「薔薇色☆王子様」シリーズ完結「薔薇色☆ハッピーエンディング」








「リゼ〜。ねぇ、リゼ。」
「なんだよ。」

相変わらずの俺たちは、実はついさっき、城に帰って来たばっかりだ。


「リゼ、冷たいね。もっとさぁ、新婚さんらしくベタベタしようよ。」
「くっつくな。」
「だってリゼと一緒にいたいんだもん。」
「いただろうが!三ヶ月もよ!!」

そう、ロシュが用意した新婚旅行とやらに、俺は連れて行かれて、しかも三ヶ月のクルージング旅行。
もちろん王家の持ちものの豪華客船で。


「リゼ〜。」
「だからなんだよっ。」

まったく、本当にこいつ成人したのかよ。
いちいちくっついてきて、甘えてきて。
俺もよく付き合ってるよな、なんて思いながらも、内心嬉しいなんて、口が裂けても言えないけど。


「あのね、僕、赤ちゃん欲しい。」
「ぶ…っ。ア、アホかお前、んなの無理に決まってんだろうが!!」

ここまでアホだとは思わなかったけどな。
一体どっから教えりゃいいんだよ。


「わかってるよ〜。僕とリゼがいくらえっちしても出来ないのは。」
「じゃ、じゃあどういう…。」
「うん、だからね、僕、いいこと考えたの。」

ロシュはいきなりぱあぁっと顔を輝かせた。
こいつのいいこと、ってのは大概くだらない提案なんだよな。


「僕たちの、赤ちゃん募集すればいいと思わない?」

やっぱりな。 もう慣れたけどな。


「あれ?リゼ?どうしたの?ダメかなぁ。じゃあさ、お父様に頼んで、夫婦には子供が出来るっていう法を…。」
「法でなんとか出来るわけねぇだろっ!!お前それよりな…。」
「だってこのままじゃ僕でファルベ家がさぁ…。」

し、しまった。
それは考えてなかった。
そうだ、こいつ、次期国王で、一人っ子だ。
ど、どうすんだ…。


「じゃあさ、僕たちの子供をロシュの次の国王にすればいいじゃん。」
「ロザ!」
「お帰り、ロシュ、お兄様。」
「お帰りお兄ちゃん、ロシュ。」
「ナツ、ただいま〜。」

ちょっと待て。
今、ロザのやつ、なんつった?


「おい、那都、まさか…。」
「赤ちゃん出来たの。」
「─────!!!」

嘘だ! 嘘だろ?!
那都が、こんなやつのものに…。


「わぁ、おめでと〜、ナツ!」
「ありがと、ロシュ。」

どうしよう、俺、今頭が上手く回転しねぇ。
那都に子供。 那都が妊娠なんて。
いや、その前にだ。


「お前ら、まだ結婚もしてないのにそれは…。」
「したよ。二人が新婚旅行行ってる間に。」
「だ、誰が許し…!」
「この国、結婚は18過ぎたら自由なんだって。」
「ふざけん…つーかお前まだ18じゃないだろ?!」

俺は那都の隣にいたロザを思い切り指差した。


「僕、今年19なんだけど。」
「はぁ?嘘だろ??」

嘘じゃなかったら、詐欺だ。
年齢詐称だろ絶対。


「ホントだよ、リゼ。」

ロシュが俺に言って、ロザは証明書を自慢気に見せた。
マジかよ…。 この国おかしいぞ。
一番偉い立場になる奴も。
俺はぐったりと項垂れた。


「ねぇ、リゼ、さっきなんか言おうとしてなかった?」

ロシュが、俺の耳元で囁いた。
あぁもう、意地張ってんのも、強情なのも、誤魔化すのも、素直じゃないのも、嫌んなってきた。
それから、照れたり恥ずかしがるのも。


「ほらよ。」

俺はポケットから、それを取り出すと、ロシュの手に渡した。


「指輪…!」
「お前が寄越さないから、俺が買った。忘れんなよ。」

まったく、肝心なところ、抜けてんだよな。
でも、誰よりも俺のことを好きで、俺のことをわかってるんだ、こいつは。


「リゼー!愛してる〜!!」

そして俺も。
抱き付いてきたロシュのために、俺はとびっきりの言葉を、言ってやりたくて。


「わかってるって。俺も愛してるから。」

素直になった俺と、そうさせてくれたロシュとの人生は、絶対に、薔薇色に決まっている。








Illustration (C)Kan.Rindou Thanks.


☆Prince of ”Rosen Farben” series All end.☆

Thank you! and I wish your life is "Rosen-farben",too.
2004.10.21〜2005.1.30. (C)Hizuru.Sakisaka.






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