「ラブホリック・ランドリー」-5








次の日、大学へ行っている聖くんを俺は家で待っていた。
仕事がないんだから、仕方ないというか…。
本当はちゃんと働かなきゃいけないのは重々わかってはいるんだけど。
とりあえず迷惑をかけないように、それと、少しでも聖くんの役に立てるように。
そう思いながら広すぎる台所に立っていた。


『あ、あ、篤紘さんを、幸せにしますっ!!』

ぬっふっふ…。
でっへっへ…。
聖くんってば思ったより情熱的だったんだね…。
あの激しいキ・ス…。
俺、腰が抜けるかと思ったよ。
ま、まぁその後エッチには進展しなかったけどさ。
しかーし!!!
ここでめげるあっくんではないのだ!


「フフフ…。」

俺のラブラブ大作戦はまだまだこれからだもんね。(なんたって昨日始まったばかり)
同棲成功、次はこれだ、って決めてたのがあるんだ。
これで聖くんも俺にイチコロ…!
役に立ってあそこも勃っちゃったりして☆
帰って来るのが楽しみだなぁ…。


「…ん?」

一人でそんな楽しいことを考えていると、火にかけていた鍋の中から、何やらプシュプシュと音がした。
同時に何か焦げ臭い匂いまで漂って…。


「のわわっ!!うわっ、焦げてるっ、ぎゃー熱いぃ!!」

まるで漫画の一コマみたいだった。
慌てて火を止めようとして鍋に触ってしまい火傷しそうになって、
どんがらがっしゃーん!と大きな音を立てて、その場に落としてしまった。


「いててて…。」

あーあ…。
せっかく聖くんのために頑張ったのに…。
おふくろの味大作戦で作ろうとした肉じゃが、失敗しちゃったよ。
俺、本当に何もできなくてダメダメじゃん…。
久し振り(2日振り)に落ち込んできたぞ。


「篤紘さん…?」
「せ、聖くん…?!夢?俺、夢見てるんじゃないよねっ?」
「あいたっ、ゆ、夢じゃないですよ…。」
「わーん聖くぅん!!」

床に座り込む俺に、後ろから声を掛けて来たのは聖くんだった。
俺としたことが、何時に帰って来るっていうのを聞き忘れていて、こんな早い時間だとは思わなかった。
早いって言ってももう夕方で、そのことにも俺は気付かなかったんだけど。
本当かどうか聖くんの頬っぺたを抓った。(普通は自分の頬っぺただと思うけど)


「どうしたんですか?何かしてたんですか?」
「うん、あのね…、あっくん、ご飯作ろうとして失敗しちゃったー。」
「そんな…、そんなことしなくていいんですよ?」
「でもぉ、聖くんに美味しいもの食べてもらいたくって俺ー…。」

聖くんの優しさをいいことに、思い切り甘えてみる。
縋るようにして広い胸の飛び込んできつく抱き付いた。
美味しいのはご飯だけじゃないんだよ?
目の前にいる俺!早く俺を食べて欲しいな。
こんな風に密着すると、エッチな気分になっちゃう…。


「あ、あの…、篤紘さん…っ、そそそその格好は…?」
「え?あ…、今頃気付いたの?」(俺もだけど)
「かかか風邪ひくんで着替えたほうがいいですよ…!」
「なんでー?可愛くない?似合わない?」

これぞラブラブ大作戦、作戦そのA!!
男の永遠の夢・憧れ…裸エプロン♪
このピンクのフリフリエプロンのためにまぁくんに借金しちゃったもんね。
まぁくんのためにも(?)頑張らないと!


「に、似合ってますけど…、でもその格好はまずいです…。」
「どうして?何がまずいのかなぁ聖くん?」
「あ、篤紘さん…っ。」
「聖くん…、俺、嬉しい…、似合うって言ってくれてありがとう。」

抱き付いたまま、聖くんを床に押し倒した。
優しくキスしながら、聖くんの胸のに頭を擦り付ける。
ついでに股間も(どちらかというとこっちがメイン)擦り付けてみたりして…。
自分からするキスだと、昨日のようにはならなくて助かった。


「あ、篤紘さん…。」
「ん?なぁに?」

台詞はお色気たっぷりで。
仕草は可愛らしく。
これが俺のエッチに持っていく時のパターンだ。
成功率はほぼ100%。
成功しなかったのは、聖くんだけなんだ。
さぁ、今こそそんな聖くんと心ゆくまでエッチを!!


「何か…、当たってるんですが…。」
「えっ?!あ…、だって…、俺、興奮しちゃったんだもん。」
「え?あのー?」
「聖くん!!お願い触ってー!!」

エプロンの下の、熱く変化した下半身に聖くんは気付いたようだ。
聖くんのぎこちなく抱き締めてくる手を、俺はその下半身へと導いた。
やっと…、やっと結ばれるんだね、俺たち…。


「す、すみませんあの…。」
「ん…っ、なぁに…っ?」

ダメだ…、触られただけでイっちゃいそう…。
もうエッチな液、出ちゃってるよ。
聖くんの上に乗ったままイくなんて、想像したたけでおかしくなりそう。
自分の手と聖くんの手を一緒にして、俺はそこを擦り続ける。


「俺、その、よくわからないんで…。」
「え…?何がぁ…っ?…んっ。」
「その、やり方わからないんで、篤紘さんやってるの見てていいですか?」
「…へ?」
「が、頑張って1回で覚えるようにするんで!!」
「え…?え…??」

ちょっと待て───!!
じゃあ何、俺に目の前で一人エッチをしろと?
んまぁそれはそれで楽しいかもしれないけど…。
っていうか触り方も知らないなんて、今まで聖くんどうしてたの?
この歳で一人エッチぐらいは誰でもするよね…。
ま、まさか…、し、自然の流れに任せてたとか…??
がーん…、朝起きてパンツ洗う聖くんとか想像したくないかも…。


「篤紘さん…?」
「あの…じゃあ…、ちゃんと見ててくれる…?」
「はいっ、俺、頑張りますから!」
「聖くん…っ。」

聖くんの上で、俺は再びそれを擦り始めた。
もう先走りは溢れる程で、それを絡めながら先端から根元へ手を移動させた。
エッチな音が、台所で異常なほど響いて、聖くんも真っ赤になっていた。


「…あっ、聖くん…っ、あぁ…んっ。」

ちょ、ちょっとだけ喘ぎ声も大袈裟にしたりして…。
これで聖くんがエッチの興味持ってくれれば…!
二人が結ばれる日も近いんだ!!


「やっ、聖くぅん…、イっちゃうっ、イ…っ、あ、あぁ───…んっ!!」

思ったより随分早く達してしまった。
せめて聖くんの服を汚さないように、床に向けたから、そこに白濁液が飛び散っていた。
まだ息が整わない状態で、聖くんに再び抱き付いた。


「わかりました…、これで俺もやっとできます。」
「せ、聖くん…!じゃあ…!」
「ずっと、ひ、一人エッチってわからなくて…、ありがとうございます、篤紘さん!」
「…はいっ?!」

つまりは俺とするためじゃなくて…?
自分の処理の仕方がわからなかったから教えてくれてありがとうってか?!
そうだよなー、結婚するまでそういうことはしないって言ってたもんな。
あはは…、こりゃおかしい。
どちらかというとスッキリしたのは俺のほうなのに、聖くんは問題が解決して俺よりずっとスッキリしたみたいだった。
逆に俺はというと心がまったくスッキリしない。


「篤紘さん、本当にありがとうございます。」
「う…、い、いやぁそれほどでも…!」

だけど俺は今のところ、この笑顔には勝てない。
純情だとは知っていたけれど、ここまでだったとは。
俺は、本当にいつになったら聖くんとエッチできるんだ?!
ちょっとだけ、見えない未来に、不安になったけれど。
だけど、まだまだ負けないんだから!!
決意新たに(何回目だろう)、聖くんとの初エッチを目指すことにした。







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