「ん……っ、んふ…っ、ふぁ…。」
風呂から出て来た志摩は、全身からバラの匂いを漂わせていた。
それが俺には何だか余計にいやらしく思えて、濡れた髪のままの志摩をベッドに押し倒した。
「美味しいか?志摩…。」
「う…んっ、ん…ん…っ。」
俺は再びケーキの生クリームを指先に取ると、容赦なく志摩の口元へ運び、はみ出た分は舌を使って丁寧に志摩の口の中に含ませた。
生クリームだけではない強烈な甘さが自分の口の中にも広がり、胸やけを起こしそうになる。
「隼人は…?美味しい…?」
「うん…そうだな…。」
何度もキスを繰り返していると、志摩の目がとろりとして来た。
朦朧とした意識の中で言った質問の意味を、自分でわかっているのだろうか。
今の俺にとってはケーキなんかじゃなく志摩が美味しいという意味だと、わかっているのだろうか。
「あ……!はや……んっ、ん……!」
「ここも…。」
志摩の服の前ボタンを外し、露になった胸元にも生クリームを塗りたくった。
その中でぷっくりと膨らむ胸の先端は、ケーキに乗っているいちごみたいだ。
俺はそれを生クリームと混ぜ合わせるようにきつく吸い上げ、舌先で転がすように愛撫した。
「あ…ぁっ、ああっ、あ……!」
「志摩…。」
「ひゃ……っ!や…っ、隼人…っ!」
「ここ…どうした?これ…何だ…?」
志摩がもぞもぞと動いて自分の下半身を押さえようとしているのが目に入ると、俺はすかさずその手を掴んだ。
ふわりと乗ったスカートの上からでもはっきりとわかるぐらい、そこは角度を変えてしまっていた。
「なんでもな…っ、ダ、ダメで…やっ、やあぁ…!」
「志摩トナカイっていうのは…こんなところにもツノがあるのか…?」
「………!!ち、違いま…っ!」
「違う?じゃあ何だ?ツノじゃないなら何だ…?」
「はっ、はやっ、隼人…っ!えっええええっちです…!」
「そうか?えっちなのは志摩だろ…?こんなにして…。」
志摩の手を強引に退けて、下着をずり下ろすと、そこには今にもはち切れてしまいそうなほど膨らんだものがあった。
先端からは透明な液体が溢れ出し、少しでも触れようものなら勢いよく白濁を放ってしまいそうだ。
「あ……ぁんっ!ひゃあぁんっ、あ……はあぁっ!!」
「ここも美味しいな…志摩…。」
「や……っ!ああぁっ、あっ、ああ…!」
「でも違うよな…?もっと……。」
もっと志摩にはあるよな。
志摩の一番美味しいところがあるんだよな。
志摩が触れられて一番嬉しいところが、柔らかな肌の奥に潜んでいることを、俺は知っている。
俺はそこにゆっくりと舌先を近付け、その入口を執拗に舐め回した。
「う…ふぇ…っ、隼人…っ、隼人…ぉ…っ。」
「志摩…もうわかるよな…?」
どうして欲しいのか、ちゃんと言わないとダメだって。
ちゃんと言ったらその通りしてやるって、わかるよな?
こんな風に意地悪をするのは、この行為が俺の独りよがりじゃないことを確かめたいからだって…。
二人でしているセックスなんだと実感したいからだって…。
「う…っく…っ、隼人…お願いしま…っ。」
「何を?何をお願いするんだ?」
「ふえぇ…意地悪しな…っ、うっうっ、隼人ー…。」
「志摩がちゃんと言えば意地悪なんかしない…。」
志摩はとうとう泣き出して、俺の髪をくしゃくしゃにしながら抱き付いた。
願いが叶えられるためには勇気を出さなければいけないと、決意をしたかのように震える手に力が込められる。
「さ…触って…欲しいです…っ。」
「どういう風に?どうすればいい?」
「ゆ…び…っ、ふぇ…っ、ひっく…隼人の…っ、あああぁ………っ!!」
「こうか?志摩…?」
さすがにこれぐらいで許してやろうと、俺は志摩の望む通りそこに自分の指を挿入した。
志摩の身体が一瞬ビクリと跳ねて、高い声が漏れる。
唾液でぐちゃぐちゃになったそこは思ったよりも容易に二本目の指を飲み込み、淫猥な音を部屋中に響かせた。
「あっああぁんっ!ダメぇっ、隼人っ、も…ダメぇ!」
「ダメ…?」
「や…っ、イくっ、ダメぇっ、イっちゃ……イっちゃうっ!!あっ、あ…やああぁんっ!!」
「志摩…。」
三本目の指を入れようとする寸前で、志摩は勢いよく白濁液を放ってしまった。
シーツの上をびっしょりと濡らしたそれは俺の顔にも飛ばされ、それを見た志摩はこれまで以上に真っ赤になって震えていた。
「う…ふえぇー…やだぁ…っ、恥ずかし…よぉ…っ、隼人…っ!俺えっちだよ…!こんなの…っ、変態さんだよー…!」
「そうだな…、志摩はえっちで変態だな…。」
「ううぅー…ごめんなさ…ひっく…。」
「でも安心しろよ…志摩…。」
俺は泣きじゃくる志摩の頬にキスをして、スカートを思い切り捲り上げて、脚を大きく開かせた。
ここまで来れば何をされても抵抗することもしない志摩は、されるがままになって俺にしがみ付いた。
「ふぇ……?」
「俺はそんな志摩が好きなんだから…。」
「隼人ー……、あ……っ!」
「それに多分…俺はもっとえっちで変態だから安心しろ…。」
志摩にとっては何の慰めにもならないし、自分でそんなことを言うのもどうかと思う。
だけどこう言うことで、今の志摩なら安心して身体を委ねてくれると思った。
「隼人…俺も好きで……あ…あああぁ────っ!!」
「志…摩……っ。」
いつもなら挿入するタイミングをきちんと言葉で確認していたけれど、この時ばかりはしなかった。
涙でいっぱいになった志摩の目が、先へ進んでくれと訴えているように見えたからだ。
それが俺の自惚れなんかじゃないことは、繋がった場所の熱さからも感じることが出来た。
「隼人っ、隼人…っ、あっ、やああぁっ、も…ダメえぇっ!」
「もう…イくか…?志摩…。」
「う…ぁんっ!あっ、あっ…!隼人っ、隼人───っ!」
「……っ!」
繋がって程なくして二人で絶頂に達して、達した後も何度も身体を繋げた。
それはもう今までで一番というぐらい執拗で甘いもので、外の寒さなんかまったくわからないぐらいの熱い夜だった。
「メリー・クリスマス、志摩…。」
「んにゃ……んー…。」
何度目かの絶頂の後、志摩はぱったりと意識を失って、そのまま眠ってしまった。
涙の跡がくっきりとわかる頬に口づけて、耳元でクリスマスの言葉を囁いた。
きっと聞こえてはいないのだろうけれど、俺には志摩の寝言が返事のように思えてならなかった。