「チャイルドライク」─これから-2





土曜日。 家族が出払って、大和がうちに来た。


「どうぞ、あがって。」
「お邪魔します。」

ちょうど俺は勉強中で、リビングのテーブルには参考書やら問題集やらが散らばっていた。


「先輩、勉強中だったんですね。ごめんなさい俺やっぱり帰…‥。」
「やだ…‥っ!!」

背中からきつく抱き付いた。
大和の、背中。俺より広い、背中。


「だって俺高校生なったら簡単に会えなくなるんだよ?」
「…はい…‥。」
「はい、って、寂しくないの?平気なの?大和、俺と離れても平気なの?」

もうみっともないとか女々しいとか、頭になくて、必死で大和を繋ぎ止めたくて、ぎゅうっと抱き締め続けた。


「寂しいですよ。」

回した俺の手を握る大和の手は、冬の道を歩いて来たから、やっぱり冷たい。


「でも、あんまり言ったら先輩の重荷になるかな、って。」
「そんなことないっ!重荷なんて絶対ならないから!だから、だから…。」

俺は、大和が好きだ。
好きでどうしようもない。


「今日は、傍にいて欲しい…。」
「はい。」

瞳を閉じて、大和の体温を感じた。










「ふ…‥んぅ…っ。」
「先輩、この間泣いちゃったから、俺、我慢してたんです。」

我慢なんか、しなくてよかったのに。
痛かったのもだけど、俺、嬉しくて感動しちゃったんだ。
大和、優しい。


「だいじょ…ぶだから…んっ。」

久し振りの、激しいキスが、身体を痺れさせる。
舌が絡まり、唾液が口の端から零れ落ちる。
もう立っていることさえ出来なくて、ベッドに倒れ込んだ。
キスは下へ下りていき、俺のセーターを捲り上げて、胸を弄られる。
指が、舌が、胸の粒を強弱をつけて愛撫してくると、すぐに赤く腫れ上がってしまった。


「先輩、可愛いですね。すごくエッチな顔してる。」
「やだぁ、言わな…‥、あ、ぁっ。」

敏感な胸は、やっぱり下半身にも影響してしまう。
穿いていたズボンはするすると脱がされて、変化したそこが曝け出される。


「俺っ、ごめ…っ。」
「いいえ、可愛くてまた泣かせたくなりました。」

俺の上で、大和は下半身の方へと頭を移動させて、俺のそこを口に入れてしまった。


「やあぁ…んっ、大和、やだっ、やだよ…!」

びくびくと腰が震える。
そんなとこ、舐めるなんて。
大和やっぱり…。


「大和!大和待って、お願い、待って!」

大和の髪の毛をやんわりと掴んで、離した。
やっぱり気になる。
気になって、仕方なくて、離れない。
こんなんじゃこの先ずっともやもやしてしまう。


「大和は、俺以外のコとエッチしたこと…ある?」

心臓が、ばくばくいって止まない。
こんなこと聞かれたら怒るよね。


「ないですよ。」
「じゃあなんでそんなに慣れてるの?
初めてじゃないでしょ? 俺が初めてだから、気遣ってる?」

いやだ。 こんな、過去に嫉妬するなんて。


「違います。俺、先輩を悦ばせたくて、その…、本みて勉強しました。」
「うそ…。」
「本当です。スケベな男だって、呆れました?」


呆れるなんてない。
本まで読んで。
そんなに俺のこと思ってくれるなんて、もうだめだ。


「大和、好き、大好き。好きだよお…っく、離れたくない…っ。」

情けないけど、ぼろぼろ泣いてしまった。
こんなに好きで、どうしよう。


「いっぱいして…、大和、いっぱいしたい。」
「いいんですか?また先輩泣いちゃいますよ?」

大和は優しく笑って、また俺のものを口にくわえた。
丁寧に舐められて、手でも揉まれて、とろりと先走りが垂れる。


「や…あ、ぃやっ、んっ、あぁんっ。」

口から出されると、指が後孔に下りて、 大和の唾液で濡らした後、つるりと挿入される。


「ひゃっ、あぁ、ん…!」

指は数を増して中を掻き回す。
脚を拡げたまま、前は口で、後ろは指で、快感を与えられる。


「おねが…ぃ、いれ、て…、大和、いれて…っ!」

泣きながら懇願すると、大和は嬉しそうに笑って、俺の脚を更に拡げて、濡れたそこに大和のものが入れられた。


「んん───っ、あ、あ、大和、あぁんっ!!」
「皐月っ、好きだよ、大好きだよ、好きっ!」
「やっ、いっちゃうよっ、出るよ…‥ぉ!!」

何度も体内を穿たれて、二人で同時に達した。















「先輩、やっぱり泣いちゃいましたね。」
「だ、だって…。」

いっぱいしてって言ったくせに、 一回で俺は立てなくなってしまった。


「俺も泣きたい程寂しいです。離れたくないです。でも、俺、自信ありますよ。」
「自信?」
「はい。俺、先輩をずっと好きでいる自信あるんで、 一年ぐらい、我慢します。」

大和にもたれながら、見上げると、 泣いて腫れた瞼にキスされた。
あぁ、そうか…。
たった、一年。 長い人生に置き換えると、その程度か。
大和はそういう風に考えられる人なんだ。
嬉しい。


「じゃあ、ずっとならさ、とりあえず、敬語やめようよ、ね。あと…、」

あと、出来れば、なぁ。
エッチの時だけじゃなくってさ。
な、なんて言おう。


「うんわかった、皐月。」
「大和!」

もう一度大和を強く抱き締めた。
大和、俺のことわかり過ぎだよ…。
でもやっぱり人間だから、俺みたいにわからなくなったり不安にもなることもあるんだね。
俺だけじゃないんだ。


「じゃあ、今日は一緒に寝よ、皐月。」
「うん。」





幼い俺たちの初めての恋。
時々道に迷ったりもする。
名前で呼んだり、敬語をやめたり、そんな些細なことでも、近くになったみたいで嬉しい。
そんなところは少しずつ変わっていくけど、 好きな気持ちだけは変わらない。
まだ子供の俺たちだけど。
これからも、俺は大和が好きで、 大和は俺を好きでいてくれると思った。




これからも。










END.







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