「ウェルカム!マンション」-8







「あ…っ、んっ、ん…。」

信じられない。
こんなこと紫堂さんとしてるなんて。
こんな声が出るなんて。
あの時の裕己くんの声とか、嘘だと思ったけど、出ちゃうもんなんだ…。
いや、感心してる場合じゃないよな。


「あのっ、紫堂さん…っ、ちょっと待って…っ。」
「何?」
「いやあの、俺、さっき見ちゃったんですけど。」
「何を?」

そうだよ、俺が八つ当たりした理由。
さっき紫堂さんが男とキスしてたの見て、あんなに嫌な態度とっちゃったんだ。


「紫堂さん、こういうことする相手いるんじゃ…。」
「いねーよ。」
「え…、でもさっき…。」
「あぁ、あれか。あれ、勝手にされたんだけど。関係やめたい、って前から言ってて、最後にって勝手にしやがった。」

そう言う紫堂さんは、ホントに悔しそうだ。
言ってること、ホントなんだ…。
信じて、いいのかな…。
俺、紫堂さんの恋人、って思っていいのかな。


「俺がしたいのはお前だけだって。」
「あ…う…、ハイ…。」

参った、そんな真剣に見つめられたら…。
そうだよ、紫堂さんは、嘘はついたことなかった。
人傷付けたりするの、嫌いそうだもん。
そんな紫堂さんが、今こんなに好きだ、俺。
そしたらエッチを断る理由なんてない…。
あ…でもここってやっぱりマズいよな。


「でもっ、あの…っ。」
「まだあんの?」
「いやあの、ここだとみんなに聞こえちゃうんじゃ…。」
「大丈夫だって、ここ、防音だから。」

確かに学校の音楽室ってそうできてるけど。
それに紫堂さんのそんな表情見てたらもう俺、やめれないよ…。
俺のこと、好きなんだって、すごく感じるから…。


「悠真、ヤらして。」
「そんなダイレクトな…!」
「他になんて言えっつーんだよ。」
「う…そうですけど…、うぅ。」

そう言いながら触られてる俺の身体は、そこから全体に熱が広がって、火照っている。
触れてくる紫堂さんの手も熱いよ。


「ヤらして。」
「わ、わかりましたから、そんな言わな…、っあ!」

か、下半身に手が───…!!
そんなところ、他人に触らせたことないのに。
どうしたらいいんだ、わかんないよ。
しかも胸も同時に触られたら、たっ、勃っちゃうって!


「う…ん、はぁ…っ、や、紫堂さ…んっ!」
「気持ちいいんだな、こんな勃ってる。」

だから口に出して言うなってば!
笑いながら言うなんて、意地悪過ぎるよ。
き、気持ちいいのは確かだけど…。
だって好きな人に触られたるんだ。
恥ずかしくてどうにかなっちゃいそう…。


「紫堂さ…っ、そんなしたら俺…っ。」
「いいよ、一回出せ。」
「なっ、やぁっ、やだ…っ、あ──…っ!」

激しくそこを擦られて、俺はあっさりイってしまった。
初めて他人の手で、行為で。
その人の、手の中に。
顔、見られたくない…、恥ずかしい…。


「うん、こんなに出たな。」
「だから……、ちょっ、紫堂さんっ??」
「は?なんだ?」
「なんだじゃなくて…、そこは…っ、ちょっとダメです…!」

俺の脚が紫堂さんの手によって広げられて、弄られていたところから後ろのほうへ移動した。
だってそこはヤバいよ、無理だってば…。
それこそ誰にも、自分でだって触ったことない。


「ここ以外どこに入れんだよ?」
「いっ、入れるって…!」
「ちゃんと解すから。」
「でも…っ、俺…んんっ!」

俺のそこに、紫堂さんの濡れた指がゆっくり入って来て、その異物感に身体が跳ねる。
男同士がどうやるか、ってのは知らなかったわけじゃない。
けどまさか自分がそうなるなんて思ってなかったし。
これ、ホントによくなるのか?
なんか変な感じしかしないよ…。


「やっ、んんっ、はぁ…っ。」
「まだまだ、こんなんじゃ俺のなんか入らないぜ?」

俺の、って…、紫堂さんのあれがここに??
うっそ無理だよそんなの!
だって普通の時の知らないけど、今って多分もっと…。
俺は思わず紫堂さんの下半身に目線を向けてしまった。
じっと見る余裕なんかないんだけど。
でも絶対無理だって…!
あれ…でもなんかさっきと違う…?


「あぁ…ん、あっ、ん…っ。」

なんか気持ちいい?
こんなところ弄られて気持ちいいなんて、俺おかしいんじゃないか?
初めてだぞ、誰ともしたことないんだぞ。
そこの中で紫堂さんの指が動く度に、じわじわと妙な感覚が全身を支配していく。
異物感と快感が混ざって、味わったことのないその感覚に、俺の視界はみるみるうちに滲む。
それにその動きに合わせて、響き渡る音が、耳の奥まで刺激して、何がなんだかわからない。


「悠真、入れさせて。」
「う…っ、ああ、うぅん…っ。」
「悠真、いい?」
「あ…う、も…、早く…っ。」

熱に浮かされたみたいに、俺はその先を願ってしまう。
よくわかんないけど、俺の中に数本入った指だけじゃ、満足できなかったんだろうか。
その指が引き抜かれて、紫堂さんのものが俺の入り口に触れた。
脈を打っているそれが、ゆっくりと押し入って来る。


「ん──────…っ!!」
「悠真、息吐いて、もっと脚開いて。」
「やっ、無理…っ、紫堂さ…っ、無理…っ!」
「大丈夫だって、ホラもうちょっと…。」

エッチがこんなに大変なことだとは思わなかった。
だいたいあんなものが入るの無理に決まってるよ。
でもここでやめたら紫堂さんに悪いし、俺だってできれば最後までしたい。
ゆっくり息を吐いて、紫堂さんの手に誘導してもらって、脚をもっと開いた。


「…んっ、んん────…!!」
「悠真、ホラ入った…。」

紫堂さんの額から、汗の雫が零れて、俺の顔に落ちてくる。
俺はというと、あまりの圧迫感に、涙が流れて、もうぼやけてほとんど見えない。
瞳の端を、紫堂さんの舌が掠って、涙を拭いてくれたらしい。
ちょっとだけ見えた紫堂さんの顔は、俺だけ見ていて、嬉しくなってしまう。
「ん…っ、あ、ああぁ…っ。」 あんなに無理だ無理だと言ったのに、時間をかけて動かされて、さっきの妙な感覚が蘇ってくる。
これは多分、気持ちいいってことだろう…。
俺はいっぱいいっぱいで、何もできなかったけど、紫堂さんが俺を絶頂まで導いてくれた。
だんだん声も大きくなって、口を開いて、その瞬間を向かえる。


「ぅんっ、あ…もうダメイっちゃう…っ!」
「んじゃ一緒にイこう、な?悠真…。」

もう限界だから、と言った紫堂さんが、俺の身体を激しく揺さ振って、俺は必死でその背中にしがみつく。
床が壊れるぐらいみしみしと鳴って、 二人で一気に高みに駆け上る。


「あっ、イっ、あぁ────…っ!!」
「…っ、悠真……っ!」

俺と紫堂さんは、ほとんど同時に放って、 ぱったりと床に倒れ込んだ。
暫く息をするのも辛かったけど、 嬉しい気持ちのほうが大きいのは、俺も紫堂さんも一緒だと思った。








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