「Love Master.」-上級編







「ん…っ、はぁ…、名取…っ。」
「遠野…‥っ。」

夜10時の寮の一室。
俺たちは、今日もキスを繰り返す。
この間キスからステップアップし、いわゆるそれ以上のことはしているのだが…。


「あ…っ、ん…っ!んっ、ん…名取っ。」

俺は遠野の勃起した股間に手を伸ばし、 パジャマの上から揉み解す。
息を乱して遠野が喘ぐ姿が、俺をやたらと興奮させる。
俺は片方の手で遠野の胸を弄り始めた。


「あぁ…っ。」

すぐに反応した突起を、指を器用に使って愛撫する。


「と、遠野…、さ、最後まで、しちゃダメか?」
「え…‥。」

そうだ、俺たちは公認ホモカップルなんだ。
それぐらいしてて当たり前だろ。


「それは…、つまり入れる、ということか?」
「え、そうだけど…。」

なんか、改まって言われると恥ずかしいな。


「どうしてだ?」
「どうして、ってお前なぁ、毎日毎日こっちは我慢してたんだよっ、だってもう三ヶ月も経つんだぜ?触るのはよくて、口でもして、入れるのはなんでダメなんだよ!」

考え込む遠野に、俺は意地になってまくしたてる。
別にそこまでムキになることもないような気がしないでもないけれど。


「ひとつ聞きたいんだが…‥、名取は俺が好きなのか?」
「当たり前だろ!好きでもない奴とキスもエッチも出来るかよ!」

真面目な顔で聞いてくる遠野に、いつもは流されっ放しの俺もついにキレた。
あ…‥。
しまった、言ってしまった。
遠野にホモの誘いを受けてから、ずっとわからなかった自分の気持ちを。


「そうか…わかった、じゃあやるか。」

え…‥。


「俺も男だ。お前の要求に応える。」

遠野は俺の服を脱がせ始めた。
いや、じゃなくて。


「お前は…?お前はどうなんだ?俺のことどう思って…。」

俺は情けないけど、自信がなくて、弱々しく尋ねる。
俺に、ホモにしてくれって言ったのは部屋が同じってことだけだと思っていたからだ。

「そりゃあ好きに決まってるだろ。」
「はあぁ??」

そんなこと言われてないぞ。
俺がボーッとしてて聞き逃したとか?
いや、言われてねぇ、絶対聞いてねぇ。


「ホモにしてくれ、って言ったのは、好きだから、
ってことだったんだが…わからなかったか?」

わかんねぇよ!!ちゃんと言えよ!!


「あれは勇気を出して告白したつもりで…そうか、情熱が足りなかったか。」

違うだろ!
情熱とかの問題じゃねぇよ!


「あー…、じゃあ、両思いってことか!」
「そのようだな。」

ああぁ──…。俺が悩んだこの三ヵ月って一体…。
そのよう、じゃなくてそう、だから!


「遠野…‥。」

俺は遠野にキスしながら、シーツの上に押し倒す。


「あ…名取、待て…。」
「なんだよ、今さらやめるなんてナシだぜ。」

俺は再び遠野の身体を触り始めた。
こういう時はちゃんとリードしてやらないとな。
俺だって男らしいところあるんだ。

「いや…、この体勢だと、俺が女役みたいだが。」
「え…、違うのか?」

俺の手が止まる。


「俺が入れられるのか?聞いてないぞ。」
「だ、だっていつも俺が主導権握ってたし!そんなこと確認するのもどうかと思うだろ。」

俺は大いに慌てる。
まさかここまで来ておあずけか?
せっかくやれるチャンスなのに…そりゃねぇよ。


「俺…男だし…。」
「わかってるってそんなん!あーもう、頼む!やらせてくれよ!」

バカか俺。
性欲丸出し、盛りのついた動物じゃあるまいし。


「あ、いやな、受ける役の方が気持ちいいって、姉ちゃんに聞いたし!」
「お前の姉ちゃん何やってる人なんだ?」


俺はどうでもいい理屈を並べた。
理屈っつーか聞いた事実なんだけど。

「‥…ど、同人で、ホモエロ漫画描いてる…。」


あああ…。
何を俺は家族の話まで。
俺が姉ちゃんの描いたそれを読んで育った、なんて今まで誰にも言わないで生きて来たのに。


「よし、わかった、謹んでその申し出を受けよう。」

あぁ…!こ、こいつが変な奴でよかった…。
俺は正体のない神様みたいなものに、胸の中で感謝した。


「じゃあ、まずは…。」
「名取っ、そんなところ…、指なんか…!」

俺は遠野の初めて開かれる部分に、指を伸ばした。
その窄まりに、ローションを垂らした指を一本挿し入れた。


「あ…っ!やだ…!」
「お前に痛い思いはさせたくないからな。」

遠野の身体が初めて異物を受け入れて、ビクン、と跳ねた。
脚を開かせて、そのまま指を奥の方へ進めていく。


「んぁ…っ、んっ、あ。」

濡れた音がして、段々と拡がるそこに、もう一本指を増やしてみる。
初めてなのに、意外とスムーズにそこは俺の指を受け入れた。


「あ…っ、あぁんっ、名取ぃっ、あ…っ!」
「遠野…すごい、今三本目…‥。」

甘くあげる喘ぎ声が、俺を刺激する。
三本の指を中でそれぞれに動かして、遠野の後孔を解していく。


「あっ、あっ、ん…!」

遠野は涙を滲ませて、紅潮した顔がまた色っぽい。
既に後孔を弄られて快感を味わっていた身体は、遠野の自身を勃たせ、先走りを零している。
俺もまた、完勃ちになっている。


「遠野…そろそろ、入れたい…いいか?」
「わかった…来い。」

その、いつでも喧嘩腰なのはエッチの時はやめてもらいたいもんだが。
もうちょっと可愛らしく入・れ・て、とか言え…いや、それはさすがに気持ち悪いか。


「じゃあ、いくぜ。」

遠野の脚をより大きく開かせて、濡れて拡がった後ろに、俺自身を挿入した。


「───っ!!ん…‥!」

遠野の涙は、雫となって零れ落ちる。
泣いてる顔も魅力的だ、なんて思ったら変だろうか。


「あっ、ん、名取の…おっきい…!すごい…!」

バカ、俺に火つけるな。
なんだってそんな余計興奮させるようなこと言うんだよ。


「ああっ!名取っ、バカっ、そんなに動いたら…っ、痛っ、痛いっ!」
「すぐによくなる。」

俺は夢中で腰を使って激しく揺さ振る。
遠野が壊れてしまうぐらい、揺さ振り続けた。


「あ…っ、いいっ、いいよ…っ、名取、いい…っ。」

痛みが快感に変わり、熱は出口を求める。


「やっ、イくっ、イ…、イく─────!!」
「遠野っ、好きだっ、遠野──っ!」

俺たちは絶頂を迎えた。













次の日。


「あーのー、遠野、多分大丈夫じゃないと思うけど…大丈夫か?」

初めてエッチした。
俺も遠野も疲れ果ててたけど、多分遠野の方がキツイはずだ。


「…ケツ…切れるかと思った…。」
「ご、ごめん、その…俺、加減知らなくて。」

遠野は布団の中で呟く。
俺はなんだか知らないけど遠野にひたすら謝った。


「そのさ、今日はとりあえず、寝てろよ。適当に言っとくから、な?」

こいつのことだ。
昨日なんかされた、なんて変なこと言いかねない。
そんなことになったら絶対クラス中に話題になるに決まっている。
その前になんとか阻止しないといけない。


「あ、じゃあ俺、行って来るわ。」
「あぁ…。」

遠野を置いて登校すると、いつもいるはずの遠野がいないのを見たクラスの連中は不思議そうに見ている。
まぁ、いいか。
あいつもここにいなきゃ知られることはないだろ。


「お、遠野なんか具合悪そうだな。」

え??
俺は驚いて振り向くと、具合の悪い顔の遠野がそこにいた。
な、なんで来てんだよこいつ…!!


「あぁ…これはだな。」

頼む!言うなー!言わないでくれー!!
俺の高校生活、終わらせないでくれー!!
ぎゅっと目を瞑って祈るしかなかった。

「なんでもない。」

遠野の言葉に、俺はホッと安心して息をついた。
のも束の間。


「なんで来たんだよ?」

俺がヒソヒソと周りに聞こえないように呟いたのに。


「セックスしたぐらいで皆勤賞逃すわけにはいかない。」

予想以上にした内容をハッキリと、しかもデカい声で言っちゃったよ、この人。


「いやー、やっとやったのか!名取、遠野!」
「おめでとう!初エッチ。」

嬉しくない。おめでたくない。


「ありがとう、みんな。」

ありがたくもねぇよ!
礼を言う遠野の横で真っ赤になって俺は固まる。


「俺たちラブラブカップルだから、邪魔するなよ。」

誰もしねぇよ。
俺はまとわり付く遠野の腕を振り払えずに、ずっと言葉が出なかった。
俺はきっと、こいつには適わない。
勉強も、恋愛も。












END.






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