説明をしていいのかわからなかった。
正確には、説明して恐がって途中で止められるのが嫌だったと言った方がいい。
ただこの身体でわかってもらえればいいとも思った。
「あきちゃんー…、んんっ、ふぇ…、あ…んっ!」
どれぐらい経ったかわからないけれど、随分時間をかけて、空のそこは俺の指を飲み込んだ。
唾液と空の放った液と汗でシーツが濡れてしまって、それが時々肌に貼り付く。
異物感に耐えながら受け入れた空のそこは、少しずつ快感を覚えていくようだった。
「空、俺をもらって…。」
「う…うんっ、あきちゃ…っ、あきちゃんちょうだい…っ?」
「いいか?力抜いて…。」
「うん…、あ、あきちゃん…?!」
俺の下半身はもうおかしいぐらい膨張してしまっていた。
途中で気付いて下着姿にはなったけれど、それを脱いで改めて見ると、今までにないぐらいになっていたのだ。
空はそれを見て目を丸くしている。
「空にあげる…。」
「あきちゃ…?あき……あ…、ああぁ────っ!!」
空の脚を高く持ち上げて、俺はそこに自身を沈めた。
空が悲鳴に近い声を上げたのにはさすがに悪いと思ったけれど、止められなかった。
キスをしながら抱き締めた空が、俺の背中に手を回してくれたから。
想像も出来ないぐらいの激しい痛みに耐えて、俺を受け入れてくれたから。
「ごめん…、空…っ。」
「あきちゃ…っ、ふえぇ…、あきちゃんー…っ!」
「ごめんな…っ。」
「あきちゃんっ、あきちゃんっ!」
謝罪の言葉を繰り返しながらも、俺の身体は空を揺さ振っていた。
小さくて細い空の身体が、精一杯それに応えてくれる。
空の痛みを感じることは出来ないけれど、それ以上に空の思いを感じたい。
痛みを取ることは出来ないけれど、それ以上に俺を感じて欲しい。
そうなるように俺は空の全部が欲しいし、俺の全部を空にあげたいんだ。
「空、好き…、大好きだよ…っ。」
「うん…っ、あきちゃ…、くーも…、くーもだいすき…ぃっ!」
「くー、大好き…。」
「くーもあきちゃんがだいすきぃっ、すきなの…ぉっ!」
全身を揺らしながら、バカみたいに二人で告白を繰り返した。
途中から空の意識はなくなって、俺の意識もはっきりしなくなった。
ただ俺は空を感じて、空は俺を感じて、心も身体も一つになれた。
嬉しくて幸せで、俺まで泣きながら最後は絶頂を迎えた。
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