「メルティング・バースディ 2」-2




「亮平…、やだってば…!」
「でもシロのここはやだって言ってねぇぞ。」
「う…、それは…っ、あ…!」
「な?言ってねぇだろ?」

緩やかに勃ち上がっていたそれは、俺が触れると一気に上を向いた。
小さなそこの先端からは、すぐに蜂蜜みたいな先走り液が滲み出した。


「あ…っ、やぁっ、あ…ぁん!」

そこにも生クリームをつけると、シロの熱でどろりと溶けてしまう。
量を増した先走りと混じり合って、艶めいた生クリームが蛍光灯の下で光っている。


「あっ、や…ぁっ!」
「や、じゃないだろ…?」
「りょ、亮平っ、オレ恥ずかし…っ、亮平っ!」
「ダメ見せろよ、シロ、見せて…。」

シロの細い脚を掴んで、ぐっと大きく広げた。
こんなに明るいところで、こんなに近いところで俺の視線がそこに集中すると、シロが真っ赤になって顔を背けた。


「亮平…っ、あ…!」
「いい眺めだな、シロ…。」
「バ、バカ…ぁっ、りょうへ…へんた…っ。」
「変態はひでぇな。」

俺の声と同時に吐き出される息を感じる度に、シロのそこは僅かに伸縮してしていた。
シロ自身は気付いていないかもしれないけれど、それはシロも興奮してしまっている証拠だ。
嫌だなんて言わせない。
こんなにも感じてしまっているんだから。


「あ…っ!」

唾液で十分に濡らしたそこを、今度は指で解してやる。
俺の手を濡らすのは生クリームなのか、唾液なのか、シロの先走り液なのか。
もうそれすらわからないぐらいぐちゃぐちゃに濡れてしまっていた。


「りょうへ…、やだ…っ、オレ出ちゃ…っ、あぁ…っ。」
「一緒にイこうか、な?シロ…。」

ぷるぷると震えるシロのそこは、本当に今にも達してしまいそうだった。
まだ指は二本目を入れたばかりだったけれど、俺も我慢が出来なくなってしまっていた。
そのままシロをゆっくりと押し倒して、俺は立ち上がり、体勢を構える。


「亮平…っ。」

しかし天井に向かって脚を掲げていざ挿入という時になって、テーブルの上のケーキやら何やらがぐらりと揺れた。
しがみついているシロの背中に手を回すと、そこは固くて明らかに痛そうだ。
これだと俺はいいけれどシロの身体が痛んでしまう。
痩せたシロは骨が浮き出ていて、揺らす度にぶつかったりなんかしたら可哀想だ。
そこで一度
シロをテーブルから下ろしてから、俺は椅子に座って自分の膝に乗せた。
こんなに余裕がない時でも、シロのことだけは傷付けない方法を考えることが出来た。
向かい合ってキスをしながら、俺は自分のものをシロの入り口に当てる。


「シロ、来いよ。」

涙を零しながら首を横に振るシロが可愛くて、首筋や頬や唇に何度もキスをする。
嫌がっていても、俺が頼んだことは断れないのがシロだ。
それは俺にとっては都合がいいけれどシロにとっては少し可哀想だとも思う。
だけど俺はシロから来て欲しくて、それを強請り続ける。


「シロ、好きだよ。」
「りょうへ…、オレも好き…、大好き…っ、あ、んんん───…っ!!」

俺はずるいかもしれない。
好きだとか愛してるだとか言えばシロは言うことを聞いてくれる作戦みたいなことをして。
でも好きなのは本当で、シロと繋がりたいのも本当だ。
ぎこちないシロの腰を支えてやりながら、一つになるその瞬間を迎えた。


「あっ、あ…!亮平っ、亮平っ!」
「うっわ…、す…げ……っ。」

挿入してすぐに、俺までおかしくなりそうだった。
きつく締め付るみたいにシロのそこが俺のものを飲み込んだまま伸縮する。
その度に濡れた音が響いて、興奮に全身が震えた。


「あ…っ、ああっ!あ…っ!」

椅子がギシギシ鳴って壊れそうになるぐらい、俺が下から揺さ振ると、大きく開いたシロの口から次々に高い声が漏れる。
抱えたシロの身体からは甘い匂いがして、クラクラと眩暈がした。
どうしようもないぐらい甘くて、今にも蕩けてしまいそうで。


「やぁっ、亮平っ、オレ出ちゃ…っ、出ちゃう…っ!」
「うん…っ。」

ボロボロと涙を零しながら喘ぐシロは、限界に近付いているみたいだった。
シロだけじゃない、俺もいつもよりずっと早い段階で絶頂を迎えてしまいそうになる。


「亮平っ、あ…ぁんっ!ダメっ、もうダメ…っ!」
「俺も…、いいか…っ?」

シロ、お前の中にこの熱を放ちたい。
上手く言葉にならなかったけれど確認すると、シロは泣きながら首を縦に振った。
すぐに俺は速度を上げてシロを揺さ振って、その頂点を目指す。


「亮平っ、出る…っ、ん───っ!!」
「シロ…っ!」

イく時はキスをしながらと思っていたのに、その暇も余裕もなかった。
一瞬にして達してしまったシロは俺の腹の辺りに白濁したものを放って、俺もほぼ同時にそんなシロの熱い体内へ放った。

だけど俺はまだまだ物足りなかった。
一度イったぐらいでは気が済まないぐらい、シロが欲しくて堪らなかった。
本当にこのまま二人でどろどろに蕩けてしまいたくて。
風呂で汚れを流した後その場で、その後ベッドに行った後も、シロを求め続けた。
次の日はシロも俺も休みだったけれど、休みでなくともしていたに違いない。







「シ、シロ…?」

翌日、案の定俺はシロの横でご機嫌取りだ。
起きているくせに俺の方を見向きもしないで拗ねるシロを可愛いと言ったら、もっと怒ってしまうだろうか。


「おーい、シロー?シロたーん?」
「み〜。」
「あー、お前じゃなくてこっちのシロ。よし、お前もこっちに来るか?」
「みゃう〜ん。」

何度呼んでも、シロはそっぽを向いたままだ。
求めたのは俺だけど、シロだって応えたくせに。
そんな責任の分かち合いなんかしたら絶対に振り向いてもらえなそうだ。
猫のシロが目を覚まして、自分が呼ばれたものと勘違いして鳴いていた。
普段は外へ遊びに行って自由気ままな猫だけど、甘えるところだけはシロとよく似ている。
鳴きながら寄ってきた猫のシロを抱え上げ、ベッドに入れてやる。


「おーい、シロ、ごめんな?」
「う〜…。」

猫のシロの手を持って、シロの肩をポンポンと叩く。
シロも猫のシロには敵わないのか、身体の痛みと疲労感に耐えるような唸り声を出して答えた。
やっぱり起きてたのか、と思うと可笑しくなる。


「シロ、好きなんだ。」
「りょ、亮平…?」
「お前が好きで好きでしょうがねぇんだよ俺は。」
「亮平…。」

こんなにお前を好きな俺を許して欲しい。
それは心から思うことだ。
シロは俺のことを好き過ぎてどうしようと言うけれど、そんなのは俺も同じだ。
なんだったら俺の方が勝っている自信だってある。


「シロー、こっち向けよ。」
「う…、亮平〜。」
「ごめんな、シロ。お詫びになんでも聞いてやるから。プレゼントもまだだしな。」
「なんでも?」

シロはプレゼントもいらないと言ったけれど、俺としてはやっぱりあげたかった。
物で釣るわけじゃなく、シロのために何かしてやりたくて。
それはシロが、俺のために何かするのが好きだと言うのと同じだ。


「何がいいんだ?」
「うんと、亮平がいい!」

それじゃあお詫びになっていない、そう言おうと思ったけれどやめた。
シロも俺のことをこんなに好きでいてくれるならそれでいい。
振り向いた笑顔のシロに、優しくキスをして猫のシロごと抱き締めた。






END.




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