「ん……‥。」
あれ…?
オレ、花見の途中で寝ちゃったのか…。
朝8時に起きて弁当作ったからなぁ…。
でも亮平喜んでくれてよかったなぁ。
あ、あれ?亮平が隣にいない…っていうかなんか寒い…‥?
「おぉ、起きたか酔っ払い。」
「…ほぇ…‥?」
瞼をごしごし擦ってようやく瞳を開けると、ベッドの下で亮平は煙草を吸っていた。
いつもそうだけど、カッコいいな、亮平…。
「え…あ、オレそうか、酒飲んで…‥‥、っ!!オレ!オレの服は?!」
な、な、なんでオレ裸で寝てるんだ?
どうりで寒いと思った。
「お前が暑い~、って言うからだろ。」
「ええっ!」
「脱がせたのは俺だけどな…、誘ってんじゃないかと思ってな。」
「さ、誘ってない!」
ひゃあー、オレ何やってんだよ!
知らない間にやらしくなっちゃったのかな。
ううぅどうしよう…。
オレは服を探してキョロキョロ辺りを見回した。
「でも俺は誘われたからな。」
「……んっ、ふ…っ。」
オレの手首が掴まれて、再びベッドに寝かされて、キスされた。
ギュッと瞳を閉じて、入ってくる舌になんとか応えようとするけど、いつものことながらうまくいかない。
「んう…っ、ん、んっ。」
激しく口の中を探られて、それについていけなくて、苦しくて、オレの口の端から唾液が漏れる。
だらしないけど、仕方ないよ、オレはキスも亮平が初めてなんだ、まだ下手なんだもん…。
「あ…、や…っ。」
キスされながら、オレの胸の辺りを亮平の手が触れた。
その先端を指先でそろりと撫でられて、それだけなのに、身体が熱くなるのがわかった。
「や、じゃないよな、お前、左の乳首弱いよな。」
オレの唇から離れた亮平の唇は、その場所に下りて、さっきまで口の中を探っていた舌で、そこを優しく刺激するように舐められた。
亮平はオレのことはなんでも知ってる…。
そういう身体の弱い部分とか、心の中まで。
ホントはやじゃないってのも、知ってて、時々意地悪される。
「ん…っ、あ、あ…っ。」
その左側を中心に、胸を吸われて、幾つも跡が付いたみたいで、
今日見た桜の花びらみたいだな、と言って亮平は笑った。
オレも、亮平のものだ、って印を付けられたみたいで、凄く嬉しい、嬉しいから…。
「んぅ――…っ。」
「シロ?何やってんだ?」
オレも亮平を自分のものにしたくて、オレより広い胸に、唇を付けて、精一杯吸い上げた。
く、苦しいかも、これ…。
「はぁ…っ。」
とうとう息がつけなくなって、そこから唇を離した。
鮮やかな、花がそこに小さく咲いていた。
亮平は驚いたような顔してたけど、いっつもしてもらうばっかりじゃ、オレだって悪いと思ってたんだ。
だからもっとそこに咲かせたくて、再び唇を寄せようとした。
「あ…、え?え…っ?」
「そういう顔は、もっと先でしろよ。」
亮平はそう言って、オレの下半身に手を伸ばして、掌で包むと、
ゆるやかに形を変えていたそれを、擦り上げて、もっと形を変えさせた。
先走りが染み出して、濡れてやらしい音がする。
なんでオレこんな早いんだろう…。
亮平はいつも余裕たっぷりなのに、オレはすぐいっぱいいっぱいになって、すぐ出ちゃうんだ。
オレだってなんかしたいのに…。
この間口でするやつしたい、って言ったら断られるし。
オレはせめて、と思って、亮平の下半身に手を伸ばした。
「お前まだ酔ってんのか?」
「酔ってない!オレもしたいから。」
「いいって…、シロ…っ。」
あ……。
亮平、感じてくれてる…?
オレの手で、感じてくれてるんだよな。
だって、亮平のも、さっきと違うくなってる。
「オレ…嬉し……、っあ!」
オレの脚が大きく上に持ち上げられて、手が止まってしまった隙に、恥ずかしい場所に、亮平の指が触れた。
いつも亮平と繋がる場所…。
亮平の濡れた指が、そこに入れられて、オレの身体がびくん、と跳ねた。
何度しても、いつも緊張するし、恥ずかしい。
「あぁ…っ、んっ、やぁ…っ。」
指の数が増えていくのを、自分の体内で感じた。
オレはもう亮平にすることは出来なくなっていて、快感で震えながら、シーツをぎゅっと掴んだ。
「あ…、も、ダメ…、も…。」
「もうなんだ?やめる?もっと?何?」
それで絶対こういう時もちょっとだけ意地悪される。
オレがもうダメなの知っててやるんだから、ひどいよなぁ…。
「も…っ、おねが…っ。」
うぅ、恥ずかしいのと、おかしいので、言葉が出て来ないよオレ。
亮平のが欲しいのに、それが言えない。
「入れて欲しい?」
「うん…っ、おねが…、ぁん…っ。」
オレが言えないのもちゃんとわかってて、亮平の方からそう言ってくれる。
オレは頷くぐらいしか出来なくて、またキスされて、それを合図に亮平のものが入って来た。
「んん――――っ!」
物凄い圧迫感に、瞳を閉じると、涙まで滲んだ。
オレのそこが亮平を飲み込んで、全身を揺さ振られて、すぐに我慢出来なくなる。
なんとか亮平の首に手を伸ばして、そのまま強くしがみ付いた。
耳元で亮平の息が聞こえて、余計変になる。
「何?もうイくのか?」
「だって…っ、あ、あ…っ!」
なんかもう声にまで感じちゃうよ。
オレより低くて、色っぽくて、艶のある声。
亮平はなんでもカッコいい。
全部大好きなんだ。
こんなにカッコいい人が、オレだけ見てる。
そう思うと、もっと感じる。
「シロ…っ、俺もいいか?」
「うん…っ、もうお願い…っ、あ…!」
でも今夜の亮平はいつもより余裕がない。
オレのこと早い、なんてからかうのに。
なんか亮平も早いよ…。
一緒にそうなってくれるなら、オレも嬉しい。
ベッドがギシギシ揺れて、オレも亮平も、駆け上がる。
「あっ、あ、もうっ、あぁ――――…っ!!」
オレが亮平の身体に放って、同時にオレの中にも亮平が放った。
「あー…。」
オレの隣で、亮平は唸っていた。
頭を抱えて、溜め息まで洩らして。
いつもはオレがうなってるのに。
えーと、なんだろ?
「すっげぇ恥ずかしいんだけど俺。」
「へ?何が?」
オレはわからなくて、亮平をじっと見た。
「あんな早くイっちまった。お前があんなことするから。」
「え?え?オレのせい?」
それってさっきの触ったやつかな。
それと跡付けたことかな。
そうならオレ、嬉しいな。
オレのせい、っていうか、オレがしたことでってことだよな。
それって、オレにとっては好きだ、って言われてるのと同じことだから。
「へへっ、亮平、大好き。」
オレはその花びらが付いた胸に、擦り寄った。
まだ亮平の心臓がドキドキいってる。
オレの心臓もだけど。
ずっとドキドキしてたいな。
ずっと好きでいてもらいたいな。
「俺も大好きだよ、シロ。」
亮平の腕がオレの身体に回されて、優しく抱き締められた。
「でもな、お前あいつと仲良くし過ぎ。」
「あいつ?」
「あれだ、ロシュだよ、花見ん時の。」
「あぁ、あれっ、それで意地悪したのか?」
なんだか亮平が可愛く思えた。
オレのこと可愛い可愛い言うけど、拗ねてるみたいな顔の亮平も、オレにとっては凄く可愛く見える。
「何笑ってんだよ。」
「へっへー…。」
「もっかいしてやるぞ?」
「えぇっ?そ、そんな…!」
やっぱりそうなるんだなぁ…。
オレ絶対明日立てなくなるって。
でもいいんだ、それだけ好きだってことだし。
そういうことするのは愛してる証拠だ、って前言ってくれたもんな。
それにオレ、ホントはやじゃないんだ。
あんまりよくって、変になっちゃって、なんて言っていいかわからなくて、わけわかんないこと言っちゃうだけなんだ。
そういうのも、きっと亮平はわかってるんだろうな…。
「シロ?ボーっとしてたらホントにするぞ?」
額にいつものキスをされて、亮平は笑った。
オレの瞳には、昼と同じぐらい綺麗な、亮平の胸の桜が映っていた。
END.