「薔薇色☆お姫様」-3









「あれ?お父様、リゼ知らない?」

その日の夜。
僕はリゼの姿がないことに気付いた。


「あぁ、リゼならロザのところにいるみたいだな。」
「ええぇっっ!!」

なんでロザのところなんかにいるの…。


「しばらく我が城にいるそうだぞ。」

そんなぁ…。
ロザ、本気で僕からリゼを奪うつもりなんだ。


「使ってない部屋はいくらでもある。いいじゃないか、賑やかなのは好きだぞ。」
「───様の…。」

むっかああぁ〜…。
元はと言えばお父様が法の改正をきちんとしてくれなかったのが悪いんじゃないか。
僕たちがちゃんと結婚出来てればこんなことにはならなかったのに。


「お父様のバカァァ!大嫌いだー…!」
「ど、どうした息子よっ、待ちなさいロシュ!」

お父様の引き止める声も聞かずに、僕はその場を後にした。



「ロシュ〜…‥。」
「あら、あなた、どうなさいました?」
「ど、どうしよう、ロシュに嫌われた…。」

一国の王もこれではただの親バカ以外の何者でもない。












「うぅっ、っぐ…。」

僕は泣きながら、トボトボと廊下を歩く。
違う。 わかってるんだ。
お父様のせいなんかじゃない。
なのにあんな八つ当りみたいなこと言って。
ごめんなさい、お父様…。
ロシュは悪い子です。
でもリゼが離れて行くのはやだよ。
リゼがホントにロザのものになって結婚なんかしちゃったらどうしよう…。


「ううぅ〜、どうしようぅ…。」
「あれ?ロシュ、何やってんだ?」

僕は床にへたり込んでしまった。
後ろから、僕の一番好きな声がした。


「リゼぇ…‥。」
「あ〜あ、何泣いてんだよ、鼻水までたらして。だらしねぇなぁ。お前本当に王子かよ?」
「だってぇ…。」
「いいからホラ立てよ。」

リゼは僕を見て呆れたように笑っている。
腕を引っ張られて、僕たちの部屋へと連れられて行く。

「俺、別にあいつの荷物解き手伝ってただけだぜ?」
「え…‥。」

ベッドに座って、隣でリゼが言う。


「お前どうせそういうことしたことないだろ。だから俺がやりに行ったんだよ。」

リゼ…。 僕のことよくわかってるね。
あ!それって、あなた誤解しないでね、浮気なんかしてないわよ、っていう妻そのものだね!


「リゼー!」
「わあっ!な、なんだよっ!」

僕はリゼを勢いよくベッドに押し倒した。


「じゃあえっちしようよ。ねぇ、しようよ〜。」
「はぁっ?!なんでそうなるんだよっ!」
「だって誤解をとけたら、仲直りの後はえっちするんじゃないの?」
「なんだよそれ!」

抵抗するリゼを、シーツに深く沈めた。








back/next