「…ん……。」
自分の体温ではないそのぬくもりで、夜明け前に目を覚ました。
ぬくもりどころか暑いぐらいで、その原因のぴったりとくっついた志摩を見る。
すーすーと気持ちのよさそうな寝息をたてて眠っている。
この幼くてあどけくて無防備な寝顔が、物凄く好きだ。
「…はやと……えへ…んふ…。」
夢の中まで俺なのか、でれでれ笑いながら寝言まで言って。
普通なら気持ち悪いところだけど、志摩は特別だ。
俺まででれでれしそうになりながら、布団を捲って中の熱を解放した。
「うーん…。」
同時に志摩が色っぽい声を上げた。
ふと捲った布団の下には、パジャマ姿だ。
しかも、可愛いのがいいー、と言って、パジャマを買いに行って選んだのがとんでもない形のものだった。
いわゆるネグリジェとか言われるそれは、女が好きそうな、スカートになっているものだ。
こいつは女装が好きなんじゃないか、あるいは女になりたいか。
もっと大袈裟に、バカだから実は自分を女だと思っているんじゃないか。
クリスマスのサンタの衣装の時に、思ったことだった。
それか、俺を挑発してるか…。
「…はやと……、すきです……うーん…。」
その寝言を聞いて、理性の糸がブチ切れる。
膝丈のパジャマから覗く白い脚に、どうしようもなく触れたい衝動に駆られる。
するりと手を滑り込ませ、太腿の辺りをまさぐった。
こんなことをしているのに、志摩は起きない。
感じているのか、時々喘ぎに似た声を洩らすだけだ。
そうなると行為はエスカレートしてしまうもので、無意識のうちに志摩の下着に手を掛けていた。
「いや、これはマズいよな…。」
さすがにそこに手を入れるのは躊躇ってしまう。
だけど、ブツブツと独り言を呟きながらその下着を志摩に気付かれないようにずり下ろしてしまった。
いよいよ志摩のそれとご対面という時になって、志摩の身体がもぞもぞ動き出した。
「ん~?隼人…?」
「……!!」
びっくりして思わず志摩の下半身から手を離す。
その手には、脱がせた下着が握られたままだ。
すぐにバレると思ったのに、寝惚けているのか志摩は気付かずにいつものようにおはようのちゅー、をしてくる。
どうしようもなくなった俺は、仕方なくそのキスに応じていたけど、頭の中は志摩の下半身のことでいっぱいだった。
どうするんだよ、このパンツ…。
「朝ご飯作るねー。お弁当も。」
「あっ、志摩…!」
「??どうしたの??俺早く着替えなきゃ…。」
「……!!!」
もうダメだ…!!
「??変なのー。」
「うわ…!!」
大慌ての俺とは逆に、志摩はごく普通にパジャマを脱いでしまった。
それはそうだ、志摩自身はそんなこと思ってもいないんだから。
ぶ───……っ!!!
「隼人!!どうしたの?!すっごい鼻血出てるよ!!わあぁ───っ!!」
俺が大量の鼻血を噴き出すと、さすがの志摩も気付いたようで、真っ赤になって下半身を押さえてた。
「志摩、ごめ…。」
「ご、ごめんなさい…っ!お、俺、昨日パンツ穿くの忘れちゃって───!うわん恥ずかしいよー!!」
「え…あの…。」
「うっうっ、隼人、ごめんなさいぃ…。」
泣きながら俺に謝る志摩は、本当にバカだ。
俺が脱がせたのに、俺が悪いのに気付きもしないなんて。
あんまり可愛くて、どうしようかと思った。
だけど俺はやっぱり素直じゃないみたいだ。
「今度から気をつければいいんだ。」
ごめん、志摩。
頭の中で謝罪しながら、手の中の志摩の下着をぎゅっと握り直した。
<終わり>
隼人「これじゃ俺が変態だ…(ガーン)」
志摩「えぇっ!あのパンツのって…、隼人だったのー?!」←実際あったのか
隼人「いやあのそれは…。」
志摩「あ、あの後大変だったのに…。」←ヤられたらしい
隼人「だからごめんって…。」
志摩「い、言ってくれればいいのに…、パ、パンツ脱いで…とか。」 ←いいのかよ言って!
隼人…ぶっ!!(またも鼻血)