「薔薇色☆王子様」-10









『知らなかった。リゼも僕を好きだったんだ。』

リゼは、真っ赤になって俯いている。
可愛い。 やっぱりリゼ可愛いよ。


「違っ、俺そんなんじゃ…‥。」

そんなんじゃないなんて、そんな顔で言われても、ね。
初めて見たかも。 こんな、リゼ。


「お、俺はただ…っ、お前が帰るとか勝手なこと言うからっ。」
「寂しくなった?」

僕は、リゼの熱い手を握りしめたまま、耳元で囁くと、リゼはビクン、と肩を揺らした。


「リゼ、素直になった方がいいよ。」
「‥‥…ちょっとだけ。」

唇が触れるぐらい、近付くと、そこから熱が伝わる。
リゼは僕と視線を合わせないで、聞こえないぐらい小さな声で呟いた。


「それは僕を好きってこと?」
「た、多分…??」

リゼの声はもっと小さくなったけど、僕にはちゃんと聞こえた。


「ありがと、リゼ。」

多分、かぁ。 まぁ、いいか。
リゼなりの照れ隠しだよね、きっと。


「リゼ、キス、していい?」
「いやだ。」
「素直じゃないなぁ。」
「んっ。」

僕はリゼの顎を引き寄せて、さっきされたようにリゼにキスをした。
いやだ、なんて言ったくせにリゼってばちゃんと瞳閉じてるし。
気持ちいい。 リゼの、唇。 リゼの、舌。
もっと気持ちよくなりたいなぁ、僕。
そうだ…‥。


「キスの後も、していい?」

えっち♪リゼとえっち!
僕は髪を撫でながら、続きをしようと…‥。


「王子っ!!!」
「あ、いたのファボルト。」

布巾を強く握って、ファボルトまで真っ赤になっている。


「いたの、じゃありません!何をしておられるんですか、ひ、人前でそのような破廉恥な…!」

なんでファボルトが赤くなってんだろ。
ファボルトだってえっちぐらいしたことあるくせに。


「えー、だって僕、リゼとえっちしたいんだもん。じゃあファボルトどっか出掛けてよー。」
「王子っ!まったくあなたはどうしてそうわがままばっかり…。」

だってさ。
僕、嘘ついたり誤魔化したり出来ない性格なんだもん。
仕方ないじゃないか。


「結婚前の男女がそんなことではいけません。」
「じゃあ結婚したらいっぱいする。」
「いや、だから、俺女じゃねぇし、結婚なんか出来ねぇから。」

リゼは僕の腕の中で、苦笑いをしている。


「え?出来るよ、結婚。」
「無理だって。俺男だってばよ。」

リゼってば何回も同じこと言って。
あ、しまった、言うの、忘れてた。


「お父様に法変えてもらったの。」

へへん、僕ってしっかりしてるよね。


「お〜ま〜え〜はぁ〜。」

あれ? リゼ、なんか怒ってる…かな?


「だから俺は金持ちとか権力者が嫌いなんだよ!」
「えー!今好きって言ったのにぃー!!」

いつものリゼに戻ってる。
また怒った顔も魅力的なんだよね。


「好きだなんて、言ってねぇよ!」
「ひどい!今誓いのキスまでしたのに!!」
「おやめ下さい!!」

僕とリゼが言い争う中にファボルトまで入って来る。


「いいですか、王子。あなたはいずれ国王になるのですよ。そのようなふしだらな会話は慎んで…(以下略)リゼ殿もですよ!
花嫁たるもの、そのような乱暴な言葉遣いでは困りますので…(以下略)」

あーあ、また始まった、ファボルトのお説教。
邪魔しないで欲しいなぁ、もう。


「リゼー、結婚式いつにする?新婚旅行は?初夜は?」
「しねぇ!結婚式も旅行もセックスもしねぇ!」
「そんなぁ〜!ねーリゼ〜、リゼ〜好きだよ、愛してるよー。」
「人の話をお聞き下さい!」

無視して話を進めたのに、ファボルトまで怒り出しちゃった。


「ね、幸せにするから。」

ファボルトは置いといて。
僕はリゼにもう一度プロポーズをした。


「僕と結婚して下さい。」

いつになく真剣に見つめて言った僕に、リゼはまた動揺してるみたいだった。


「ちゃんと死ぬまで俺の傍にいるならな!!」
「もちろん!」

リゼ。 怒りながら言ってるけど、最高の返事だよ、それ。
僕はリゼに抱きついて、勢い余って押し倒したまま、おでこや頬にキスを送る。


「あーもう!離れろ!離れろってば!」
「今傍にいろ、って言ったのにー。」
「いい加減にして下さい!」

リゼはやっぱりいつものように怒って、でも多分内心は喜んでいると思う。
ついでにファボルトまで怒ってるけど、僕は笑ってしまう。
だって、この先リゼと一緒の僕の人生は、きっと薔薇色だから。












END.







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