「チャイルドライク」─はじまり-2






「お、お、俺、男だから、あんな甘くないし、可愛くないけど、大和のこと多分誰より好きだから!」
「先輩何も言ってくれないから、俺だけ好きなのかと思ってた。」

ドアをぴしゃりと閉めて、息を乱しながら、言う。
大和は少しびっくりしてるみたいだった。
大和らしくない、動揺してるのがわかった。


「違うよ!俺こそ、なんか俺ばっかりいちいち反応して恥ずかしくって、それで言えなくて、でも。」

突っ立っている大和の胸に顔を埋めて、俺より広い背中に手を回した。


「俺の心は、大和だけだよ。大和のものだから。」
「せんぱ…‥。」

やってしまった、自分からキス。
恥ずかしいけど、好きな気持ちが止まらなくて。


「先輩の唇も甘いですよ。あの…、じゃあ身体も俺のものになってくれません?」







「ぁ…、や…ぁっ。」

鍵を閉めた図書室の床に座りながら、俺は制服のブレザーを脱がされ、
シャツの裾から手を入れられて、胸を弄られる。


「あ…っ、ぁん。」
「先輩、可愛い。」

大和の長い指が、器用に先端を撫でたり捏ねたりすると、俺のそこは固くなってしまう。
耳朶や首筋に吸い付くようなキスをされながら、弄られ続けると、下半身まで反応した。


「これ、脱がせていいですか?」
「やだ…っ、恥ずかしいよ…ぉ。俺こんなことしたことないしっ。」

俺の張り詰めたズボンのベルトに手が掛けられ、頷くと、下着も一緒に脱がされた。
露になったそこはもう完全に形が変わって、先走りまで出てしまっていた。


「大丈夫ですよ。誰でもこうなります。」

大和は自分もジッパーを下ろして見せると、そこは俺と同じ状態になっていた。


「ね、先輩、触りっこしましょうよ。そのままじゃキツイでしょう?」

俺は確かにそうだと思い、大和のそれに手を伸ばし、俺のものも触られる。
大和も、俺で興奮してくれてる…?


「あっ、や、あぁっ。やだよ…っ、俺、も、出ちゃうよぉ…っ。」

濡れた音が大きくなるにつれて、 俺はもうおかしくなりそうだった。
涙で視界が曇り始めると、手が止まってしまった。


「先輩、もうちょっと我慢して下さいね。」
「ひゃぁ…‥っ!」

濡れた指が、俺の後孔に挿入されて、身体が跳ねる。


「ぁ、あ、へんっ、俺、へんになっちゃう…っ。」

初めて指なんか入れられて、最初は異物感だけだったのが、指が増やされると、別の感覚が生まれる。


「だめだよぉ、もうっ、俺だめ…っん。」
「じゃあ、入れていいですか、俺の。」


昂ぶる大和のそれは、俺のそこになんか入らないだろうと思うぐらい大きくなってたけど、 大和が好きだから、繋がりたかった。


「うんっ、いれて…っ、大和のでいっぱいにして…っ。」

俺が涙を少し零しながら縋ると、床の上に寝た俺の脚は高く持ち上げられた。


「───っ!!!いった…、いた、いたぁいっ!」

大きなものが挿入されて、 あまりの圧迫感と切れそうな程の痛さに、一瞬気絶しそうになり、涙がぼろぼろ流れた。


「ぅあっ、いたいぃ、やまとぉ、俺、壊れちゃうよ…っ。」
「仕方ないです。初めてなんですから。でもね、」
「あぁっ、はぁ…んっ、あ、あんっ。」
「ね?気持ちよくなってきたでしょう。」

ゆっくりと奥まで大和のものを飲み込むと、身体を少しずつ揺らされた。
動きは速度を上げ、激しく穿たれて、自然に自らも腰を動かしていた。


「あ、あ、だめっ、ん、ほんとに、出ちゃ…っ!」
「俺も…、中に出していいですか?」


俺はぶんぶん、と頭を縦に振り、大和の腕を強く掴む。
弱いところを探り当てられて、限界に達する。


「あぁっ!大和っ、好きっ、大好きっ、大和…‥っ!や、あっ!!」
「皐月…‥っ、俺もっ、大好きだよっ、皐月…!」










してしまった。
あんなに激しく乱れて、今になって羞恥心で死にそうになる。


「先輩、大丈夫、ですか…?なんか本当に泣いちゃいましたね。」

床に寝たまま顔を手で覆った。
どうしようどうしよう。


「先輩?」
「やだやだっ、顔見せたくない!俺ばっかりへんになっちゃって、バカみたいだっ。俺ばっかりポーっとなっちゃって。」
「そんなことないですよ。」

裸見られるのもだけど、今は顔の方が見られたくない。
その俺の手を取って、大和は頬を伝う涙を舌で舐め取る。


「俺だって、先輩に片思いしてた時、かなりボケてましたから。テストで満点逃 したこともあったし、ネクタイ忘れたりもしたし。」
「う…そ?」
「俺だっていつも完璧じゃないです。徹夜して本読んで、先輩が当番の時必ず返せるようにして、 随分乙女なことしてましたよ。」
「大和…。」

大和はちょっと拗ねたように赤くなった。
思わず吹き出しそうになってしまう。
やっぱりまだ同じ中学生なんだなぁ。


「俺だってみっともないことしますよ。」
「そうだったんだ、ごめん。」

自分だけが空回りしてると思ってたのは間違いだったらしい。


「先輩、結構当番代わりやらされてたの、俺見てて、なんかムカついて、この人 もなんで断らないかな、って見てるうちに…、好きになりました。」

知らなかった。
そんなに俺を見ててくれたなんて。


「多分、先輩が思ってるより、俺、先輩に夢中ですよ。」
「あ、あ、ありがと…。」
「だから、先輩もいっぱいいろんな顔見せて、我儘も言って下さい。」
「うん、じゃあさ、あのさ、、」

嬉しい。どうしよう。
大和、好きだよ。
身体をやっとのことで起こして、手で支える。


「俺、多分、いや絶対歩けないから、おんぶしてくれる?」
「はいっ。」

大和、笑うとやっぱりいつもより幼く見える。


俺たち、今はお互いが一番好きで、それしか考えれなくて、他は見えなくて。
変なプライドとか誤魔化しとかしなければならないのが大人の恋なら、大人になんかなりたくない。
もう少し、このままで───。
まだ始まったばかりの俺たちの恋はまだ子供だけど、今はそれでいい。













END.




 

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