「よしっと、後安静にしてろよ、お前喧嘩なんかしたことねぇだろ。」
「うん、ありがと、純ちゃん。」
そう、喧嘩なんかしたことがない賢一は手当てなんかできるわけもなく、しかも半分ぐらいは俺のせいとあっては、放っておくわけにはいかない。
俺はこんなのしょっちゅうだから慣れてるけど。
ビン底じゃないけど、眼鏡はフレームがぐにゃぐにゃに曲がって、レンズも外れて使い物にならない。
歩けるぐらいにはなったものの、相当の怪我で、いつものあの煩さが時々なくなっている。
「おい、大丈夫かよ…?」
「うん、エッチしてくれたら治るかも♪」
「は?」
「だから、エッチしてくれたら治るかもって言った。」
「おま…、い、い、いい加減にしねぇと…!」
「純ちゃん真っ赤だ。」
こ、こ、この野郎…。
しかもなんでいつもはキスしてくれたら、がいきなりそこまでグレードアップしてんだよ…。
エ、エッチってのはあれか、つまりその…。
「もうさぁ、さっき大変だったんだから、純ちゃんの膝の上で。」
「し、知るかそんなん!」
「純ちゃんは?俺の頭のっててよく勃たなかったよねぇ…。」
「た、た…、お前あん時そんなこと考えてたのかよ!」
信じられねぇ…人がせっかく心配してやったっつーに。
勃つだのなんだの、そんな変態みたいなこと考えてたなんて。
なんで賢一相手に勃たなきゃならねぇんだ。
「純ちゃん…。」
「せ、迫ってくんなよ…!」
どうしよう…久々に間近で見た、こいつの顔。
しかも眼鏡外したところなんかあんまり見たことなかったけど…、なんか結構男前じゃねぇか!!
俺バカだ、何興奮してきてんだよ…。
「純ちゃん。」
「純ちゃんて呼ぶ……っ、んっ!」
「可愛いね、純ちゃん。」
「ちょ、ちょっとま……!」
キス…、キスしてしまった────…!!!
とうとうやってしまった…今までなんとか阻止してきたキスを!!
思ったよりなんだ、気持ち…よくなってどうするよ!
しかも俺なんか押し倒されて…??
「俺ね、実は結構鍛えてんだよね、色んなので段持ってるからさっきもさ、本気出すとマズかったの。」
「い、いつの間にそんな…。」
「今度は俺が守ってあげようと思ったんだよね。」
「守ってあげる、でこの体勢はおかしいだろ…っ。」
いつの間にってのはこの状況もだ。
俺はもう床に寝る形になっていて、その上には賢一がしっかり覆い被さっている。
これは本当に俺、こいつとヤっちま…っつうか俺、ヤられるほうか?!
俺の手首はきつく賢一の手で押さえ付けられている。
さすが鍛えた、だけあってこの俺も振り切れなそうだ。
「おま…、いい加減にしねぇとぶんなぐ…っ、あ…!」
「でも純ちゃん気付いてた?俺に本気出してなかったこと。」
…気付きませんでした。
あぁ、俺ってなんてバカなんだ、あんなに拒否してるつもりが全部お見通しだったってことかよ。
賢一の片方の手が俺の制服を捲り上げ、胸の辺りに触れられた。
まるで女じゃねぇかこんな声出して…。
「おとなしくしないと強姦しちゃうよーん。」
な、な、な────…!!
俺が賢一に…よりによって賢一に…。
嘘だ、こんなの嘘だ…。
なのになんで俺の身体の奴、反応しちまってるんだよ。
賢一が喜ぶだけだろうが。
しちゃうよーんって…ふざけてするもんじゃないだろ強姦って!
真剣でもされたくはないけど。
「…っく、賢一…っ、は…っ。」
「純ちゃん、そんな可愛い声出すんだ。」
「このやろ…っ、あっ、バカ下ろすな…っ!」
「だって苦しくない?」
それもお見通しかよ…。
一気にズボンが下着ごと下ろされ、反応したそれが露になる。
こんな恥ずかしいことってあるかよ。
真っ昼間から下半身剥き出しにして。
「純ちゃん…、大きくなったね…、うぅ…、俺嬉しいよ。」
「てめぇバカにしてんだろ!」
「してないよ、ちょうどいいじゃん、こうするのにさ。」
「うあっ!嫌だやめ…、やめろっ、あ…っ!」
ひ、人のもん咥えるなっつーの!
しかもちょうどいい、サイズらしい俺のは賢一の口内に綺麗にはまっている。
ちくしょう…それもちょっとだけ、気にしてたのに。
唾液を絡ませて舌を滑らせるイヤらしい音までして、頭の中がぼうっとしてきてしまう。
俺はこいつのこんなところなんか知らなかった。
いつもヘラヘラして、こういうことには疎いと思ってた。
だけどなんかすっげぇ気持ちいいし、おかしくなっちまう…。
「ダメだもう…クソっ、はな…っ。」
「純ちゃん感じやすいのは変わってないね。」
「うるせ…っ、も、マジでイ…っ!」
「まぁまぁ、そんな怒らないで。」
感じやすいなんて、お前に言われなくても俺が一番わかってる。
昔、見せ合いから、触り合いに発展した時、不本意ながら俺のものはすぐに勃ってしまっていたからだ。
あの時はただの処理でお互いのを触ってなんとかしたけど、今は違う。
もう高校生だし、そういう行為もちゃんと知ってる。
それに好きだってわかったら、余計早くなるんだよ。
「んじゃ、そろそろ…。」
「えっ、なんだよ、うわ、何どこ触って…!」
「ここ以外にどこに入れるの?」
「入れ、入れ…、うわっ、ひぁ…っ!」
な、なんだこの俺の格好は───…!!
こんな股開いて、あらゆるところが丸見えだろ。
屈辱的な格好や行為をされているというのに、俺の身体はそれに敏感に反応してしまっている。
見られただけで、自身の先端は一層濡れてしまい、よくはわからないが多分腰まで揺れ動いてしまっている。
絶対学校の奴等には見せられない姿だ。
「純ちゃん…すごいね、純ちゃんの中…。」
「…っく、ヤるならさっさとヤりやがれ…っ!」
「さすが純ちゃんらしいね、カッコいい。」
「うるせ…っ、いいから入れろよもう…っ!!」
いいように後ろを弄ばれて、その先が恐いとかもあるけど、それより何よりもうこんな状態でいるのが嫌なんだよ。
こんな声出しまくってよがってるよりならまだ痛いほうが我慢できる。
「あああーーー!!忘れた…!!」
「はぁ?何を…。」
「ゴム…純ちゃん持ってない??」
「持ってるわけねぇだろ!そんなことしたことねぇ…っ、あ…!」
「純ちゃんやっぱり初めてなんだ??気が合うね!」
「やっぱりってなんだよ!失礼な奴だな!気なんか合わねぇし。」
どうせ俺は生まれて18年間セックスもしたことない男だよ。
なんで知ってるんだよそんなことまで。
どうせ俺のこと好きだったから他の奴とはしなかったんだ、とかまた都合いいように考えてんだろうな。
「ダメだ…また今度にしよう。」
「はぁ?別になくていいだろ、女じゃあるまいし。」
って自分で言うのもどうかと思うけど。
別に妊娠するわけでもないし、ちょっと気を付ければ…。
「いや、純ちゃん、甘く見ちゃダメだよ。ちゃんと勉強した?男同士のエッチ。」
「す、するかよそんなん…。」
「じゃあ今度、いや今夜から俺教えてあげるから。」
「い、いらねぇよ!だいたい俺勉強なんか好きじゃねぇし。」
「純ちゃん…、二人のセーフセックスのためだから!!」
「このバカ…。」
俺のこの状態をどうしてくれるんだよ。
こんな中途半端なところでやめられて。
何が二人のだ、ガリ勉野郎がよ。
俺だけ素っ裸にされてなんて情けねぇんだ。
ブツブツと文句を呟きながら仕方なく下半身は張り詰めたままで服を手に取る。
後で便所でするしかねぇな…賢一のバカ野郎が。
「え、純ちゃんそんなしたかった?」
「んなわけねぇだろ、調子乗るなっつってんだろ!」
本当はしたかった、なんて口が裂けても言えない。
そしたら何もかも賢一に支配されてしまうから。
俺は総番なんだから。
まだ一番強くありたいんだ…、もうそうでない気もするけど。
***
「純ちゃーん、朝ですよ、おはようございまーす。」
今日もまた、意識が朦朧とした中、奴はやってくる。
俺はというと、昨日の喧嘩がまだちょっとだけ残っていて、身体が思うようには上手く動かない。
「おーい、聞こえてる?じゃあ仕方ない、おはようのキスで…。」
「うるっせぇな!!聞こえてるどころの騒ぎじゃねぇよ!」
「お、起きた!今日は23分か、今月第2位の記録だ。」
「いちいち付けてんじゃねぇ!誰でも起きるだろうがあんな耳元で言われたらよ!」
それは毎日繰り返されることで、でも昨日のことが起きてから、変わったことがある。
本当は賢一が来る15分前にはちゃんと起きている。
だけどこの俺が緊張して目が覚めただの、ドキドキして起きた、だの似合わないに決まってるからな。
「純ちゃーん、後ろ乗ればいいじゃん。」
「学校の100メートル前の公園で下ろせよ…。」
それからもう一つ。
賢一の後ろにできるだけ、俺にしては素直に乗ることにした。
本当は嬉しいクセに、そんなことは顔には出さない。
怒りにまかせてハッキリ言えなかった言葉も、
もうちょっと、せめて俺が自転車に乗れるようになったら言ってやる。
「純ちゃーん、好きだよ!!」
「いいから前向け!!」
もうちょっと…、いや、もう暫くかかりそうだ。
END.
■4400番高崎夏湖様リクエスト ヘタレ攻×不良受
スキスキ攻撃で追い掛け回す攻、ぎゃいぎゃい騒ぐ受、幼馴染み、自転車通学
…ということだったんですが、ヘタレというか軽く乙女入りました、賢一。
そして不良受…、私が最近よくやってしまう流されタイプ君になってしまった純太。
(一回しか名前出てない… 名字は三鷹です、一応。)
またなんと中途半端なエロなんでしょう…。
でもでも、このキリバンリクエストにしてはこの長さを見ればわかると思いますが(笑)、すいません、めちゃくちゃ楽しかったです!!(お前が楽しくても)
いっそ連載ものにしたいぐらい書いてて色々やりたくなりました。
まだまだ人様のリクエスト通りにはなるレベルではありませんが、
これからもリクエストはやっていきたいです。
高崎さん、本当にどうもありがとうございました。