「ラブホリック・ランドリー」-6








結局作ろうとしたご飯は失敗した。
ついでにラブラブ大作戦そのAもある意味失敗した。
だって聖くん大学生なのに一人エッチもしたことないなんて…!
そしたら二人でエッチなんか先の先の先の先じゃん?!
お、おじいさんになるまでできるかなぁ…。
つか、おじいさんになった時にそんな体力あんのか俺?!
しかもムードってもんがないような…。


以下、50年後の俺と聖くん:
「聖さんや〜、もっとこっちに来ておくれ」(まだ誘っている)
「篤紘さんや、わしゃ篤紘さんが好きじゃ」
「そうかいそうかい。嬉しいのう。それなら契りでも交わそうかのぅ。」
「そうじゃのぅ。まずは腰に湿布貼らんとな。」
「わしもじゃ。聖さん貼ってくれんかのう。…聖さん?聖さんっ?居眠りはいかんぞ!」
「……篤紘さん……。」(寝言)


絶対こんなの嫌だぁ!!!!!
ここまで経ってもエッチできてなかったらどうするんだ俺!!
あぁ、すごおぉぉーーーく不安になってきた…。


「篤紘さん?どうしたんですか?」
「い、いやー何でもないよ!」

どうしたもこうしたもあなた。
あなたのせいでこーんなナーバス(?)になってるっていうのに。
あぁ俺ってなんて繊細なんだろう…。


「中に入らないんですか?ここですよね?」
「うん…。」

どうせなら俺の中に入ってくれよぉー!
こんなんじゃ俺、欲求不満で死んじゃうよ。
そんな泣きたい気分で、仕方なくまぁくんの店まで俺たちはやって来たのだった。
やっぱり食べるもん食べて体力つけないとエッチもできないってことで。
早く俺も食べて欲しいんだけどな…。


「お、篤紘、なんだやっぱり振られ……あれ?もしかして…。」
「ふっふっふー、聖くんでぇーす♪残念でした、振られてませーん。」
「あの、はじめまして、清原です。篤紘さんには大変お世話になっています。」

店の中に入ると、早速まぁくんは俺だと気付いて、声を掛けて来る。
また俺が男とダメになったとでも思ったんだろうな。
ふっふーん、これがダメになんかなってないんだな。
いや、エッチはまだなんだけど!(※ここ重要!!)
聖くんは俺の後ろから顔を出し、律儀に挨拶までしている。


「ほおおぉーこれが噂の!!ふぅ〜ん、まぁお前の好きそうな感じだよなぁ〜。」
「ちょっとまぁくん!そんな舐めるように見ないでよっ!俺の聖くんなんだから!」
「誰も取らねぇよ。俺には彼女がいるっつってんだろうが。」
「だって紹介してくんないじゃん?あーお腹減ったぁー。」

いつものように俺とまぁくんが会話をするのを、聖くんはじっと見ていた。
別に俺もまぁくんもこれが普通だし、そういう仲でもない。
だからこの時はそんなに気にしてなかったんだけど。


「金なら貸さねぇぞ。何しに来た?」
「いやだなまぁくん、ご飯食べに来ただけだよー、ね?聖くん?」
「…あ、は、はい、すみません突然予約もなしで…。」
「予約なんかいらねぇけどよ。まぁいいや、座れよ二人とも。」

空いていたカウンターの席に、俺と聖くんは仲良く並んで座った。
なんだか俺たち…普通の恋人同士み・た・い♪
ってゆーか恋人同士なんだけどさ。
エッチしてないってだけで…。(※しつこいようだけどここ重要)
だけ、なんて言葉じゃ済まされない程、してるかしてないかっていうのは俺の中ではかなり大きいことなんだけどね。


「あっ、まぁくん!にんにくたっぷり使った肉料理にして!!」
「お前はまた何か企んでるな?」
「企むなんて人聞きの悪い!んね?俺と聖くんのためだと思って!」
「なんで俺がお前らのために…つーかここファミレスじゃねぇぞ。」

スタミナたっぷりの料理食べれば聖くんだってヤる気になるじゃん?
まぁくんってばなんでわかんないかな、俺の乙女心が。
相変わらずまぁくんってばケチなんだから……あれ…?
なんか聖くん…黙っちゃった…?
俺とまぁくん、ちょっと話し過ぎちゃったかも。
なんか変な誤解されたら嫌だな…。


「聖くーん、はい、あーん♪」
「えっ、あの…。」
「いいからいいからあーんして?」
「は、はい…。」

とりあえず、で出された前菜のサラダの生ハムを、聖くんの口元へ持って行った。
聖くんったら照れちゃって、可愛いなぁ〜。
こういうのもきっとしたことないんだろうな。
新鮮でいい感じだなぁ、その表情も態度も。
俺まで初めてこういうことするみたいだよ…。


「おいこら店でイチャイチャすんじゃねぇよ。」
「えー?やーんまぁくん、羨ましいんだぁ?」
「やーんじゃねぇ、かわいこぶるなっ!」
「あああ篤紘さんはっ、可愛いと思いますっ!!!」
「……え?」

その時突然、聖くんが立ち上がった。
こんなのは俺とまぁくんの普通の会話なんだけど…。


「お、俺っ、将志さんには負けませんからっ!行きましょう篤紘さんっ!!」
「え?え??ええー…?!」

な、何が起きたんだ…??
そんなことを考える暇もなく、俺は聖くんにズルズルと引き摺られて行った。
まだご飯食べてないんだけど…。
いや、この際ご飯はどうでもいいのか。
聖くん、どうしちゃったの…?
俺の手を引く聖くんが、いつもと違って物凄く男らしく見えた。
そしてその横顔が少しだけ恐かった。










「あの、聖くんどうし……むうぅっ!」
「篤紘さん…っ、好きです…っ。」

ぎゃあ─────…!
出たぁ、聖くんの情熱的なキス!!
俺ダメなんだよぉ…、聖くんからキスされるともう…。
聖くんの家に帰って早速、ドアを閉めるとキスをされた。
頭に血が上ってしまって、見事に膝から崩れて、床に落ちてしまう。
支えようと聖くんが掴んだ腕が痛い。
どうしよう聖くん…なんか怒ってる…。


「俺、篤紘さんが将志さんを好きでも俺は…、俺は篤紘さんが好きです…っ!」
「聖くん…嬉しい……、じゃなくてちょっと待った!!」
「はい…?」
「お、俺がまぁくんを好きなわけないでしょ!!!」

どこをどう見たらそうなるんだ…。
つか俺、二股なんてする程そんな軽くないよー。
何?俺ってそんな男に見られてたりしたってこと?!
うわぁーかなりショックでかいかも…。


「本当ですか?」
「ホントだってば!俺、好きなのは聖くんだけだよ?聖くん一筋だもん…。」
「あ、篤紘さん…、ごめんなさい俺…。」
「ううんいいよ(あんまりよくない)…。誤解が解けたなら…。」

聖くん、さっきヤキモチ妬いてたんだね…。
そんなところもまた可愛いじゃないの。
それで怒ってご飯も食べずに帰って来ちゃうなんて。
今までそんなに情熱的な人、いなかったよ。
そこまで俺のこと思ってくれる人なんか…。


「篤紘さん、好きです…。」
「…あ……、聖くん…、好き…。」

玄関先で、俺たちは再び熱い深いキスをした。
ここここれはもしかして…、いや、もしかしなくても…。
このまま行けば初エッチ?!
嘘…、あんな先だと思ってたのに…?!
予想もしなかった早い初エッチのチャンス再来に、俺は今までになくドキドキしてしまっていた。








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