「あきちゃん…っ、ん…ん……っ!」
キスを繰り返しているうちに、俺達はどちらからともなく、その先に進もうとしていた。
俺はまだ温かさの残るベッドの中に潜り込み、空の身体にゆっくりと触れていった。
「あ……ぁ!あ……っ!」
暗い部屋の中で、舌先でなぞった空の胸の突起が、唾液で濡れて光っていた。
ぷっくりと膨らんだそこを弄る度に、空は甘い声を洩らす。
俺は熱い皮膚の味や感触を確かめるかのように、そこら中を執拗に舐め回した。
「あきちゃ……ぁんっ!や…ひゃあんっ、あきちゃ……っ!」
「空…もうおっきくなってるぞ…?」
俺は空の下半身に触れて変化を確かめた後、性急にすべての服を脱がせた。
露になったそこの先端は透明な液体で濡れ、もっと触れてくれと言わんばかりに小刻みに震えていた。
「や…だ…言わな……あぁっ!」
「もうこんなに濡れて…。」
それを口に含んで出し入れをすると、滲み出していた液体の味が口いっぱいに広がった。
そして周りの柔らかい部分を手で揉みしだきながら集中的に責め立て、絶頂を促してやる。
空は恥ずかしいと言うけれど、俺にしてみればその時の顔を見たくて仕方がないのだ。
俺が触れて施している行為によって達してしまうことは、セックスをしている中で、何にも代えがたい喜びだった。
「やだぁっ、あきちゃ…もーだめ……!も…僕…っ!だめだよぉ…っ!」
「いいから一回出せ、空…。」
「や……恥ずかし……あっ!あっあ……!だめえぇっ、あきちゃ……ぁん!!」
「ん……!」
空が身体を捩りながら快感に耐えているところで、俺は一気に絶頂へと導くように動きを激しくした。
よほど我慢していたのか、空はだめだと言ってからほんの数秒で、俺の口内へ白濁液を放ってしまった。
「あ…、あ……っ?!ひゃああぁ…っ!!」
「空…ごめん…。」
「あ……ぁっ、あきちゃ…っ?んんっ、ひゃ…ぅっ!」
「ごめん…、我慢出来ない…、ごめん空……。」
達してしまったことに呆然としている空に優しい言葉をかけることもなく、俺は次の段階へと進んだ。
空の細い脚を掴んで大きく開かせ、白濁液でどろどろになった部分のもっと奥へと手を伸ばした。
俺と繋がるその部分を広げ、指を入れて中を掻き回し、中を十分に解してやる。
それでも空にかかる負担は相当なものだということに申し訳なくなって、謝罪の言葉を口にしていた。
「だい…じょぶ…っ、あ…ぁんっ、あきちゃぁん…っ!」
「空……?」
「我慢…しなくていー…のっ、あきちゃんっ、ひゃんっ、僕…っ!」
「うん…。」
空はいつだって、俺のことを考えてくれている。
俺が謝れば謝らなくていいと言うし、大丈夫だと言い張る。
涙まで零して、痛くないはずなんかないのに、大丈夫だと言ってくれる。
「あきちゃ…の…好きなこと…っ、して…っ!」
「空……、もう…どうしたら…。」
こんなにも空に思ってもらって、俺はもうどうしたらいいって言うんだ…。
好きなことをしてくれ、好きな人にそう言われて、おかしくなってしまいそうだ。
これ以上望んではいけないとわかっているのに、もっともっと空が欲しい。
そんな贅沢や我儘を言ってもいいんだと、調子に乗ってしまいたくなるじゃないか。
「あきちゃん…すきっ、だいすき…っ!あきちゃん…っ!」
「空…っ、もう…いいか…?空の中に入りたい…。」
「うん…僕…も……っ、あきちゃん…あきちゃん……!」
「空……っ。」
俺は堪らずに空のそこから指を抜き、改めて脚を掴んで大きく開かせた。
広げられたそこはひくひくと痙攣したように動いていて、俺のものが入ってくるのを待っているかのようだった。
「あきちゃん…だいすき…。」
「うん、俺も大好きだよ…空……。」
誰が何と言おうと、空だけは譲れない。
いけないとわかっていても、この恋だけは諦めたくない。
もう後戻りなんか出来ないぐらい、俺も空も溺れてしまっているんだ。
絶対に離したりなんかするものか…。
俺は泣きながらしがみ付いて来た空に、合図のようなキスをして、ゆっくりとその中に自分を沈めた。
「あっ、あ……あ───…っ!」
「空……っ!」
奥へいこうとする俺を、空のそこがぎちぎちと締め付ける。
締め付けられると俺のものは余計膨らんでしまい、なかなか簡単には収まらなかった。
男同士でセックスをするということは、こういうことだ。
どちらかが無理をしなければ、向こう側へは行けない。
無理はするなと言っておきながら矛盾しているかもしれないけれど、これだけは避けられないことだった。
俺はその負担を嫌とも言わずに受けてくれる空を目の当たりにして、愛しい気持ちでいっぱいになった。
「あきちゃ…ぁんっ、あきちゃん……っ!」
「空…痛い…よな……っ?ごめ…っ。」
「へー…きっ、だいじょぶ…っ、あきちゃ…いいの…っ!」
「空……。」
空はボロボロと涙を零し、途切れ途切れに自分の思いを口にしていた。
それはそう思い込みたいからではなくて、俺のことを安心させたかったからだ。
俺はそんな空の優しさと強さに泣きそうになりながら、懸命に空の中へと進んだ。
「あっ、ああぁっ!あきちゃ…んっ、んんっ、あ…っん!」
「気持ち…いいか…っ?空、気持ちいい…っ?」
「う…んっ、あきちゃ…っ、気持ちい…っ、気持ちいーの…っ!」
「俺も…っ、俺も気持ちいいよ空…っ。」
何とか空が俺のすべてを受け止めると、あとは快感に変わるだけだった。
痛みなんてどこかへ吹き飛んでしまうぐらいの快感が、二人で繋がったところで生まれる度に、空はびくびくと身体を震わせていた。
「あきちゃん…っ、もう僕…っ!だ…め…だよ…っ!」
「俺ももう…ダメだよ空…っ、もう…イきそ…っ。」
「あきちゃんっ、あきちゃん…!」
「空…っ、一緒だからな…、ずっと…ずっと一緒だから……っ。」
あきちゃんといっしょじゃなきゃやだ。
くーはあきちゃんといっしょがいいの。
セックスをしていて、いつも思い出すのは幼い頃の空がくれた言葉達だ。
他の何をしている時よりも、この達する瞬間に一番思い出されるのだ。
一緒にあの向こう側へ、誰も知らない俺達だけの場所へ、二人で一緒に行こう。
俺は呪文のように「一緒」と繰り返しながら、最後の力を込めて空を激しく揺さ振った。
「あきちゃ…ぁんっ、あっ!あああぁっ、あきちゃん───…っ!!」
「空………!」
その言葉通り、俺達は二人で一緒に絶頂を迎えることが出来た。
白濁液が放たれた後の身体はぐちゃぐちゃに汚れてしまっていたけれど、暫くの間動くことも出来ずに、ベッドの上で抱き合った。
「あけましておめでとう、空…。」
「え……?!」
「もう年明けちゃったぞ?」
「う、嘘ぉ…っ?!あぁー!ホ、ホントだ…!」
裸で抱き合ったまま、俺は空に新年の挨拶をした。
紅白が終わったら起こすと言ったのを空は忘れてしまっていたのか、俺に言われて目覚まし時計を見て、年が明けていたということに気が付いたようだ。
「年越しソバじゃなくて年越しエッチになっちゃったなぁ…。」
「あ、あきちゃんってば…!」
「多分口でしてる時かな…。」
「も、もう…あきちゃんっ、恥ずかしいよ…!」
空は真っ赤になりながら耳を塞いで、俺の腕の中でじたばたと暴れていた。
あれだけのことをしても、こんな風に恥らうところがまた可愛い。
だけどこれ以上からかうと本気で怒られるから、やめておくことにした。
「空、今年もよろしくな。」
「えへへ、あきちゃん…!僕も…、僕もよろしくね…!」
少しだけ拗ねてしまった空をぎゅっと抱き締めると、空の機嫌はすぐに元に戻った。
そしてあの眩しい笑顔を見せて、俺を抱き締め返してくれた。
「うん…。」
「ずっとずっとよろしくね…!」
「うん…。」
「ずっとだよ、あきちゃん…。」
空は目を閉じて、俺の胸元に顔を擦り付け、甘えてみせた。
まだまだ幼くて甘えん坊なこの恋人を、俺はずっと守っていきたいと思う。
それが俺の、新年の決意というやつだ。
「ソバは?食べるか?ちょっと遅れちゃったけど…。」
「うん、食べる!ハンバーグ載せて食べる!」
「ソ…ソバにハンバーグ…?」
「うん、だって僕、ハンバーグ大好きだもん!あきちゃんも一緒に食べようね!」
いくら何でも一緒がいいとは言え、空がハンバーグが好きだとは言え、果たしてその味はいかがなものか…。
微妙な表情を浮かべている俺の腕の中では、二人で一緒に新たな年を迎えて、思い切りはしゃぐ空がいた。
A HAPPY NEW YEAR.
END.