「薔薇色☆王子様」-3
その日の夕方。
『本日、リーベヌ王国より視察に来ていた国王と……‥。』
リゼの家の小さなテレビに、僕のお父様とお母様が映っている。
「おい、なんだこれ…。」
リゼはキッチンで危うく包丁を落としそうになっている。
『尚、ご子息のロシュ王子は勉学のため日本に残ることになり、涙の旅立ちとなりました…。』
綺麗な日本の女の人が、その別れの場面を見て、悲しそうに報道している。
まぁ、リゼの方が何百倍も綺麗だけどね。
「え?だってお父様とお母様が帰国するんだよ?ニュースにはなるよ。」
「な、なんかもうついていけねぇ…。」
リゼは疲れたように呟いて、呆然としている。
『私達も息子と離れて暮らすのは非常に寂しい。だが、私達は息子のことを信じて、応援したい。』
あぁ…。
お父様…‥。
やっぱりお父様は僕の一番の理解者だ。
僕、頑張るよ。
頑張って、リゼを花嫁として連れてリーベヌ王国に帰るからね。
大丈夫、ロシュはお父様似の強い男。
これぐらいのことじゃ、泣かないよ。
離れて暮らすのは、僕も少し…寂しいけど…‥。
「‥お父様…、お母様…‥。」
あ、やばい。
「おい、また泣くのかよ?」
「う、ううん、な、泣かない、泣かない!」
またリゼに帰れ、とか言われたら、嫌だもんね。
僕は、慌てて寂しい気持ちをどこかに飛ばした。
「…っく、ひぃ…っくっ…‥。」
「おい!何、今度はあんたが泣いてんだよっ?!」
僕の隣でファボルトが涙を流していた。
「国王…っ、さすがでございます、素晴らしい御方です…、このファボルト…っ、必ずや王子を立派な継承者に育て上げ…‥(泣きながら、以下略。)」
あーあ、だらしないなぁ、ファボルト。
いい大人が…。
僕はちょっと情けないよ。
「いや、もうマジでついていけねぇかも…‥。」
リゼは引き攣り笑いを浮かべて、再び料理を始めた。
あー、いい匂いかも…。
今夜は何かな。
楽しみだな。
リゼの手料理。
あ…あれ?なんか、これって…、なんだろ…‥?
「こ…れは‥何?」
出来上がった料理が、テーブルの上に並べられた。
黄色?茶色?
なんか、変なスープ。
「あ?カレーも知らねぇのかよ?」
リゼはスプーンを僕とファボルトに渡す。
銀色の、スプーン。
「え?カレーはインド人が食べるんじゃないの?」
僕、テレビで見たんだけど…。
おかしいなぁ。
「あのなぁ…、お前、ホントにお前らの国は日本と仲いいのかよ…。」
リゼは、深い溜め息をついた。
ん…?
ちょっと待った、今…。
今、リゼ…‥。
「ねぇ、今、僕のこと、“お前”って言った?」
「言ったけど…何?」
そうか…、これだ…!
さっきの、僕が感じた雰囲気。
これって、まるで…。
「なんか、本当に新婚みたいだねっ。」
「──はあぁ?やめてくれよ。」
リゼは思い切り仰け反る。
「そうですよ。私がいるうちは、変なことはしないで下さいよ、王子。」
変な…こと…‥?
あぁ、そうか。
「ファボルト、それって、えっちなこと?」
「お、王子っ、はしたないですよっ、お食事中に。」
ファボルトが照れてどうするの。
「なんだよー、ファボルトが言ったクセに…。」
あぁ、でもファボルトがいたら出来ないなぁ…。
どうしよう、えっちする時…。
なんか、買い物、とか適当に用事言い付けて…それでリゼとえっちを…。
えっちを…‥。
えっち…‥。
リゼは、どんな風に乱れるのかな。
‥…もやもやもや…‥。
僕は何度も何度もキスをして、リゼの身体から衣服を全て取り、
全裸になったリゼは…。
『…あっ、もうっ、ダ…メ、早く…っ。』
僕の脳内でリゼは涙を浮かべて喘いでいる。
早いね、リゼ。
『ロシュ…っ、お願いっ、いれて…‥っ。』
そんな風に言われると、焦らしたくるんだよね。
こう、愛撫はじっくりたっぷり時間をかけて…。
あ、でもリゼって、結構言葉遣いがなぁ…。
もっと男らしいのかな。
『ロシュ…っ、早くっ、いれろよ…っ!もう我慢出来ねぇよ…っ!』
うん、やっぱりこっちかな。
『早くしねぇと…っ、俺また一人でイくってっ、頼むから…っ!』
そうして泣きながら懇願するリゼの体内に一気に…‥!!
「おい、何考えてんだ、お前。」
リゼが、鋭い目付きで睨んでいた。
しまった、妄想が一人で暴走してしまった。
バ、バレたかな…?
「あ、えーと、リゼ、お風呂は一緒に入ってくれるよね?」
僕は咄嗟に話題を変えてみた。
「バ、バカなこと言うな!誰がっ!」
リゼはスプーンをガチャリ、と落とす。
「じゃあ誰が僕の身体洗うのさ〜。」
「知るかそんなの!自分でやれよ!」
フフフ、照れてるリゼも可愛い。
そうか!バスルーム!
お風呂プレイってやつ。
汚れても、掃除楽だしね。
「王子…破廉恥な妄想はやめて下さい。
少しは謹んで頂かないと…‥‥っ、か、か、辛いっ!」
カレーを一口食べたファボルトは、顔を真っ赤にしている。
「そういえば、ファボルトってば、辛いのダメだったね。」
「あ、別に無理すんなよ?」
あ、リゼ、なんか優しい。
「大丈夫です!なんのこれしき!」
まぁ、いいか。
いずれにしろ、今夜は初夜!
楽しみだなぁ。
僕は頭の中でもう一度リゼの服を脱がせた。
リゼは、また睨んでたけど。
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