「ラブホリック・ランドリー」-3
な・ん・て・ねっ☆★☆
よく考えなくても、ヤられるのは俺じゃん?
そしたら別に俺がKくん…いや、聖純くんを汚すってわけじゃないよね?
むしろ汚れるのは俺…、いや、聖純に色んなモンかけられるなら本望だもんね。
ふふふふふ…。
「ね、俺のこと好きって言ったよね?」
「え…、あ、はい、好きです、篤紘さんが、好きです。」
「んじゃ、早速!いっただきまぁ〜す♪♪♪」
「えっ、えっ??どうしたんですか??」
心が通じ合ったところで、次は身体も通じ合わないとね。
だって俺、この瞬間のために2ヶ月半も我慢してたんだから。
ずっと自分の手でするしかなくて…。
さようなら、俺の寂しい日々!!
カモーン、聖純くんの立派な(まだ見てないけど)モノ!!
俺は、椅子に座った聖純くんの上に跨り、自分の下着の中に、その手を突っ込ませた。
「…あッ!聖純くぅん…、もっと触って…ぇっ!」
「え、あの、篤紘さんっ?!」
「あ…そんな動かし…、もっと動かして…っ!」
「篤紘さんっ!ちょっと、もっとよく見せて下さいっ!」
えええ───…っ!!
最初っからそんな…もしや聖純くんってば視姦フェチ?!
やば…、そんなんされたら困…らない、むしろ興奮するし!!大・歓・迎♪
聖純くんってば、名前と見かけによらず大胆なんだから…(はぁと)
「特に傷とかはついてないみたいですけど…。」
「うぅん…っ、…は???」
「そんなに具合悪いんですか?あの、病院行きましょう!」
「は?え?何っ?」
「救急車呼びますか?ちょっと待ってて下さいっ、あ、そのままで!」
「ちょっと!!ちょっと待って!!待ってってば!!」
何??何が起きてるんだ??今。
俺、エッチしようとしただけなんだけど。
見せてって言われて、そんで病院…救急車ぁ??!!
「聖純くんっ!」
「え…?ちょ、篤紘さ…っ!」
こうなったら、無理矢理そういう雰囲気に持っていくしかない!
脳内はエッチのことだけになっていた俺は、聖純くんをその気にさせようと、
頬を押さえて、激しいキスをした。
だけど、雰囲気、とかそういう問題じゃなかったのだった。
「ね、エッチしようよ。ね…?」
「え?えええぇっ?!ダ、ダメですよ!」
「大丈夫、誰もいないし、誰か来ても俺気にしないしー。」
「そうじゃなくて…、ダメです。」
俺がいくらキスを仕掛けても、聖純くんはそこから先に進もうとしない。
進むどころか断られてるし、俺。
超ショックなんですけど!
今まで断られたことなんかなかったぞ。
その分、エッチした後はふられたりもしたけどさ。
何が不満だって言うんだよー。
「もしかして…!!聖純くん…、勃たない人っ?!」
「そうじゃないです…あの、そうじゃなくて…。」
「じゃあ何??俺のことホントは好きじゃないの?!」
「好きでも!!結婚するまではそういうことしちゃいけないんですっ!!」
…なんですと??
今、きみ、なんて言いましたか??
「結婚するまでは綺麗な身体でいなければいけないんです!!」
おいおい、いつの時代の乙女だ、きみは。
今時幼稚園児だってエッチの気持ちよさ知ってるぞ。
まぁそれはお前だけだ、なんてまぁくんに言われてるけど。
しかも俺たち、男同士だからどうやっても結婚できないじゃん!
ってことはやっぱり俺、聖純くんとエッチできない??
嘘だろ…、こんな、こんな純情通り越して無知だったなんてっ!
あっくん超ショック!!超悲しいっ!!
「あの、篤紘さん…?どうかしました…?」
「どうしたもこうしたも……うわっ!!!」
ななななんつー可愛い目をするんだーー!!
俺の好きな、捨て犬タイプ直球ストライクど真ん中なんですけどー!!
あなたとプレイがしたいです!!
そんな目されたら、そんな顔で見上げられたら、そんな可愛いこと言われたら俺は…俺はああぁ───っ!!
「な、なんでもないよーん♪」
俺の…、大馬鹿野郎…っ!!
「ぶはははははっっ!!!」
「そんなに笑わなくてもいいじゃん…。」
その夜、いつものようにまぁくんの働く店に行った俺は、
そのまぁくんに思い切り大笑いされてしまった。
そういう反応するとは思ったけどね。
でも、このせつない(?)気持ち、誰かに聞いてもらわないとやってらんないよ!
「おもしれぇ、けいくん最高!いやー、マジおっかしいわ。童貞くんかー。」
「Kくんじゃないよ、聖くんだもん。」
「せい?せいって名前だったのか?」
「だってKって俺が勝手に呼んでた名前だし。」
実はそれも間違ってたけど、それ言ったらもっと笑われそうだから言わないことにしよ。
あーあまぁくん、涙まで流してるよ。
「ほー、せいくんねぇ。ディーくんのほうがよくねぇ?童貞のD。もしくはチェリーくんなんて可愛い感じだな。」
「バカにしないでよ!あっ、ホントはまさずみくんっていうの、だけどまぁくんと同じになっちゃう
からさー。ってゆーかまぁくん名前変えてよ。」
「は?なんで俺がお前の彼氏のために名前変えなきゃなんねぇんだよ。どうそすぐ別れるクセに。」
「別れないよ!別れるわけないじゃん!」
そうだよ、やっと見つけた運命の人って感じ?!
聖純くんだとラブラブ感に欠けるし、まぁくんってのはこのまぁくんと同じなっちゃうし、
まさくん、でもそうだし、音読みにしてせいくん、にしたんだ、呼び方。
とにかくめちゃめちゃ好みなんだ、声とか仕草とか話し方とか。
特にあの目はね…はっきり言って犯罪級。
あの、エッチに関してがなければね…。
「そう言って何人と別れた?っつーかふられたよ?」
「過去は過去!今は今!俺歴史嫌いだもん、全部嫌いだけど勉強は。」
「ほぉー、へぇー、ふーん。」
「まぁくんにはもう迷惑かけないからっ。」
「そう言って今まで何回迷惑かけたよ?俺が仕事紹介してやっても
仕事先で店長だの先輩だの誘惑してクビんなって俺の面潰すし、そのせいで金貸してって来るし。」
「う…、誘惑したんじゃないもん、お金は今度払うし…。」
そうなんだよね…。
俺、仕事決まっても、そこにカッコいい人いるとつい恋に落ちちゃうんだよね。
そんでエッチしてふられて、クビんなってさ。
実を言うと、2ヶ月前にふられたのも仕事先の人で、やっぱりクビんなったし。
俺ってダメダメな人間かも…。
まぁくんのとこ来ると、いっつも最後こうやって自己嫌悪に陥るんだよね。
まぁくんすぐおっさんみたいに説教するしさ。
「でも今度は違うみてぇだな。」
「え?どういう意味??」
「いや、今までのお前ならエッチしてくんないなんて嫌だ、別れる!つって終わってたろ。」
「あ…、そっかなるほど。」
それは俺が、聖くんに対して本気だってことだ。
いや、今までも全部本気だったけどさ。
決してエッチしてくれなくてもいい、ってことではないけど。
この恋を終わらせたくないって思ったから。
そうだよ、エッチだって、するように仕向ければいいんじゃん?!
俺が教えてあげればいいんじゃんね!
「よしっ、頑張るぞ!まぁくん、お酒!あとまぁくん特製あさりスパ!」
「調子いい奴だなお前。金払えよ。」
よーし!俺の恋愛エキスパートぶりを聖くんに見せてやる!
そんでもっと俺にメロメロにさせちゃうもんね。
そして二人はラブラブエッチ大好きカップルに…!!(ちょっと飛躍しすぎかな…まぁいいか)
名付けて『あっくんアーンド聖くんラブラブ大作戦!!』、明日から決行だぁ!!
そう決意して、俺は気の早い前祝い酒を浴びるほど飲んだ。
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