「志摩…ほら…。」
「やぁ…っ!」
俺は掌で受け止めたその液体を見せると、志摩は恥ずかしさで顔を枕に伏せた。
今更隠そうとしても無駄なのに、またエビのように身体を丸めている。
頭隠して尻隠さず…なんて言葉がぴったりだと思うと、こんな時に吹き出しそうになってしまった。
「志摩……。」
「うっうっ、ふえぇ…。」
「俺もイきたいんだけど…。」
「隼人…っ、は、恥ずかしいで……。」
「志摩の中でイきたいんだけど…。」
「………っ、ふぇ……。」
とうとう涙をボロボロと零しながら泣き出してしまった志摩の耳元で、息と共に妖しく囁く。
志摩がこの先を望んでいることぐらいどう考えてもわかるのに、追い詰めるようなことをして…。
どこまでも意地悪で嫌な奴の俺に、志摩がどこまでついて来てくれるかはわからない。
いつかはこんなことを言う俺を嫌がる日が来るかもしれない。
だけどまだそれがわからないなら、今はこのままで俺は俺を貫こうと思う。
俺の身勝手な行動だと言われてもいい。
セックスをしている時は、そんなこともどうでもよくなってしまう。
それほどまでに志摩は俺そのものを変え、夢中にさせてしまった。
その志摩をどうやって離すことなんか出来るのだろう。
一瞬でも志摩から離れようと思ってしまった自分が、とんでもなく大馬鹿者に思える。
「いいのか…?ダメなのか…?」
「う……ふえぇ…っ、…です……っ。」
「志摩…聞こえない…。」
「えっえっ、う……いいです…っ、ひぃっく……いいです…!」
志摩がしゃくり上げながら続きを望んだ時、俺は心の奥底から安堵の溜め息を漏らす気分だった。
まだ俺のことを必要として、俺自身を求めてくれている。
どんなに恥ずかしいことでも受け入れてくれている。
「志摩は…どれがいいんだ…?」
「ほぇ……?隼人…っ?」
「上から突かれるのと下から突き上げられるの…それとも後ろからか…?それとも…。」
「や……!わ…かんな……っ!」
「わからない…?」
「ふえぇー…えっえっ、隼人…えっちです……っ!」
調子に乗った俺は、またしても志摩へ無理なことを要求してしまった。
このままエスカレートしていけば、この次はどんなことを言ってしまうかわからない。
早く俺を止めてくれ…そう思う反面、要求したからにはその願いを叶えたいという醜い思いもある。
「仕方ないだろ…えっちなことしてるんだから…。」
「ふぇ……隼人ぉ……。」
「志摩…本当にわからないのか…?」
「う………。」
あともう少しだ。
俺の思い通りに事が進むまで、あともう少し。
既に罪悪感の欠片も見当たらなくなってしまった俺は、志摩の後ろへ自身をぴたりと当てながら最終段階へと踏み出した。
「ふ……の…っ、ふつーの……。」
普段の明るい志摩からは想像も出来ないぐらい弱々しい声を聞いて、俺は合図のように志摩の腕をベッドに押さえ付けた。
小さくて細い志摩の身体が折れてしまうかと思うぐらい、自分の全体重をかけて、なおもひくついているそこへ自身をゆっくりと挿入した。
「あ……っ、ああぁ───…っ!!はや……ん────…っ!!」
「…っく……っ!」
志摩がすぐに達してしまったせいか、まだ十分と言えるほど解れていないそこは、いつもよりも狭く感じた。
膨張した自身をすべて沈めるには、相当な時間と労力が必要だった。
その間志摩は顔を歪ませて悲鳴のような喘ぎ声を上げ、圧迫感に耐えながら何とかして俺を受け入れてくれた。
「あっ、やあぁっ!ああぁっ、やんっ、あ……ぁんっ!!」
「志摩……っ、いい…か……っ?イっても…っ、イってもいいか…っ?」
「ふえぇ…っ、隼人ぉっ、隼人っ、…き……っ、好きっ、大好き……っ!隼人好きぃ…っ!!」
「知ってる……っ。志摩…俺も……っ。」
「あ……!!いくっ、いっちゃうっ、やああぁっ!隼人…いっちゃうぅ────…っ!!」
「は……!志摩………っ!!」
目の前が真っ白になった。
星みたいなものがチカチカと飛んで、眩暈を起こして意識がどこかへ飛んで行ってしまった。
こんなセックスを出来るのは、志摩とだけだ。
今まで生きてきて、こんなに気持ちがよくてこんなに気が狂いそうになったのは……。