「薔薇色☆お姫様」-6
「ロシュが倒れたぁ?!」
自室にいた俺に、ロザから電話がかかってきた。
どうやら慣れないクセにやたらと歩いて貧血を起こしたらしい。
まったくなんでそんなことするんだよ。
いつも通りにしろっての。
迷惑かけやがって。
心配かけやがって。
心配…‥。
心配だった。
あいつも、両親みたいに突然いなくなったら…。
嫌だ…‥!
俺を、一人にするな。
もう、あんな思いはしたくない。
俺は急いで部屋を飛び出した。
「リゼ殿!どこへ行かれるのですか?」
「ロザんとこの城!ロシュ迎えに行ってくる!」
廊下を走っていると、ファボルトに遭遇した。
街からはロザの城が近いらしく、今はそこで休んでいると言ってたから、俺は住所を聞いてそこへと行こうとした。
「王子がどうかなさったんですか?今お車の手配を…‥。」
「いや、なんでもねぇ。一人でいい!じゃな。」
不思議そうにしているファボルトをよそに、
俺は城の中を走って外へと出ると、一目散にロザの城を目指した。
「あ…れ…‥?」
おかしなことに、これだけデカい城に、見張りの一人もいない。
しかもロシュの従弟だろ?
王族だろ?
誰もいないって…‥あぁ、ロシュに付きっきりってことか。
あんなんでも次期国王だしな。
なんかあったら大変だよな。
なんかあったら…‥?
───ドクッ。
嫌だ。
考えるな。
俺は嫌な予感を頭の中から振り切って、城内へと進んだ。
「よく来たね、リゼ。」
「え……‥?」
玄関を通って、繋がった大きな広間のような部屋へ出ると、後ろから声が掛けられた。
同時に、すべての扉が重い音をたてて閉められた。
「なんだよ、ロザ、ロシュはどこだ?」
俺はキョロキョロ見渡しながら、ロシュを探す。
「いないよ。」
「は?」
何言ってんだこいつ。
俺はわけがわからず、間抜けな声を出してしまった。
「リゼも案外おバカさんなんだねぇ。こーんな簡単な手に引っ掛かるなんて。」
「なんだよ…それ…。」
ロザがクスクスと笑いながら、俺に近づいた。
「てめっ!嘘かよ!」
信じらんねぇ!
騙された。
俺はロザを思い切り睨み付けた。
「リゼの王子様は助けに来るかな〜。」
「ふざっけんな!」
くっそー!
俺の馬鹿野郎!
よりによって一人で来てしまったし。
「まぁロシュもおバカさんだからねぇ。」
最悪だ。
ロシュ、俺は…‥。
助けに来てくれよ。
頼むよ、ロシュ…‥。
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