「薔薇色☆お姫様」-9
「おかえり。」
僕とリゼが歩いてお城まで帰ると、思いもよらない人に出迎えられた。
「ロザ!」
「ロザ、てめぇ…!」
リゼは怒ってロザを睨んで早速文句を言い始めた。
「ごめんね…。」
「な…‥!」
ロザの瞳から、ハラハラと涙が零れ落ちて、リゼの怒りは拍子抜けしてるみたいだった。
「ごめんね、ロシュ、僕ね、ロシュが結婚するから寂しくてちょっとだけ意地悪しちゃったの…。」
「ロザ…。」
「でも二人は強い愛で結ばれてるってわかったから、僕祝福する、本当にごめんねロシュ…リゼ…。」
あぁ…。
ロザ、やっぱりいい子だ!
僕の従弟だもんね。
「ロザー!僕の方こそごめんね!」
「か、勝手にやってくれ…‥。」
僕はロザを強く抱き締めて、僕までちょっと泣いてしまった。
リゼは疲れきったように苦笑いをしてるけど、きっと許してくれてるよね。
ロザは本当は悪いことなんか出来ない子だもん。
「俺もう部屋行く…。」
「あ、待ってリゼ〜。」
部屋へと向かって歩き出したリゼを追い掛けた。
「お前さ、なんで一人で出掛けたりしたんだよ。」
あ、リゼ、怒ってる。
そっかぁ、僕のせいでリゼ捕まっちゃったんだもんね。
でも…。
僕は、部屋の隅に置いておいた包みを取り出した。
「これ、リゼにあげたくて。一番にリゼに見せたかったの。」
傷付けないように、ゆっくりと中を開く。
「え…‥?薔薇…?」
「リゼのために品種改良して作った新種だよ。」
中から、薔薇の花束が見えると、一気にその芳醇な香りが部屋中に漂う。
花弁は真っ白なリゼの肌みたいな色に、先の方にかけて綺麗な薄紅色にグラデーションしている。
「ロシュ…。」
リゼ、感動してるんだね。
題してロシュとリゼの愛の花ってところかな。
僕ってすごい!
「…この、バカっ!!」
「えっ?えっ?!な、なんで怒るの〜?!」
「こんなん取りに行くためにかよ!お前が倒れたって聞いて俺がどれだけ心配したと…‥、っ!」
僕まで感動に酔っていたところに、突然リゼが怒鳴った。
怒っているのに、リゼの瞳には涙が溜まっていた。
「お前がいなくなったらって俺…っ。」
「リゼ…ごめんなさい…。」
あぁ、そうだった…。
リゼはお父様もお母様もいなくなっちゃったんだよね。
ボロボロと涙を零しているリゼを僕は強く抱き締めた。
「苦しいって!離せよ!ったく喧嘩もしたことないクセに来るから…。」
リゼはチラリと血の滲んだ僕の頬を見た。
「しかもんな一般庶民の格好して…。」
「だって…。」
仕方ないよ。
僕が一人で外出したら大変なことになる、って言われてるし、
行くまでに気付かれてリゼの事件バレちゃって警察に通報されたらリゼの身体が…‥。
「ああぁっっ!!」
「な、なんだよ。」
忘れてた…。
僕がリゼを助けに行った時、リゼの服…‥‥。
ま、まさか───!!
「リゼぇ…、ロザとえっちしたの…?」
僕は泣きそうになりながら、弱々しく震える声で、事実を確かめる。
僕のリゼが…あぁ、どうしよう!!
「ヤるわけねーだろ!なんにもしてねぇよ!!」
「嘘…。」
「ホントだっ!」
わぁ…!
僕は自分が笑顔になるのが、鏡を見なくてもハッキリとわかった。
「よかった!リゼ!」
「だからんなイキナリ…っ。」
リゼをもう一度抱き締めて、そのまま後ろにあるベッドへ倒れ込んだ。
柔らかいマットに、僕たちは深く沈んだ。
「ね、えっちしようよ〜。ずっと我慢したんだよ?」
「なんっっでそうなるんだよ!」
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