あるところに、シロたんというひとりぼっちなこねこがいました。 おわり。
|
「つーかこれなんだよ…。」
「ん?うちの奥さんがね、書いたんだ、絵本にする原稿だよ。」
ある日、柴崎の兄貴・佳史さんが、仕事が終わってから店に来いっていうから、
シロと一緒に帰りたい、ってのもあって、俺はそこに直行した。
佳史さんの奥さんはまだ売れてはいないけど、絵本作家なんかもやってたりして、
わりと俺とシロの話なんか信じてくれてる、ありがたいっちゃーありがたい人なんだけど、
まさかこんな話まで書くなんてな…。
まぁ実際出版することはないだろうけど。
シロだってこんなん読んで嬉しいわけねぇだろうが。
「ん…?シロ…?」
「おぉ…。」
まさかこいつ感動してるんじゃ…。
いや、何も知らないシロのことだ。
それもあり得るか??
「お前嬉しいのか?」
「だってこれ、しあわせ、って書いてる。」
「あぁ、そっか…。」
「オレ嬉しい。」
何も知らないほうがこんなふうに素直に喜べるんだな。
まったくお前って奴は、なんて奴だ。
もっと幸せにしたい、って思うだろ。
「シロ…。」
「もし売れたら印税、ってのちょっとくれるって!」
俺が思わずケーキ屋ということも忘れてキスしようとした時だった。
今印税っつたか…?
「お前金欲しいのか?」
「もらえるもんはもらわないとな!」
参った、もう降参。
お前には敵わない。
そんな無邪気な顔してちゃっかりしてんだから。
もう俺の嫁じゃねぇかよ。
できれば本当に嫁にしてぇぐらいだ。
うん…でも…そうだな…。
「シロ、ずっとしあわせにするからな。」
「うん、オレもする!」
一生しあわせにしてやるよ。
まるでプロポーズのような言葉を吐いて、
佳史さんに見られないようにそっとキスをした。
めでたし、めでたし。
●こんなところまでありがとうございます!
これは以前Web拍手御礼で書いたもので、当然絵本にする予定はありません。(当たり前だろ!)
あまりにアホ過ぎてサイトにも載せれない、とか言いつつこっそり…。
/index