「Love Master.」遠野視点の小話です。
俺にはどうしても成し遂げたい計画がある。
それはもちろん、俺の恋人、名取と結婚することだ。
成し遂げたい、というより成し遂げる予定、いや、確定という言い方が正しいんだろうか。
結婚式の会場は父親が教会、披露宴のホテルまで建ててくれている。
新居は兄が、その中のインテリアコーディネイトは母が…と、とても協力的な家族でよかったと思う。
名取のお姉さんである美樹さんに対しては、お中元も準備万端だ。
今回はハムだけではなくてソーセージの詰め合わせも入っている。
やっぱりお相手の家族に気に入られないといけないからな…そういうのは大切だと思う。
美樹さんからは夏の新刊の同人誌計3冊が送られてくる予定だ。
今回はどんなプレイが読めるのか楽しみだ。
それともう一つ、俺は大事な準備をしている。
手に持った高級な光る布地を脳内で名取に合わせてみる。
この布地で作った純白のドレス…きっと似合うはずだ、可愛いからな、名取は…フフ。
いや、でも白無垢というのもどうだろうか。
それはそれでよくないか?
あぁ…、迷ってしまうな。
この際どちらも、というのも有りだな。
「とっ、遠野…っ!それはなんだっ??」
「あぁ名取、どうしたそんなに青い顔をして。」
俺が幸せな未来の妄想に耽っていると、名取がそこに立っていた。
「それってもしかして…、もしかしなくてもだな??」
なんだか慌てているようで、名取はわけのわからない言葉を発する。
そんなところも可愛いと思う。
「なんだ、黙ってようと思ったのに。」
「や、やめてくれよ…!」
「残念だ、名取の驚く顔が見たかった。」
「いや、十分驚いてるって!!」
俺は名取に近付いて、布地の近くの置いてあった紙を見せた。
「お前のサイズ、これで合ってるよな?」
「……!!なんで全部わか…っ!」
「当たり前だ、恋人の身体のサイズぐらい触ればすぐにわかる。」
「つーか1ミリ違わず合ってんだけど!!」
その身体に、俺は抱き付いた。
すると、前と感触が違うのに気付いた。
「名取お前1キロぐらい太ったな?」
「し、知らねーよ、そんなん!」(実は当たっていた)
「ちょっと俺が調べてやるよ。」
「や、やめろ───……!!」
END.