「ベジタブル・ラブバトル」-2







「おっす。」
「うわっ、なんでお前いるんだよっ!」
「お前に言いたいことがあって、じいちゃんの目盗んできた。」
「勝手に人の部屋入んなよ。」

目覚め最悪だな、こりゃ。
起きたらイキナリこいつの顔あんだもんな。
ちっちゃい頃から作りの変わらない、綺麗な顔しやがって。
モテるのもわかる気がするから悔しい。


「で?話ってなんだよ、早く言って早く帰れ。」
「好きだ。」
「は?今なんて??」
「彩が好きだつったの!」

俺、まだ夢みてるとかじゃ…。
だって嘘だろ、俺と大樹は敵で、いや、家がだけど。
それに俺って、実は女ってことあるわけないし…。


「ど、どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたもねぇよ、アツコさんから聞いたんだよ。」
「何を。」
「お前が俺のこと大嫌いって。」
「だから?」
「本当のところどうなのか聞きたくて。俺がお前が好きだから。」

はあぁ────???
な、な、なんだそれ────???
言ってることめちゃくちゃじゃないか?
俺は唖然として、口をパクパクさせた。


「な、何バカなこと言ってんだ…、俺からかうのもいい加減に…。」
「俺は本気だ。」
「ちょっと放せ…って、ん?んんん───っ??」
「本当は?好きか?好きだろ?俺がこんなに好きなんだから。」

何これ!俺今、大樹にキスなんかされてる───!!
勝手なこと言いやがってこんな強引に。
しかもこんな激しいキスなんてされたら変になるだろ──…。


「んぅ…っ、嘘つけ…っ。」
「嘘じゃねぇよ、証拠見せてやる。」
「な、ちょっと何、わっ、大樹っ!」
「いいから、見てろよ。」

見てろって、俺のそんなところ…!!
抵抗したいのに大樹の力に敵わなくて、俺の下げられたズボンから 剥き出しになった下半身の中心部を口に含まれる。
そ、それってフェ……!!
嘘だ、俺、なんでそんなことされなきゃいけな…。
しかもなんか気持ちよくなってないかっ??


「んっ、あっ、あぁ…っ。」
「お前のここは店のキュウリとかより美味そうだな。」
「何バカなこと言ってん…っ、あっ、やだ…っ。」
「バカはどっちだ。」

こんなことイキナリされて気持ちよくなるなんて俺、どっかおかしいんじゃないか?
大嫌いな奴にこんなんされて、なんで突き飛ばさない?
屈辱以外何ものでもんばいハズだろ…。


「やっ、大樹っ、イッ、イく…っ!」

それをされてから数分後、俺はいとも簡単にイってしまった。
大嫌いな奴の行為で、大嫌いな奴の口の中に…。








「わかった?本気って。」
「…わからねーよ…。」
「んじゃあお前が俺を好きってことは?わかったか?」
「は?だから何言ってんだ?」

俺がお前を好きって?
だからどこをどう考えればそんな考え浮かぶんだよ。
俺がお前を嫌ってるのなんか一目瞭然だろうが…。
じゃなきゃあんなに店先でのあいつのこと気になって見たりしな…あれ…?
俺は気になって見てた??


「あ、あ、あの俺っ。」
「わかった??」

嘘だ、そんなことあるわけな…。
じゃあなんだ、俺がムカついてたのってあの美人妻たちに嫉妬してたってことか??
まさかそんなこと…!


「そんなことあるわけな…。」

俺は自分の頭の中の台詞を口に出していた。
でもあるわけない、って言い張ってる俺の顔は熱くて。


「すっげぇよさそうに喘いでたのに?」
「だからそれは…っ!」
「それはなんだ?言ってみろよ。」
「違うっ、好きなわけあるかっ!」

なんだ俺のこの動悸は。
心臓ぶっ壊れるんじゃないか?
どうしよう俺、こいつのこと好きだったのかも───!!


「彩、言えよ。」
「いっ、言わないっ、絶対言わないっ!」
「素直になれよ。」
「何が素直だバカっ!触るなっ!」

もう俺の思考回路はめちゃくちゃだ。
だからこの時のことは記憶にない、そういうことにする。
そうじゃなきゃあんな半分告白するようなこと言わない。



「お前なんか好きでも好きって言わないからな!」










back/next